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しおりを挟む依頼を引き受けてしまったものの、武器を新調できるまで時間がかかるんだよな。カルロスも俺達の剣は限界だと言っていたし、この武器のまま依頼に向かうのは危険だろう。俺達は事前準備として、カルロスのところを訪ねることにした。
「…邪魔する。カルロス、居るか?」
「…あ?誰だ…ってお前ら、まだ武器は出来てねえぞ!流石の俺でも2週間はかかるって言ったよな?何のようだ」
「ああ、悪いんだが、剣を借りられないかと思ってな…俺達も依頼を受けるつもりなんか無かったんだが、緊急で引き受けちまった。だが、この武器のままじゃ危険だろうと思ってな。」
「依頼?…まぁいい。取り敢えず武器は貸してやる。ここにある中でお前さん等に合うものを選んで渡す。使い心地を教えてくれや。報酬はそれでいい。」
「そんなことでいいのか…?俺達は有り難いが…」
「おう、ところでお前らどこ行くんだ?」
「砂漠だ」
「あ?あのバカみたいに広い砂漠か?」
「ああ。そうだ。」
「…お前達俺が思ったよりずっと強えらしいな。砂漠行くなら、魔物狩った素材、持ち込んでくれねぇか?」
「素材が欲しいのか?冒険者ギルドにはもう大量に持ち込んだし、いいぜ。いいよな?コクヨウ」
「いいよ。」
「それはありがてぇ!!よし待ってろ直ぐ武器用意してやるからよ!」
そう言って店の奥に引っ込んでいったカルロスは、この間の剣を振ってみた結果なども考慮した上で、コクヨウには丈夫で大き目の剣を、俺には以前のものと長さなどはあまり変わらないが、軽い剣を手渡してくれた。
「ありがとな。また来る。」
「おうよ!気をつけて行ってこいや」
「ああ」
食料なんかも一応調達しておきたいところだよな。冒険者ギルドに顔出して報酬受け取って、買い物するか。
「ようこそタカミ様、コクヨウ様。報酬の受取ですね?」
「ああ」
「冒険者証に入金させて頂きますが、それでよろしかったですか。」
「ああ、それで頼む。」
「買い取り金額、ご確認下さい。」
「コクヨウ、いいか?」
「思ったより安いからカルロスに渡してもいいよ。」
「そうなのか。なら買い取りは無しだ。」
「っ…少々お待ち下さい…」
「は?なんの時間だよ。素材を引き取りにいく。裏へ入らせてもらう。」
なんか信用ならねぇギルドだな…。あまり利用しないほうが良いかもな。宿の件もあるし。まだ解体場を占領しているであろう砂漠の素材達を引き取るべく、ずかずかと入っていく。そこにあるはずの素材が無い…。
「おい、どうなってやがる。俺達の素材はどうした?」
「う、売りました…。貴族様が買い上げると仰られて…ギルド長が…」
「は?ふざけるなよ。あの所有権はまだ俺達にある筈だろうが!!そのうえ不当に安く買い取ろうとするとか何考えてんだ?」
「っ…申し訳ありません!申し訳ありません!」
「はぁ…アンタに当たっても仕方ねぇな。取り敢えずこのギルドのことは報告させてもらう。」
「…はい…」
「それで、金はどうしてくれんだよ。」
「安く買い叩こうとかあり得ない。徹底抗議する。行こうタカミ。」
「おう。」
「お待ち下さい!!お待ち…」
この街問題多過ぎねぇ…?一旦宿に引き上げよう。
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