58 / 130
58
しおりを挟む無事にAランクに上がることが出来た訳だが、流石に緊張感もあって疲れた。試験当日はさっさと宿へ帰りゆっくり休んだ。そして次の日にはコクヨウが俺を祝ってくれた。お高い店を予約して、連れて行ってくれたのだ。
俺はそんな店に立ち入れるような堅苦しい服は持ち合わせていなかったのだが、いつの間にかコクヨウによって準備されていた。コクヨウと揃いの服を着て、店に入る。
丁寧に出迎えられ個室へ通される。俺にはよく分からなかったので注文はコクヨウに任せた。すると俺の好きな感じの料理が次々運ばれてきた。そして運び終えると出ていってくれた。
「ふぅ……」
「タカミ?」
何とも上品な感じで接してくるので、俺も畏まってしまっていた。二人きりになってようやく肩の力が抜けた。
「あぁ、わりぃ。なんか緊張してな。こういう雰囲気のとこって…」
「やっぱり?でもこういう日くらい、良いかなと思ったんだよ。」
「ははっ!たしかにな、すげぇ美味そう。」
「でしょでしょ!タカミが好きそうだなと思ってたんだ。食べよ!」
「おう、いただきます」
「いただきます!」
高いだけあって洗練された味付け、見た目、素材。メインである肉料理も素晴らしい肉汁、柔らかさ。最高に美味い…。さらに肉に添えられている野菜まで美味いと来た。うん、この店良い。俺の好みにも程がある。
「うわぁ、最高に美味い!流石コクヨウ、俺のことよく分かってんな!」
「えへへ!タカミのことばっかり考えてるもん。喜んでくれて嬉しい!」
「そりゃ嬉しいさ、ところでコクヨウの試験終わるまではこっちにいることにしたから。」
「やった!!どうやって引き留めようか考えてたんだ!」
「まぁ、でも無理はするなよ。怪我したら心配だからな。」
「うん、タカミのくれたこのネックレスもあるし大丈夫!」
「ん、そのネックレス、まだ割れてねぇんだな。ってことはお前は危ない目には合ってないってことだな。良かった良かった。」
「うん、だってタカミにもらった大事なネックレス壊す訳にはいかないからね。」
「いや、それより命のほうが大事だろうが。」
「…そうだけど…でもタカミにもらったものは全部大事にするの!」
「はいはい大事にしてくれて嬉しいぜ。これからも命大事にな。」
「はーい。」
そんな楽しい一時を経て、俺達はSランク試験に適した魔物が現れるのを待っていた。俺はAランクに上がったので、時々依頼をこなして過ごしていた。依頼料も高いし、金策には良い。
コクヨウがSに上がったときには盛大に祝ってやらないといけないからな。Sランクパーティーの三人にも礼をしなくてはならないし。金があるに超したことはない。
「タカミー、依頼一緒に行きたい。」
「いやいや、お前と行ったら俺の成長になんねぇだろ。」
「むぅ…何もしない!本当に付いていくだけならいい?」
「まぁ、それなら…ってそこまでして付いてこなくてもいいだろ。」
「えぇ、最近構ってくれないし寂しい。」
「全く寂しがりだな、コクヨウ。」
「うん。」
「仕方ねぇ、明日は一緒に行くか。」
「うん!」
27
お気に入りに追加
1,275
あなたにおすすめの小説

ぼくは男なのにイケメンの獣人から愛されてヤバい!!【完結】
ぬこまる
BL
竜の獣人はスパダリの超絶イケメン!主人公は女の子と間違うほどの美少年。この物語は勘違いから始まるBLです。2人の視点が交互に読めてハラハラドキドキ!面白いと思います。ぜひご覧くださいませ。感想お待ちしております。


【完結】俺の身体の半分は糖分で出来ている!? スイーツ男子の異世界紀行
うずみどり
BL
異世界に転移しちゃってこっちの世界は甘いものなんて全然ないしもう絶望的だ……と嘆いていた甘党男子大学生の柚木一哉(ゆのきいちや)は、自分の身体から甘い匂いがすることに気付いた。
(あれ? これは俺が大好きなみよしの豆大福の匂いでは!?)
なんと一哉は気分次第で食べたことのあるスイーツの味がする身体になっていた。
甘いものなんてろくにない世界で狙われる一哉と、甘いものが嫌いなのに一哉の護衛をする黒豹獣人のロク。
二人は一哉が狙われる理由を無くす為に甘味を探す旅に出るが……。
《人物紹介》
柚木一哉(愛称チヤ、大学生19才)甘党だけど肉も好き。一人暮らしをしていたので簡単な料理は出来る。自分で作れるお菓子はクレープだけ。
女性に「ツルツルなのはちょっと引くわね。男はやっぱりモサモサしてないと」と言われてこちらの女性が苦手になった。
ベルモント・ロクサーン侯爵(通称ロク)黒豹の獣人。甘いものが嫌い。なので一哉の護衛に抜擢される。真っ黒い毛並みに見事なプルシアン・ブルーの瞳。
顔は黒豹そのものだが身体は二足歩行で、全身が天鵞絨のような毛に覆われている。爪と牙が鋭い。
※)こちらはムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
※)Rが含まれる話はタイトルに記載されています。

王子なのに戦場の聖域で好き勝手ヤってたら獣人に飼われました
サクラギ
BL
戦場で共に戦う者たちを慰める場所、聖域がある。そこでは国も身分も関係なく集うことができた。
獣人と戦士が書きたいだけで始めました。独りよがりなお話をお許し下さいます方のみお進みください。

女神の間違いで落とされた、乙女ゲームの世界でオレは愛を手に入れる。
にのまえ
BL
バイト帰り、事故現場の近くを通ったオレは見知らぬ場所と女神に出会った。その女神は間違いだと気付かずオレを異世界へと落とす。
オレが落ちた異世界は、改変された獣人の世界が主体の乙女ゲーム。
獣人?
ウサギ族?
性別がオメガ?
訳のわからない異世界。
いきなり森に落とされ、さまよった。
はじめは、こんな世界に落としやがって! と女神を恨んでいたが。
この異世界でオレは。
熊クマ食堂のシンギとマヤ。
調合屋のサロンナばあさん。
公爵令嬢で、この世界に転生したロッサお嬢。
運命の番、フォルテに出会えた。
お読みいただきありがとうございます。
タイトル変更いたしまして。
改稿した物語に変更いたしました。

[完結]堕とされた亡国の皇子は剣を抱く
小葉石
BL
今は亡きガザインバーグの名を継ぐ最後の亡国の皇子スロウルは実の父に幼き頃より冷遇されて育つ。
10歳を過ぎた辺りからは荒くれた男達が集まる討伐部隊に強引に入れられてしまう。
妖精姫との名高い母親の美貌を受け継ぎ、幼い頃は美少女と言われても遜色ないスロウルに容赦ない手が伸びて行く…
アクサードと出会い、思いが通じるまでを書いていきます。
※亡国の皇子は華と剣を愛でる、
のサイドストーリーになりますが、この話だけでも楽しめるようにしますので良かったらお読みください。
際どいシーンは*をつけてます。
異世界に転生したら竜騎士たちに愛されました
あいえだ
BL
俺は病気で逝ってから生まれ変わったらしい。ど田舎に生まれ、みんな俺のことを伝説の竜騎士って呼ぶんだけど…なんだそれ?俺は生まれたときから何故か一緒にいるドラゴンと、この大自然でゆるゆる暮らしたいのにみんな王宮に行けって言う…。王宮では竜騎士イケメン二人に愛されて…。
完結済みです。
7回BL大賞エントリーします。
表紙、本文中のイラストは自作。キャライラストなどはTwitterに順次上げてます(@aieda_kei)
秘めやかな愛に守られて【目覚めたらそこは獣人国の男色用遊郭でした】
カミヤルイ
BL
目覚めたら、そこは獣人が住む異世界の遊郭だった──
十五歳のときに獣人世界に転移した毬也は、男色向け遊郭で下働きとして生活している。
下働き仲間で猫獣人の月華は転移した毬也を最初に見つけ、救ってくれた恩人で、獣人国では「ケダモノ」と呼ばれてつまはじき者である毬也のそばを離れず、いつも守ってくれる。
猫族だからかスキンシップは他人が呆れるほど密で独占欲も感じるが、家族の愛に飢えていた毬也は嬉しく、このまま変わらず一緒にいたいと思っていた。
だが年月が過ぎ、月華にも毬也にも男娼になる日がやってきて、二人の関係性に変化が生じ────
独占欲が強いこっそり見守り獣人×純情な異世界転移少年の初恋を貫く物語。
表紙は「事故番の夫は僕を愛さない」に続いて、天宮叶さんです。
@amamiyakyo0217
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる