24 / 130
24
しおりを挟む俺が意識を失ってからの経緯は、ともに商隊の護衛をしていた冒険者たちが俺が目覚めたのを聞いて見舞いに来てくれて、教えてくれた。コクヨウは俺が街に帰ってきてから片時も離れることなく側にいてくれたらしい。
「見舞い来たぞ!俺らも次の依頼あるから、その挨拶もあってな。」「おー、元気そうだな」「目が覚めて良かった」
「わざわざありがとな。迷惑かけた。もう行くんだな」
「ああ、また商隊の護衛をする。今回のはありゃあ避けれねぇよ。普通ないことだしな。」
「だな…ともかく助かった。商隊も無事でよかった…」
「これ、成功報酬な。」
「ああ、ありがとな。」
「じゃあまた会うこともあるだろうしそろそろお暇する。じゃあな」「またな」「また会おうぜ」
「おう!またな」
因みに俺達二人ともぶっ倒れてからは、冒険者たちが俺達の家に運んでくれたのだそうだ。ありがてぇ。先に意識を取り戻したコクヨウがそう言ったんだと。
冒険者たちが来ている間もべったりだったが、コクヨウは常時抱きつき状態だ。顔色悪いんだよな。体調悪そうだ。
「コクヨウ、お前一旦寝ときな。」
「うん…」
「おやすみ」
「…どこも…いかない…?」
「当たり前だろ。」
「おやすみ…」
目の下に隈作ってまで必死に看病してくれたらしいコクヨウを寝かせる。それにしても…回復魔法か。使える奴はそこそこいるけど、教会所属のやつばっかだからな。教えれるやつがそんなにいない。
俺も使えるけど…擦り傷くらいしか治せねぇから適正低いんだよな。コクヨウのは様子を聞くに、適正高いんだろうな。どうすっかなー。
回復魔法が使える奴ってのは狙われる。教会に所属することで守ってもらう奴が多い訳だが…コクヨウのことを教会に入れる気はない。教会に所属した奴はそれはそれで幸せなようだが、自由は少なくなる。半強制的に回復魔法を使わされるってのもあるからな。
あー…とりあえず、コクヨウのおかげで元気になったし、色々礼言いに行かねぇと。けど、今はコクヨウの側にいてやらないとな。凄く心配をかけたようだしな。
「ん…た…かみ…すき…」
「コクヨウ…ふっ…俺も好きだぞ」
「んふふ…」
寝言言ってるし、なんか楽しそう。にこにこしてる。ぷにぷにしたほっぺたをつつく。
「んにゃ…や…」
軽く手を払われた。払ったかと思えば、ぎゅっと掴まれる。絶対に離さないと言わんばかりに両手でしっかりと抱え込まれる。そして尻尾も絡まる。
「ははっホント可愛いなお前。」
片手はがっちりと拘束されたので、もう片方の手で抱き寄せる。俺の半分にも満たない小さな体。こんなにも小さな子が必死に俺を助けてくれた。本当にいつも助けられてばかりだな…。
暖かな体温。俺よりも少し高い温度に癒やされる。今出来ることもないし、俺も寝ておくか。
30
お気に入りに追加
1,234
あなたにおすすめの小説
すべてを奪われた英雄は、
さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。
隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。
それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。
すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。
小悪魔系世界征服計画 ~ちょっと美少年に生まれただけだと思っていたら、異世界の救世主でした~
朱童章絵
BL
「僕はリスでもウサギでもないし、ましてやプリンセスなんかじゃ絶対にない!」
普通よりちょっと可愛くて、人に好かれやすいという以外、まったく普通の男子高校生・瑠佳(ルカ)には、秘密がある。小さな頃からずっと、別な世界で日々を送り、成長していく夢を見続けているのだ。
史上最強の呼び声も高い、大魔法使いである祖母・ベリンダ。
その弟子であり、物腰柔らか、ルカのトラウマを刺激しまくる、超絶美形・ユージーン。
外見も内面も、強くて男らしくて頼りになる、寡黙で優しい、薬屋の跡取り・ジェイク。
いつも笑顔で温厚だけど、ルカ以外にまったく価値を見出さない、ヤンデレ系神父・ネイト。
領主の息子なのに気さくで誠実、親友のイケメン貴公子・フィンレー。
彼らの過剰なスキンシップに狼狽えながらも、ルカは日々を楽しく過ごしていたが、ある時を境に、現実世界での急激な体力の衰えを感じ始める。夢から覚めるたびに強まる倦怠感に加えて、祖母や仲間達の言動にも不可解な点が。更には魔王の復活も重なって、瑠佳は次第に世界全体に疑問を感じるようになっていく。
やがて現実の自分の不調の原因が夢にあるのではないかと考えた瑠佳は、「夢の世界」そのものを否定するようになるが――。
無自覚小悪魔ちゃん、総受系愛され主人公による、保護者同伴RPG(?)。
(この作品は、小説家になろう、カクヨムにも掲載しています)
秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆
―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。―
モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。
だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。
そう、あの「秘密」が表に出るまでは。
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。
光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。
みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。
生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。
何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。
【完結】『ルカ』
瀬川香夜子
BL
―――目が覚めた時、自分の中は空っぽだった。
倒れていたところを一人の老人に拾われ、目覚めた時には記憶を無くしていた。
クロと名付けられ、親切な老人―ソニーの家に置いて貰うことに。しかし、記憶は一向に戻る気配を見せない。
そんなある日、クロを知る青年が現れ……?
貴族の青年×記憶喪失の青年です。
※自サイトでも掲載しています。
2021年6月28日 本編完結
BLゲームのモブに転生したので壁になろうと思います
雪
BL
前世の記憶を持ったまま異世界に転生!
しかも転生先が前世で死ぬ直前に買ったBLゲームの世界で....!?
モブだったので安心して壁になろうとしたのだが....?
ゆっくり更新です。
迷子の僕の異世界生活
クローナ
BL
高校を卒業と同時に長年暮らした養護施設を出て働き始めて半年。18歳の桜木冬夜は休日に買い物に出たはずなのに突然異世界へ迷い込んでしまった。
通りかかった子供に助けられついていった先は人手不足の宿屋で、衣食住を求め臨時で働く事になった。
その宿屋で出逢ったのは冒険者のクラウス。
冒険者を辞めて騎士に復帰すると言うクラウスに誘われ仕事を求め一緒に王都へ向かい今度は馴染み深い孤児院で働く事に。
神様からの啓示もなく、なぜ自分が迷い込んだのか理由もわからないまま周りの人に助けられながら異世界で幸せになるお話です。
2022,04,02 第二部を始めることに加え読みやすくなればと第一部に章を追加しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる