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しおりを挟む先日の喧嘩をきっかけに仲良くなれたようで、学校も楽しくなったようだ。どんなふうに遊んだとか楽しそうに話してくれるようになった。今までは年にしては大人っぽい感じに振る舞っていたので、子供っぽい面を見せてくれて安心した。
「あのね、今日は鬼ごっこやってね、僕全然捕まらなかった!」
「そうか。楽しかったんだな」
「うん!また明日リベンジするって三人に言われたんだー!」
「そうかそうか、頑張れよ!」
「うん!」
ちょっと自慢げなコクヨウが可愛い。今は仲良し4人組になったんだそうだ。コクヨウが素振りを教えてあげたり、逆に遊びを教えて貰ったりしていると言っていた。三人の名前は、サクとヒロとレオという。
コクヨウは彼らに俺の冒険談を話したりしているらしい。そのおかけで俺も懐かれている。コクヨウを迎えに行くと、引き留められて話聞かせてくれ、と強請られたりする。
「なぁなぁ!冒険の話聞かせてくれよ!」
「聞きたい!」「俺も!」
「んー…おぉそうだなぁ…」
俺にはそんなに話せるような内容無いんだけどなぁ。然程強い訳でもねぇし。どこにでもいるくらいの冒険者だ。それでも男ってのは、冒険とか強さに憧れるものだからな。特に小さい頃なんかそうだった。
話せることも無いしで、俺が困っていると大体コクヨウが助けてくれる。気遣いのできる良い子なのだ。
「駄目駄目!タカミの話は僕が聞いておくから、また聞かせてあげる。」
「えー!お前だけずりぃ!」「なー!ずるいって!」「俺らも聞きたい!」
「駄目!っていうか早く帰って手伝いしないと怒られるんじゃないの?」
「あ!そうだった!帰るぞ」「おう」「うん」
「3人ともまた明日!じゃあな!」
「「「また明日!じゃあなー」」」
バタバタと慌ただしく去っていった。嵐のようだ…。彼らの家は八百屋、魚屋、肉屋を経営していて、家も近くなので仲が良いらしい。そして、帰ったら家で手伝いをしているのだ。偉いよな。コクヨウも家事手伝ってれるし。みんな良い子だ。
「帰るかコクヨウ」
「うん!」
「今日はレオくんとこで肉買ってきた。オマケしてくれたからな。コクヨウにいっぱい食べさせてやってくれってよ。」
「やった!お礼言っとく!」
「おう因みに野菜も魚もあるからな。そっちも食えよ」
「…はぁい」
コクヨウは三人の母親にも好かれている。いつの間にか、懐に潜り込んだようだ。人をたらしこむのが上手いらしい。買い物に行けば、それだけじゃ栄養が偏るとか言われて、野菜も魚も買うことになる。
現役の母親が言うのだから間違いないだろう、と従っている。俺だけでは不安だからな。子育てなんて初めての経験だし。栄養バランスのことなんて気にかけてもいなかった。
俺もコクヨウも本当に世話になってる…初対面は中々だったが、知り合えて良かったと思う。旦那さん方にも会ったが、初手で謝罪された。冒険者について悪く言ったようで悪かった、と言われた。俺も即座に怪我をさせたことを謝罪したのだが、男だし少しくらい平気だと、カラッと笑って許してくれた。
本当に人の縁というのは、時に思いもよらない形で結ばれるものだな。
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