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しおりを挟む端的に言ってコクヨウは離れたがらない位のもので、あとは手の掛からない子だった。あれから1ヶ月経つけど、泣いたりもしないし、手伝いもしてくれるし。着替えも一人でできるようになったし、歯磨きもちゃんとする。朝だって俺より早く起きやがる。
小さい頃はよく泣いていたんだよな。でもまだ1年も経ってねぇ。なんか不思議な感じだ。
「おはようコクヨウ」
「タカミおはよう。今日も走るの?」
「おう、一緒に行くか?」
「うん」
体力作りに森の道を走っている。それから、剣を振ったり、魔力循環なんかをしている。魔力は一応多い方だからな。戦いにも使えるようにしておくのだ。
コクヨウがタオルを手渡してくれる。気遣いの出来る子だ。時々俺の方が世話されてるんじゃないかと思うほどだ。まぁそんなコクヨウとの暮らしは快適だ。流石に飯は俺が作ってるし、風呂も炊いてる。包丁とか火使うのは危ないからな。
毎朝の習慣として、墓に水を供えて手を合わせる。コクヨウも隣で手を合わせている。それが終わると朝飯だ。朝は大体パンと簡単なスープだ。
「コクヨウ、飯出来たぞ」
「うん」
「「いただきます」」
「ねぇ今日はどうするの?」
「そうだな、今日はギルド行くぞ」
「うん、わかった」
「コクヨウは一緒に来るか?」
「一緒に行く」
まぁそう言うとは思ってた。けど、俺が決めつけていい事なんてねぇからな。コクヨウは自由に行動していいんだからな。もちろん悪いことをしようとしてれば止めるけど。そんなことしないしな。
「ギルド長、いたんですか?聞いてくださいよ!家の子、めちゃくちゃ良い子で!優しいし頭も良いし!」
「あーはいはい、お前のウチの子自慢は聞き飽きてるから勘弁しろ。んでついでにお前向けの依頼な。目通しといてくれ」
「はい、けどホントにコクヨウは良い子なんだよ!ギルド長」
「はいはい、誰か聞いてやってくれー」
「いやいや、俺らも聞き飽きてるぜギルド長」
「そうそう、いつでもその子のことばっかだからな」
「愛されてんなー坊主」
「ふふっ僕もタカミが好きだから嬉しい」
「はぁコクヨウはホントに良い子だなぁ。よしよし。あ、依頼の魔石と薬草、その他諸々だ。買い取り頼む。」
「かしこまりました。お時間頂きます。報酬の受け取りの際には冒険者証をご提示ください」
「おう。コクヨウ、行くぞ」
「うん」
街で過ごす時は市場を見て回ったり、コクヨウが興味ありそうなところを見ている。それか図書館行って勉強だ。勉強のときは大抵図書館の開館から閉館まで入り浸っている。子供の頃なんて勉強は大嫌いだった記憶しかないが、コクヨウは勉強も好きなようだ。
文字もすぐに覚えられたようで、一月もすれば簡単な絵本を読めるまでになっていた。もともと喋れたのも大きいのかもしれない。見本で文字を書いてやったのを真似して家でも文字をかけるように練習し始めた。
俺の字は笑われるほど下手だから真似するにゃあ良くねぇから、文字覚えに使ったやつ見ろって言ったんだがな。俺の字の方が好きなんだと。よく分かんねぇが。
こんなに完璧じゃあモテるよなぁ。今でもおませな女の子や年上女子からキャーキャー言われてる。まぁ微塵も興味示さないが…。でも流石に友達くらいはいた方がいいんじゃねぇのかな、と思う今日この頃…。
同年代の子供と出会う場がねぇもんな…俺は孤児院育ちで困らなかったが。普通はどこで友達になんだ?近所の子供とかか?んー…学校か!!いつから通わせりゃいいんだ?それにコクヨウって今いくつなんだ?
「なぁコクヨウ、お前今いくつだ?」
「…分かんない」
「そうか。誕生日は?」
「知らない」
「そうか、俺と一緒だな。」
「そうなの?」
「おう、俺は孤児院に捨てられたから何も分からなかったんだ。それでも問題はねぇ。誕生日は何となく並びが好きで、7月7日に決めちまった。ハハハッ」
「じゃあ僕は…1月7日にする。」
「お?そうか、じゃあもう直ぐだな。盛大に祝おうな!」
「うん!」
学校とかは分からねぇことだらけ…子供いる冒険者に聞いてみっか。
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