黒豹拾いました

おーか

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俺達の方針としては、獣人地域とは関わらない、に決定した。コクヨウの故郷ということもあってこれからも情報収集だけは続けていくことになった。しばらくはこの街に留まることになりそうだ。

獣人奴隷の件も解決してないし。この問題を持ち込んだのは俺達だしな。流石に面倒事を押し付けてばかりいられない。宿代分くらいは働かねぇとな。こんな立派なところに泊まって、立派な風呂に入れるんだからな。

公爵には何かやることはあるか?と聞いておいたが、一旦保留になっている。なので俺達は未だに部屋に引き篭もっている訳だ。

「ねぇ、タカミ、今度さ首噛んでも良い?」

「ん?別に構わねぇけど…普段は勝手に噛んでんだろ?なんで今更確認すんだ?」

「項は…番の証だから…。」

「番の証…なるほどな。噛めよ。俺はお前の番だからな。今度…俺もお前に伴侶の証を渡そうと思ってたからな。」

「伴侶の証をくれるつもりだったの?」

「当たり前だろ。お前と添い遂げるんだからな。」

「うん!えへへ!!楽しみにしてるから!」

「おう、俺もお前に噛み跡残されるの楽しみにしてるぜ。」

コンコンコン

「コホン…邪魔をして悪いね。私だ。今いいかな?」

「公爵様か。どうぞ。」

「ああ、ありがとう。」

一応礼儀として立って入室を待つ。そして公爵様が座ってから俺達も再び座り直した。

「用件は?」

冷た過ぎるのでは?と思うほどの声色でコクヨウが如何する。そんな態度のコクヨウに少し背筋がヒヤリとしたが…公爵様は特に怒る素振りも見せず普段通りだ。

とはいえ、アルカイックスマイルが崩れるところを見たのは、依頼を受けた時に真剣に頼み込まれた時くらいだ。表面上の対応で内心は怒っているかもしれないが…そこはまぁ、公爵様の懐の深さに期待しよう。

「用件は、端的にいえばお願いに来たんだよ。この間何かするって言ってくれただろう?」

「ああ、それで?」

「ああ、断っても構わないんだけれど、家の騎士団の指導をしてくれないかと思ってね。一応鍛えさせてはいるのだけれど、魔物への対応はどうしても冒険者には劣る所があるからね…。良い機会だと思ってね。」

「…それ…俺ら舐められるやつじゃね?」

「ふふっ大丈夫だよ。ミシェルを共に行かせるから。」

「…やっぱりミシェルさん、強いんか。」

「暗殺者か。」

「ははっ!やはりバレていたんだね。流石は高ランク冒険者だね。という訳で、嫌でなければ頼むよ。」

「どうする?タカミ」

「俺は構わねぇよ。命の保証はしねぇけど。」

「おやおや、怖いねぇ。でも…それくらいでいいよ。最近…弛んでいると思っていたんだ。」

「俺からすりゃ公爵様の方がよっぽど怖ぇっての。」

「そんなことはないと思うんだけれどねぇ。ああ、話は変わるけれど夕食は私達と食べないかな?」

「「断る」」

「おやおや、きっぱり断るね。それでは辞めておこう。」

「すまんな。飯はゆっくり食いたいんだ。」

「ふふっ私と一緒では落ち着かないか…まぁ、また誘わせてもらうよ。」

「…何度誘われても変わらないが…まぁ…好きにしてくれ。」

「ああ、そろそろ失礼しようかな。それでは後ほどミシェルが来るから、騎士団の事頼んだよ。」

「承った。」「ああ。」

公爵家の騎士団か。流石に強いんだろうな。それを押さえ込めるらしいミシェルさんは更に…予想からすると俺とコクヨウの間くらいの実力だろうな。

それにしても、随分と信頼されたものだな。騎士団の指南役なんて初めてのこと過ぎてどうすりゃいいんだか分からねぇが、取り敢えず魔物の基礎知識から学んでもらうとするか。




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