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しおりを挟むはぁ…やっとついたな。ここがヘーゲルか。性欲の有り余ったコクヨウを抑えながら、みんなを引き連れてやっとここまで来れた。長い道のりだったな。ずっと檻に入れたまま連れてきた奴隷商人共をようやく引き渡せるぜ。それにしても公爵家執事がお出迎えしてくれるとは…。俺達も偉くなったもんだな?
「ミシェルさん…」
「お待ちしておりました。タカミ様、コクヨウ様」
「おう…取り敢えず、こいつ等任せたからよ。奴隷商人は檻の中だ。」
ミシェルさんの後ろにいた騎士たちが檻の中に居る奴らを確かめて、連行していく。やっと解放された…。
「かしこまりましました。大変助かります。ありがとうございます。お二人用のお部屋はご用意させていただいております。こちらへ」
「おう」
「獣人の方たちはメイドについて行ってください。」
「「おう」」
そこでようやく肩の荷が下りた気分になる。本当に疲れた…。普段のコクヨウと二人の気楽な旅とは随分と違ったな。人の目も気にしねぇとだし、魔物への警戒も女子供がいるからちゃんとしねぇとだし。
「タカミ、大丈夫?」
「おう。疲れただけだ…」
「そっか。じゃあいっぱい休んでいいからね。」
「おう。」
「お部屋はこちらになります。お二人で一部屋にさせて頂きましたが、よろしかったでしょうか?必要ならもう一部屋ご用意出来ますが…」
「いえいえ!良いです!」
「まぁコクヨウと離れるのも…な。ありがとなミシェルさん」
「ええ、休まれるのですよね?」
「ああ、そうしようと思う。」
「それではまたご夕食の時に伺います。」
「おう」
いつも一緒に寝ているからな。今更別の部屋っていうのも落ち着かない。もう俺の安眠にコクヨウは欠かせない。本当なら風呂に入りたいが、もう眠りたい。クリーンで我慢しよう。
「タカミ、おやすみ」
「おやすみコクヨウ」
彼らの到着が遅れたのは誤算だったけど、まさか奴隷商人までの捕まえて、その上獣人まで引き連れて来てくれるとはね。こちらとしては有り難いことばかりだ。証人も複数いる上に現行犯で捕まえてくれてるわけだからね。
これで隣の領主は確実に違法奴隷に関わってるんだけど、その先の相手は難しいところだね。
「ミシェル、どうにかして情報を吐き出させろ。獣人からも出来るだけ話を聞いてくれ。獣人達の扱いは客人としてで良い。」
「かしこまりましました。」
王とも連絡を取り合っているけれど、王も腹に据えかねているようだったし、協力は得られるだろう。そろそろ屑は潰しておかないとと思っていたんだ。今回のはいいきっかけになるよ。
娘が暮らす未来は、明るい方がいいからね。
それはそれとして、調べた情報を彼らに伝えなくてはならないね。現在、黒豹含む、豹の一族がどうなっているのか、伝えるのは忍びない。ほぼ壊滅状態…だなんて、伝えたくなかったなぁ。
それでも彼らが求めた真実を伝えよう。それがいかに残酷であっても。
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