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しおりを挟む時折俺に思い出させるように、迫るような素振りを見せる。しかし引き際は弁えていて、俺のキャパシティを超えるようなことをしてきたりはしない。せいぜい言葉と視線、手の触れ合いや抱き着くくらいだ。
だが…最近何だか色気が増している気がするのだ。なんというか、手を重ねられるだけなのだが、その手付きがエロいというか…。俺だって20そこそこの男だ。性欲が無いわけではない。
そういうふうに触られると意識しないではいられない。だからといって!!息子にそういった目を向けるのは気が咎める。ってか俺が欲求不満なのが悪いのでは…?
はぁ…夜の店にでも世話んなるかな…。最早コクヨウとどう接したらいいのかわからなくなってきた。そこで、この間からちょこちょこ話すようになったセンリを呼び出すことにした。
「センリ、夜空いてるか?相談があるんだが」
「……分かった。この間の店でいいか?」
「おう!ありがとう!」
妙な間があったし、少し嫌そうな顔はされたものの無事に捕まえることができたようだ。というか…センリの忠告どおり何だよなぁ。もっとちゃんと聞いておくんだった。まぁ、聞いていたからと言ってどうにかなったか、と言えば無理なんだが…。
店で酒とつまみを頼み、飲みながらセンリに話を聞いてもらうことにした。素面では恥ずかしくて話せないと思ったからだ。というか酔っていてもヤバい話題ではあるんだが。
「そんで…なんだよわざわざ呼び出して相談って。あの獣人の子供のことか?」
「まぁ、そうだ…ちょっと待ってくれ。もう少し酔ってから話したい」
「…仕方ねぇな。付き合ってやる。お前酒は強い方か?」
「いや、強くねぇ」
「んじゃ先に聞いとくけどよ、宿はどこだよ」
確かにもし酔い潰れたら送ってもらわなければならないかもしれない。そう思ってセンリに宿の場所を伝えた。そして少し飲んで酔いが回ってきたところで、本題を話し始める。
「最近…俺おかしいんだ…コクヨウに恋愛的な意味で好きだって言われて…コクヨウのこと…ちゃんと息子として愛してたんだ…なのに俺…せ、性的な目で…アイツのことを…」
「…そりゃあ向こうはその気なんだろ?別にいいじゃねぇか。」
「そ、そんな簡単な話じゃないだろ?だってまだまだ若いんだし…勘違いってことも…」
「あのな、獣人は番を間違えたりしねぇ。本能的に分かるもんなんだよ。だからな、お前の息子も昔からアンタのこと愛してたんだろうよ」
「そうなのか…?でも…普通にしてたぞ?」
「そりゃあアンタがそういう態度取ってたからだろ。相手にされるまで我慢してたんだよ」
「なるほど…」
「まぁ、とにかくもうくっついちまえばいいんだよ!獣人は執念深いからな。1度好きになったら手に入れるまで諦めねぇぞ?」
「うゔ…考える…」
「そうしてやれ。ってか嫌じゃねぇならさっさと付き合え。そうした方がお互いのためだぜ」
「…わかったよ…ただ…もう少し考えたい…」
「勝手にしろ。考えたって無駄だと思うがな。」
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