黒豹拾いました

おーか

文字の大きさ
上 下
122 / 130

122

しおりを挟む





狩りを終えて獲物の処理をして戻ってきたら、30分くらい経っていたらしい。話し合いも終了していた。ネルが言うには、先程よりはマシになっているはず、とのこと。

まぁ、数こなせば自然と出来るようになるよ。いちいち魔物を連れてくるのも面倒になったし、魔寄せの香をたく。騎士たちが倒し切れなくても、僕が居れば問題ないし。死ぬ気で頑張ってもらおう。

命の危機を感じているくらいの方が成長しなきゃって気になるでしょ?

「これ、魔寄せの香だから。お前ら死ぬ気で頑張れよ?じゃなきゃ本当に死ぬぞ。」

「マジか、お前ら気合入れろ!!」

「「「「「はい!」」」」」

クロード団長が鼓舞する。騎士たちも目付きが変わった。ようやくやる気になったか。

「コクヨウ様は中々スパルタでいらっしゃいますね。」

「そう?まぁ、思ったよりレベル低かったからね。これくらいしないと駄目でしょ。」

「お恥ずかしい限りです。」

「ミシェルさんが鍛えてあげれば?」

「それも中々難しいのです。私もヨハネ公爵様付きの執事ですので…」

「まぁ、忙しそうだもんね。」

「ええ、立場上ヨハネ様のお側を長く離れるのも難しいですからね。」

「魔物に対抗するなら冒険者に協力を仰ぐのが早いと思うけどね。」

「それはそうなのですがね…騎士団の者たちは冒険者を下に見ているものが多く、難しいのが現状です。」

執事も大変だよね。騎士団の指導についてまで頭を悩ませなきゃいけないなんて。僕達が話している間にも勿論魔物はこちらに向かってきている。素早く魔物を処理出来なかったグループのところでは既に数的有利が無くなっている。

「はぁ…」

「お世話おかけして申し訳ありません…」

「いいよ。仕事だし。」

仕方ないので僕が出ていって、一旦魔物を間引いてやる。これで立て直せないようなら見込み無し。魔物を相手するには向いてない。

「立て直せ。」

「「「「はい!」」」」

それからも魔寄せの香で魔物がやってくる限り、ずっと戦闘をやらせた。疲労からぶっ倒れている騎士共にポーションをぶっかけていく。そのうち起きるでしょ。僕は魔寄せの香を使った影響を調べに行かないといけないからね。

森に入って見回ったが、特に問題は見受けられない。魔寄せの香の効果範囲外も一応確かめたが、そちらも問題はない。よし、確認終了。

騎士たちの動きも多少はマシになったし、平でも全員でかかればBランクの魔物くらいは倒せるだろう。しかしやはり団長と副団長は騎士の中でも群を抜いた実力を持っている。

本気になればソロでBランクの魔物倒せるんじゃないかな。勿論、魔物の倒し方を知っている場合に限るけど。まぁ、一応鍛えてやったし、これで依頼は達成だよね。

「依頼は達成でいいよね?」

「ええ、しかし出来れば魔物の知識をもう少し教えて頂きたく…」

「それは冒険者とか、ギルドに頼んでよ。僕らじゃなくても知識は持ってるし。」

「それもそうですね。ヨハネ様にそのようにお伝えしておきます。」

「ん、じゃあ帰る。」

「はい、ありがとうございました。コクヨウ様方のお食事は後ほどお持ち致します。」

「いらない。今日は作るから。」

「左様でしたか。それではそのように。」

「ん」

やっとタカミのところに帰ってこれた。部屋に入ると何か作業をしていたらしいタカミがいた。

「ただいま、タカミ」

「おかえりコクヨウ。どうだった?」

「うん、それなりに戦えるようになったよ。」

「おお!そうか。さすがコクヨウだな。」

「ん、褒めて?」

「おう、良い子良い子」

「んふふ!肉取ってきたから、ご飯作るね。」

「お!ありがとな。腹減ってきた。」

「うん、すぐ作るね。」

タカミがにこにこ食べてくれてとても嬉しかった。可愛いなーと思って見すぎて、怒られたりしたけど、それも楽しかった。





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

獅子王と後宮の白虎

三国華子
BL
#2020男子後宮BL 参加作品 間違えて獅子王のハーレムに入ってしまった白虎のお話です。 オメガバースです。 受けがゴリマッチョから細マッチョに変化します。 ムーンライトノベルズ様にて先行公開しております。

オメガな王子は孕みたい。

紫藤なゆ
BL
産む性オメガであるクリス王子は王家の一員として期待されず、離宮で明るく愉快に暮らしている。 ほとんど同居の獣人ヴィーは護衛と言いつついい仲で、今日も寝起きから一緒である。 王子らしからぬ彼の仕事は町の案内。今回も満足して帰ってもらえるよう全力を尽くすクリス王子だが、急なヒートを妻帯者のアルファに気づかれてしまった。まあそれはそれでしょうがないので抑制剤を飲み、ヴィーには気づかれないよう仕事を続けるクリス王子である。

異世界転移した先は陰間茶屋でした

四季織
BL
気が付いたら、見たこともない部屋にいた。そこは和洋折衷の異世界で、俺を拾ってくれたのは陰間茶屋のオーナーだった。以来、俺は陰間として働いている。全くお客がつかない人気のない陰間だけど。 ※「異世界に来た俺の話」と同じ世界です。 ※謎解き要素はありません。 ※ミステリー小説のネタバレのようなものがありますので、ご注意ください。

【完結】《BL》溺愛しないで下さい!僕はあなたの弟殿下ではありません!

白雨 音
BL
早くに両親を亡くし、孤児院で育ったテオは、勉強が好きだった為、修道院に入った。 現在二十歳、修道士となり、修道院で静かに暮らしていたが、 ある時、強制的に、第三王子クリストフの影武者にされてしまう。 クリストフは、テオに全てを丸投げし、「世界を見て来る!」と旅に出てしまった。 正体がバレたら、処刑されるかもしれない…必死でクリストフを演じるテオ。 そんなテオに、何かと構って来る、兄殿下の王太子ランベール。 どうやら、兄殿下と弟殿下は、密な関係の様で…??  BL異世界恋愛:短編(全24話) ※魔法要素ありません。※一部18禁(☆印です) 《完結しました》

女神の間違いで落とされた、乙女ゲームの世界でオレは愛を手に入れる。

にのまえ
BL
 バイト帰り、事故現場の近くを通ったオレは見知らぬ場所と女神に出会った。その女神は間違いだと気付かずオレを異世界へと落とす。  オレが落ちた異世界は、改変された獣人の世界が主体の乙女ゲーム。  獣人?  ウサギ族?   性別がオメガ?  訳のわからない異世界。  いきなり森に落とされ、さまよった。  はじめは、こんな世界に落としやがって! と女神を恨んでいたが。  この異世界でオレは。  熊クマ食堂のシンギとマヤ。  調合屋のサロンナばあさん。  公爵令嬢で、この世界に転生したロッサお嬢。  運命の番、フォルテに出会えた。  お読みいただきありがとうございます。  タイトル変更いたしまして。  改稿した物語に変更いたしました。

【完結】元騎士は相棒の元剣闘士となんでも屋さん営業中

きよひ
BL
 ここはドラゴンや魔獣が住み、冒険者や魔術師が職業として存在する世界。  カズユキはある国のある領のある街で「なんでも屋」を営んでいた。  家庭教師に家業の手伝い、貴族の護衛に魔獣退治もなんでもござれ。  そんなある日、相棒のコウが気絶したオッドアイの少年、ミナトを連れて帰ってくる。  この話は、お互い想い合いながらも10年間硬直状態だったふたりが、純真な少年との関わりや事件によって動き出す物語。 ※コウ(黒髪長髪/褐色肌/青目/超高身長/無口美形)×カズユキ(金髪短髪/色白/赤目/高身長/美形)←ミナト(赤髪ベリーショート/金と黒のオッドアイ/細身で元気な15歳) ※受けのカズユキは性に奔放な設定のため、攻めのコウ以外との体の関係を仄めかす表現があります。 ※同性婚が認められている世界観です。

異世界へ下宿屋と共にトリップしたようで。

やの有麻
BL
山に囲まれた小さな村で下宿屋を営んでる倉科 静。29歳で独身。 昨日泊めた外国人を玄関の前で見送り家の中へ入ると、疲労が溜まってたのか急に眠くなり玄関の前で倒れてしまった。そして気付いたら住み慣れた下宿屋と共に異世界へとトリップしてしまったらしい!・・・え?どーゆうこと? 前編・後編・あとがきの3話です。1話7~8千文字。0時に更新。 *ご都合主義で適当に書きました。実際にこんな村はありません。 *フィクションです。感想は受付ますが、法律が~国が~など現実を突き詰めないでください。あくまで私が描いた空想世界です。 *男性出産関連の表現がちょっと入ってます。苦手な方はオススメしません。

小学生のゲーム攻略相談にのっていたつもりだったのに、小学生じゃなく異世界の王子さま(イケメン)でした(涙)

九重
BL
大学院修了の年になったが就職できない今どきの学生 坂上 由(ゆう) 男 24歳。 半引きこもり状態となりネットに逃げた彼が見つけたのは【よろず相談サイト】という相談サイトだった。 そこで出会ったアディという小学生? の相談に乗っている間に、由はとんでもない状態に引きずり込まれていく。 これは、知らない間に異世界の国家育成にかかわり、あげく異世界に召喚され、そこで様々な国家の問題に突っ込みたくない足を突っ込み、思いもよらぬ『好意』を得てしまった男の奮闘記である。 注:主人公は女の子が大好きです。それが苦手な方はバックしてください。 *ずいぶん前に、他サイトで公開していた作品の再掲載です。(当時のタイトル「よろず相談サイト」)

処理中です...