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しおりを挟むタダクの街には予定よりも早くつくことができた。スールエの3倍もの大きさを誇る街で、人口も多く賑わっている。タダクがダンジョンを抱える街だということもあって、冒険者の数もとても多い。
「ふぅ…無事に辿り着いたな。コクヨウ、迷子にならないように手繋ぐか?」
「む…子供扱いしないでよ。」
「ははは!この街は広いからな。逸れたら困るだろ。」
「ん!」
「おう」
コクヨウはムッとしたが、素直に手を差し出してくれた。何故だか指を絡めるように繋がれたのは解せない。まぁこれで逸れることもないだろうし、いいんだが…。
取り敢えずその辺の奴らに聞いて、冒険者学校を目指して歩き出す。入学手続きを終えたら、今日の宿探しだな。冒険者ギルドに顔出して良い宿教えてもらうか。
手続きは案外簡単に終わって、入学金を収めて入学証書を手渡される。入学式のときにそれを見せることで入学者の証明とするらしい。入学式まで大切に保管しなければならない。コクヨウも収納魔法を使えるようになっていたので、そこにしまった。
宿を探すにあたって、冒険者ギルドに向かう。冒険者ギルドはダンジョンの近くにあり、緊急事態…例えばスタンピードとかが起こったときに指揮が取りやすいようにだとか、利用者の利便性なんかを考慮してだとからしい。
「初めてのご利用ですか?」
「ああ、このギルドは初めてだ。今回はダンジョンの情報とか、冒険者学校について聞きたいんだが」
「かしこまりました。ダンジョンの情報は無料で公開されているものと、有料で有益な情報があります。因みにお支払い頂いた情報料は、情報を提供してくださった冒険者に還元されます。また、有料の情報は口外なさらないようにお願い致します。」
「情報提供か…それは誰でも出来るのか?」
「ええ、出来ます。ギルドが提供して頂いた情報の正誤を確かめた後、有益なものは情報料を継続的にお受け取り頂けますので、なにか有れば、是非情報提供をお願い致します。また、例外的に知らなければ冒険者にとって多大な危険となるような…例えば致死のトラップについての情報などはギルド買い取りにて、無料で公開されます。」
「なるほど。わかった。ありがとう。取り敢えず無料の情報を教えてくれ。」
「かしこまりました。有料公開の情報のリストはご覧になりますか?」
「ああ、見たい。」
「それでは少々お待ち下さい。」
「ああ」
取り敢えずこれでよし。
コクヨウに気遣わせることなんか無いくらい稼がねぇとな、と意気込んだのはいいが、先ずは情報だよな。死んだら元も子もない。タダクの情報について色々聞いて回ったし、ギルドでも教えてもらった。
しかし、やはりそれだけでは実際にそこで活動している冒険者程の情報は得られない。
ギルドで昼間から酒盛りしている冒険者たちに近づいて行く。こういう人らが情報くれるんだよな。
「なぁ、あんたら、1杯奢るからよ、色々聞かせてくれねぇか?」
「あ?他のとこから来たのか?」
「俺はいいぜ。教えてやるよ。だから俺に3杯な!」
「は?俺も教えないとは言ってねぇ。」
「俺もだぜ!」
「そんなに金はないんだ。1杯ずつで勘弁してくれ。」
「仕方ねぇなぁ。」
「ガキ連れだしな。まぁいいぜ」
「アンタの子か?獣人みてぇだが」
「ああ、俺の子だ。この子を冒険者学校に入れるためにこの街に来たんだ。それで、当面の宿とダンジョンについて教えてほしい」
「宿か!安さだけで選ぶならギルド併設の宿だな。まぁ夜中もうるせぇから勧めねぇけどな。」
「俺的にはあそこがいいぜ、市場の真ん中らへんにある青い鳥の看板の宿だ。」
「ああ!あそこな!俺もそこは良いと思うぜ」
「そうか、じゃあそこに顔出してみるか。」
「あとはダンジョンについてだったか?」
「ああ」
「あー…話すと長いから実際一緒に行ってみっか?」
「ああ、それがいい、俺達とダンジョン潜るってのでいいか?」
「…いいのか?そこまで世話になるのは…」
「いいぜ。若い奴がダンジョンに無謀に挑んで死んでくのは…やっぱり見てらんねぇからな」
「まぁまた明日の朝来いや。その時ダンジョン行くからよ。」
「わかった。助かる。俺はタカミだ。宜しく頼む」
「おお!俺はリュージだ。」「俺がセージな。」「俺はコージだぜ。」
三人と別れて、ギルド受付に資料を貰って、ギルドを出る。教えられた宿に向かうと、確かに良宿のようで、飯も部屋も良かった。
「ねぇ…タカミ…あの人たち信じてよかったの…?」
「あ?あぁ、多分な。」
「明日…僕も行っていい?」
「あ?駄目に決まってるだろ。」
「…でも…」
「大丈夫だから心配すんな。ちゃんとお前のとこに帰ってくる」
「ん…わかった…」
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