38 / 130
38
しおりを挟む時折俺に思い出させるように、迫るような素振りを見せる。しかし引き際は弁えていて、俺のキャパシティを超えるようなことをしてきたりはしない。せいぜい言葉と視線、手の触れ合いや抱き着くくらいだ。
だが…最近何だか色気が増している気がするのだ。なんというか、手を重ねられるだけなのだが、その手付きがエロいというか…。俺だって20そこそこの男だ。性欲が無いわけではない。
そういうふうに触られると意識しないではいられない。だからといって!!息子にそういった目を向けるのは気が咎める。ってか俺が欲求不満なのが悪いのでは…?
はぁ…夜の店にでも世話んなるかな…。最早コクヨウとどう接したらいいのかわからなくなってきた。そこで、この間からちょこちょこ話すようになったセンリを呼び出すことにした。
「センリ、夜空いてるか?相談があるんだが」
「……分かった。この間の店でいいか?」
「おう!ありがとう!」
妙な間があったし、少し嫌そうな顔はされたものの無事に捕まえることができたようだ。というか…センリの忠告どおり何だよなぁ。もっとちゃんと聞いておくんだった。まぁ、聞いていたからと言ってどうにかなったか、と言えば無理なんだが…。
店で酒とつまみを頼み、飲みながらセンリに話を聞いてもらうことにした。素面では恥ずかしくて話せないと思ったからだ。というか酔っていてもヤバい話題ではあるんだが。
「そんで…なんだよわざわざ呼び出して相談って。あの獣人の子供のことか?」
「まぁ、そうだ…ちょっと待ってくれ。もう少し酔ってから話したい」
「…仕方ねぇな。付き合ってやる。お前酒は強い方か?」
「いや、強くねぇ」
「んじゃ先に聞いとくけどよ、宿はどこだよ」
確かにもし酔い潰れたら送ってもらわなければならないかもしれない。そう思ってセンリに宿の場所を伝えた。そして少し飲んで酔いが回ってきたところで、本題を話し始める。
「最近…俺おかしいんだ…コクヨウに恋愛的な意味で好きだって言われて…コクヨウのこと…ちゃんと息子として愛してたんだ…なのに俺…せ、性的な目で…アイツのことを…」
「…そりゃあ向こうはその気なんだろ?別にいいじゃねぇか。」
「そ、そんな簡単な話じゃないだろ?だってまだまだ若いんだし…勘違いってことも…」
「あのな、獣人は番を間違えたりしねぇ。本能的に分かるもんなんだよ。だからな、お前の息子も昔からアンタのこと愛してたんだろうよ」
「そうなのか…?でも…普通にしてたぞ?」
「そりゃあアンタがそういう態度取ってたからだろ。相手にされるまで我慢してたんだよ」
「なるほど…」
「まぁ、とにかくもうくっついちまえばいいんだよ!獣人は執念深いからな。1度好きになったら手に入れるまで諦めねぇぞ?」
「うゔ…考える…」
「そうしてやれ。ってか嫌じゃねぇならさっさと付き合え。そうした方がお互いのためだぜ」
「…わかったよ…ただ…もう少し考えたい…」
「勝手にしろ。考えたって無駄だと思うがな。」
52
お気に入りに追加
1,276
あなたにおすすめの小説
【完結】第三王子は、自由に踊りたい。〜豹の獣人と、第一王子に言い寄られてますが、僕は一体どうすればいいでしょうか?〜
N2O
BL
気弱で不憫属性の第三王子が、二人の男から寵愛を受けるはなし。
表紙絵
⇨元素 様 X(@10loveeeyy)
※独自設定、ご都合主義です。
※ハーレム要素を予定しています。
何も知らない人間兄は、竜弟の執愛に気付かない
てんつぶ
BL
連峰の最も高い山の上、竜人ばかりの住む村。
その村の長である家で長男として育てられたノアだったが、肌の色や顔立ちも、体つきまで周囲とはまるで違い、華奢で儚げだ。自分はひょっとして拾われた子なのではないかと悩んでいたが、それを口に出すことすら躊躇っていた。
弟のコネハはノアを村の長にするべく奮闘しているが、ノアは竜体にもなれないし、人を癒す力しかもっていない。ひ弱な自分はその器ではないというのに、日々プレッシャーだけが重くのしかかる。
むしろ身体も大きく力も強く、雄々しく美しい弟ならば何の問題もなく長になれる。長男である自分さえいなければ……そんな感情が膨らみながらも、村から出たことのないノアは今日も一人山の麓を眺めていた。
だがある日、両親の会話を聞き、ノアは竜人ですらなく人間だった事を知ってしまう。人間の自分が長になれる訳もなく、またなって良いはずもない。周囲の竜人に人間だとバレてしまっては、家族の立場が悪くなる――そう自分に言い訳をして、ノアは村をこっそり飛び出して、人間の国へと旅立った。探さないでください、そう書置きをした、はずなのに。
人間嫌いの弟が、まさか自分を追って人間の国へ来てしまい――

こわいかおの獣人騎士が、仕事大好きトリマーに秒で堕とされた結果
てへぺろ
恋愛
仕事大好きトリマーである黒木優子(クロキ)が召喚されたのは、毛並みの手入れが行き届いていない、犬系獣人たちの国だった。
とりあえず、護衛兼監視役として来たのは、ハスキー系獣人であるルーサー。不機嫌そうににらんでくるものの、ハスキー大好きなクロキにはそんなの関係なかった。
「とりあえずブラッシングさせてくれません?」
毎日、獣人たちのお手入れに精を出しては、ルーサーを(犬的に)愛でる日々。
そのうち、ルーサーはクロキを女性として意識するようになるものの、クロキは彼を犬としかみていなくて……。
※獣人のケモ度が高い世界での恋愛話ですが、ケモナー向けではないです。ズーフィリア向けでもないです。
【完結】黒兎は、狼くんから逃げられない。
N2O
BL
狼の獣人(異世界転移者)×兎の獣人(童顔の魔法士団団長)
お互いのことが出会ってすぐ大好きになっちゃう話。
待てが出来ない狼くんです。
※独自設定、ご都合主義です
※予告なくいちゃいちゃシーン入ります
主人公イラストを『しき』様(https://twitter.com/a20wa2fu12ji)に描いていただき、表紙にさせていただきました。
美しい・・・!
Switch!〜僕とイケメンな地獄の裁判官様の溺愛異世界冒険記〜
天咲 琴葉
BL
幼い頃から精霊や神々の姿が見えていた悠理。
彼は美しい神社で、家族や仲間達に愛され、幸せに暮らしていた。
しかし、ある日、『燃える様な真紅の瞳』をした男と出逢ったことで、彼の運命は大きく変化していく。
幾重にも襲い掛かる運命の荒波の果て、悠理は一度解けてしまった絆を結び直せるのか――。
運命に翻弄されても尚、出逢い続ける――宿命と絆の和風ファンタジー。

ぼくは男なのにイケメンの獣人から愛されてヤバい!!【完結】
ぬこまる
BL
竜の獣人はスパダリの超絶イケメン!主人公は女の子と間違うほどの美少年。この物語は勘違いから始まるBLです。2人の視点が交互に読めてハラハラドキドキ!面白いと思います。ぜひご覧くださいませ。感想お待ちしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる