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しおりを挟むタカミの居場所を見ていたらそろそろ帰ってくるって分かったから、出迎える為に泊めてくれていたサクの家を出る。ずっと待ってた。寂しかったけど、辛かったけど、それでも我慢した。だからいっぱい褒めてもらうんだ。そんなことくらいしか考えてなかったんだ。
「そろそろタカミ帰ってくるみたい!出迎えに行ってくる!」
「おー!良かったな!」
「気を付けて行くのよ!」
「うん!」
なんだか様子がおかしい。血の匂い…それにタカミの姿が見えない。意味が分からなかった…だって…だってあんなにも元気に出て行った。絶対に帰ってくるって…そう約束した。それに今回の依頼は難しいものではなかったはずだった。Bランクに上がるためにこなさなくてはいけないものだけれど、難易度は高くない。そう聞いていた。
だからこそ安心して送り出した。タカミは絶対に帰ってくるって信じられた。
「誰か!!!直ぐに治癒師を呼んでくれ!!ポーションは飲ませたが、まだ意識が戻ってねぇんだ!頼むよ!!」
「何かあったのか!?」
「そうだ!デカいボアに突撃されたんだ!それで意識を失った。ボアの方は倒したが、護衛をしてた冒険者がヤバイかもしれねぇ!」
「ぼう…けんしゃ…ねぇ!タカミは?ねぇ!ねぇ!」
「あ、お前タカミのガキだな…。ワリィ、タカミは今ケガしててな…でも大丈夫だからよ。絶対に大丈夫だから」「そ、そうだぜ。タカミは強え男だし、大丈夫だ」
馬車の中に寝かされているタカミ。その姿を一目見たときからもう何も聞こえない。情報が入って来ない。ボロボロになった服…濃密な血の香り。そこにある仄暗い死の気配に不安が大きくなる。眠るように目を閉じるタカミ。触れてみれば温かい。生きてる…
怪我も無い…血は出てるけどもう治療されてる。それでも僕の心は不安に囚われたままだ。手が震える。呼吸が速く浅くなっていく。
「…た…かみ…なんで…はっ…はっはっ…」
まともに息ができない。このままだとタカミから離されてしまうかもしれない…
「おい、大丈夫か!しっかりしろ!」
「ん…はっ…はっ…へ…いき…」
タカミが…死んじゃうのはいやだ…嫌だ嫌だ嫌だ!!
やっと見つけたんだ…僕をちゃんと見てくれる心から信頼出来る人を。絶対に失いたくない…元気になってよタカミ…お願い…僕はどうなってもいいからタカミを助けて。
タカミが助かるように強く強く願った。
視界が真っ白に染まったかと思えば、身体から力が抜ける。何がなんだか分からなかったが…これで大丈夫だって分かった。
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