黒豹拾いました

おーか

文字の大きさ
上 下
70 / 130

70

しおりを挟む






コクヨウと一緒にいて、そろそろスールエにたどり着く。というわけで一旦俺達の旅路も終焉をむかえる。しばらくの間はあの家でゆっくりすることになっている。コクヨウにとっては懐かしい場所だろう。

スールエについたのは夜だったから街は静かなものだった。門番は居たけどな。朝になればきっと彼らが俺達が帰ってきたことを街のみんなに知らせてくれるだろう。サク達にもコクヨウが帰ったことが伝わる筈だ。

スールエを抜けて、森の方へ向かって歩く。俺はここを出てそんなに大して時間は経っていないはずなんだがな…。すごく帰ってきたって感じがする。真っ暗で、月だけが俺達の歩く道を照らす。少し歩けば小さくてこじんまりとした家が見えてくる。

「うわぁ、家!懐かしい…やっと帰ってこれた…」

「コクヨウ、おかえり」

「ん…うん、ただいまタカミ。えへへ」

「今日は流石に疲れたな。さっさと休もうぜ。」

「うん、そうだねタカミ。」

「あー…体キレイにしたい…けど…寝るか」

「うん、寝よ!おやすみタカミ」

「おやすみコクヨウ…」

家に入ってさっさと眠りについた俺達。流石に防具とかは外したけど。歩き過ぎたからな。いくら冒険者として体力があるとはいえ、ここまで歩く事はなかなか無いからな。

「ふぁ~あ…朝か…身体いてぇな。」

「ん……たか…み…」

「おう、まだ寝とけコクヨウ。俺は風呂に湯ためて来るからな。」

「んぅ…」

まだ眠いらしく、寝ぼけているっぽいコクヨウをぽんぽんと叩き寝かせた。昨日はすぐに寝てしまったが、明るくなった室内を改めて見回す。流石にそこまで汚れていないな。それでもあとで掃除は必要だろうが。

それにしても今は旅の間に食べてた保存食しか残ってないからな。あとで買い物いかねぇと。コクヨウも友達に会いたいだろうしな。風呂はいい感じに溜まったな。んじゃそろそろコクヨウ起こすかな。

「おーい、コクヨウ、そろそろ起きろよ。」

「んー…んむぅ…もう…ちょっと…タカミ…」

「はぁ…まぁいい。ならお前一人で寝とけ。俺は俺で勝手にする。」

「…だぁめ!!タカミは僕の側にいるの!」

「うおおっ!?あっぶねぇだろうが!馬鹿!」

「バカはタカミでしょ!僕から離れようとして…」

「はぁ?風呂入るだけだろうが!」

「むぅ一緒に入ればいいじゃん。」

「だから、お前が起きようとしなかったんだろ?まったく…」

「一緒に入ろって言ってた?」

「いや、ちゃんとは言ってねぇけど…」

「ほら!もータカミ!ちゃんと言ってよ。」

「はぁ…悪かった。風呂冷めるしさっさと入るぞ。」

「うん」

温かな湯に浸かれば疲れた体が癒やされる。狭いけど…まぁ良いか。旅の間はこうやってゆっくりするのもなかなか出来なかったからな。





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】白い塔の、小さな世界。〜監禁から自由になったら、溺愛されるなんて聞いてません〜

N2O
BL
溺愛が止まらない騎士団長(虎獣人)×浄化ができる黒髪少年(人間) ハーレム要素あります。 苦手な方はご注意ください。 ※タイトルの ◎ は視点が変わります ※ヒト→獣人、人→人間、で表記してます ※ご都合主義です、あしからず

転生令息は冒険者を目指す!?

葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。  救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。  再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。  異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!  とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A

無能の騎士~退職させられたいので典型的な無能で最低最悪な騎士を演じます~

紫鶴
BL
早く退職させられたい!! 俺は労働が嫌いだ。玉の輿で稼ぎの良い婚約者をゲットできたのに、家族に俺には勿体なさ過ぎる!というので騎士団に入団させられて働いている。くそう、ヴィがいるから楽できると思ったのになんでだよ!!でも家族の圧力が怖いから自主退職できない! はっ!そうだ!退職させた方が良いと思わせればいいんだ!! なので俺は無能で最悪最低な悪徳貴族(騎士)を演じることにした。 「ベルちゃん、大好き」 「まっ!準備してないから!!ちょっとヴィ!服脱がせないでよ!!」 でろでろに主人公を溺愛している婚約者と早く退職させられたい主人公のらぶあまな話。 ーーー ムーンライトノベルズでも連載中。

使い捨ての元神子ですが、二回目はのんびり暮らしたい

夜乃すてら
BL
 一度目、支倉翠は異世界人を使い捨ての電池扱いしていた国に召喚された。双子の妹と信頼していた騎士の死を聞いて激怒した翠は、命と引き換えにその国を水没させたはずだった。  しかし、日本に舞い戻ってしまう。そこでは妹は行方不明になっていた。  病院を退院した帰り、事故で再び異世界へ。  二度目の国では、親切な猫獣人夫婦のエドアとシュシュに助けられ、コフィ屋で雑用をしながら、のんびり暮らし始めるが……どうやらこの国では魔法士狩りをしているようで……?  ※なんかよくわからんな…と没にしてた小説なんですが、案外いいかも…?と思って、試しにのせてみますが、続きはちゃんと考えてないので、その時の雰囲気で書く予定。  ※主人公が受けです。   元々は騎士ヒーローもので考えてたけど、ちょっと迷ってるから決めないでおきます。  ※猫獣人がひどい目にもあいません。 (※R指定、後から付け足すかもしれません。まだわからん。)  ※試し置きなので、急に消したらすみません。

【完結】お嬢様の身代わりで冷酷公爵閣下とのお見合いに参加した僕だけど、公爵閣下は僕を離しません

八神紫音
BL
 やりたい放題のわがままお嬢様。そんなお嬢様の付き人……いや、下僕をしている僕は、毎日お嬢様に虐げられる日々。  そんなお嬢様のために、旦那様は王族である公爵閣下との縁談を持ってくるが、それは初めから叶わない縁談。それに気付いたプライドの高いお嬢様は、振られるくらいなら、と僕に女装をしてお嬢様の代わりを果たすよう命令を下す。

【完結】雨降らしは、腕の中。

N2O
BL
獣人の竜騎士 × 特殊な力を持つ青年 Special thanks illustration by meadow(@into_ml79) ※素人作品、ご都合主義です。温かな目でご覧ください。

【完結】守護霊さん、それは余計なお世話です。

N2O
BL
番のことが好きすぎる第二王子(熊の獣人/実は割と可愛い) × 期間限定で心の声が聞こえるようになった黒髪青年(人間/番/実は割と逞しい) Special thanks illustration by 白鯨堂こち ※ご都合主義です。 ※素人作品です。温かな目で見ていただけると助かります。

俺の伴侶はどこにいる〜ゼロから始める領地改革 家臣なしとか意味分からん〜

琴音
BL
俺はなんでも適当にこなせる器用貧乏なために、逆に何にも打ち込めず二十歳になった。成人後五年、その間に番も見つけられずとうとう父上静かにぶちギレ。ならばと城にいても楽しくないし?番はほっとくと適当にの未来しかない。そんな時に勝手に見合いをぶち込まれ、逃げた。が、間抜けな俺は騎獣から落ちたようで自分から城に帰還状態。 ならば兄弟は優秀、俺次男!未開の地と化した領地を復活させてみようじゃないか!やる気になったはいいが……… ゆるゆる〜の未来の大陸南の猫族の小国のお話です。全く別の話でエリオスが領地開発に奮闘します。世界も先に進み状況の変化も。番も探しつつ…… 世界はドナシアン王国建国より百年以上過ぎ、大陸はイアサント王国がまったりと支配する世界になっている。どの国もこの大陸の気質に合った獣人らしい生き方が出来る優しい世界で北から南の行き来も楽に出来る。農民すら才覚さえあれば商人にもなれるのだ。 気候は温暖で最南以外は砂漠もなく、過ごしやすく農家には適している。そして、この百年で獣人でも魅力を持つようになる。エリオス世代は魔力があるのが当たり前に過ごしている。 そんな世界に住むエリオスはどうやって領地を自分好みに開拓出来るのか。 ※この物語だけで楽しめるようになっています。よろしくお願いします。

処理中です...