黒豹拾いました

おーか

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無事にAランクに上がることが出来た訳だが、流石に緊張感もあって疲れた。試験当日はさっさと宿へ帰りゆっくり休んだ。そして次の日にはコクヨウが俺を祝ってくれた。お高い店を予約して、連れて行ってくれたのだ。

俺はそんな店に立ち入れるような堅苦しい服は持ち合わせていなかったのだが、いつの間にかコクヨウによって準備されていた。コクヨウと揃いの服を着て、店に入る。

丁寧に出迎えられ個室へ通される。俺にはよく分からなかったので注文はコクヨウに任せた。すると俺の好きな感じの料理が次々運ばれてきた。そして運び終えると出ていってくれた。

「ふぅ……」

「タカミ?」

何とも上品な感じで接してくるので、俺も畏まってしまっていた。二人きりになってようやく肩の力が抜けた。

「あぁ、わりぃ。なんか緊張してな。こういう雰囲気のとこって…」

「やっぱり?でもこういう日くらい、良いかなと思ったんだよ。」

「ははっ!たしかにな、すげぇ美味そう。」

「でしょでしょ!タカミが好きそうだなと思ってたんだ。食べよ!」

「おう、いただきます」

「いただきます!」

高いだけあって洗練された味付け、見た目、素材。メインである肉料理も素晴らしい肉汁、柔らかさ。最高に美味い…。さらに肉に添えられている野菜まで美味いと来た。うん、この店良い。俺の好みにも程がある。

「うわぁ、最高に美味い!流石コクヨウ、俺のことよく分かってんな!」

「えへへ!タカミのことばっかり考えてるもん。喜んでくれて嬉しい!」

「そりゃ嬉しいさ、ところでコクヨウの試験終わるまではこっちにいることにしたから。」

「やった!!どうやって引き留めようか考えてたんだ!」

「まぁ、でも無理はするなよ。怪我したら心配だからな。」

「うん、タカミのくれたこのネックレスもあるし大丈夫!」

「ん、そのネックレス、まだ割れてねぇんだな。ってことはお前は危ない目には合ってないってことだな。良かった良かった。」

「うん、だってタカミにもらった大事なネックレス壊す訳にはいかないからね。」

「いや、それより命のほうが大事だろうが。」

「…そうだけど…でもタカミにもらったものは全部大事にするの!」

「はいはい大事にしてくれて嬉しいぜ。これからも命大事にな。」

「はーい。」

そんな楽しい一時を経て、俺達はSランク試験に適した魔物が現れるのを待っていた。俺はAランクに上がったので、時々依頼をこなして過ごしていた。依頼料も高いし、金策には良い。

コクヨウがSに上がったときには盛大に祝ってやらないといけないからな。Sランクパーティーの三人にも礼をしなくてはならないし。金があるに超したことはない。

「タカミー、依頼一緒に行きたい。」

「いやいや、お前と行ったら俺の成長になんねぇだろ。」

「むぅ…何もしない!本当に付いていくだけならいい?」

「まぁ、それなら…ってそこまでして付いてこなくてもいいだろ。」

「えぇ、最近構ってくれないし寂しい。」

「全く寂しがりだな、コクヨウ。」

「うん。」

「仕方ねぇ、明日は一緒に行くか。」

「うん!」




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