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しおりを挟むタカミにとって僕が邪魔になっていることなんてずっと前から分かっていた。けれどそれでも好きだったから…側にいたくて…タカミに甘えて…気持ちを押し付けてタカミを追い詰めた。この結果は全部僕のせいだ。
けれどタカミは優しいから…そんな僕にまだチャンスをくれた。なんとしてもSランクに上がってみせる。そうしたらきっとタカミは喜んでくれる。大好きなタカミが笑ってくれるなら、それだけでいい。どれだけ辛くたって耐えられる。
「…僕を最短でSランクにして。」
「最短で?」
「そう。僕は…早く帰りたい。」
「ふむ…キツいぞ?」
「すげぇ辛いと思うぜ?」
「やめたほうがいいわ。」
キツい?辛い?やめたほうがいい?
うるさい…煩い煩い!そんなことは全部覚悟の上だ。
「そんなのどうでもいい。タカミと離れてるより辛いことなんて何もない。」
「そうかよ。」
「やはり…獣人の好意というのは凄まじいな。」
「彼…愛されてるわね。」
「やってくれるんだな?」
「ああ。」「仕方ねぇからな。」「扱いてあげるわ」
「ならいい。」
「ところでよぉ、気になってたんだが、そのネックレス…」
そう言って指差されたのはタカミが最後に首にかけてくれた物だ。
「僕も気になっていた。」
「私もよ。やっぱり…そうよね?」
「ああ、間違いない。近くで見たら確信できた。」
「なぁなぁ!それちょっとで良いから外して見してくんねぇ?」
「…絶対に嫌だ。これはタカミがくれた物だから」
「それが何か知ってるのか?」
「知らない。」
「それは、救命のネックレスよ。一度だけ貴方の命を守ってくれる。とても貴重で高額なものよ。大切になさい。」
「…タカミのくれた物ならそのへんの石ころだって大事にする。」
「はははっ!こりゃまた癖の強ぇ奴だな。」
「それは服の中に入れておいた方がいい。見られたら狙われるかもしれない。」
「…わかった。」
盗られるなんて冗談じゃない。絶対に誰にも渡さない。それにしても…そんな高価なものまで僕に渡したなんて…。荷物の中には新しい剣だって入ってたし、お金も…。また僕のことばかり優先して…。
それと共に手紙が入っていた。
そこには、勝手に僕を送り出すことを決めて悪かったって書かれてた。あとお金くらいしか上げられるものは無いから、せめてもの気持ちだと…。そんなこと無いのに…ずっと前からタカミには貰ってばっかりなのに…。
絶対にすぐにタカミのところに帰るからね…。寂しいけど…辛いけど…頑張るからね。きっと恩を返すからね。僕がタカミを幸せにしてみせるからね。あと少しだけ、待っててね。
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