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しおりを挟む子猫が迷子になってしまった日の翌日、俺に寄り添って眠る子猫を起こすのも忍びなくて目覚めるまで待つことにした。俺が起きてから20分もしない内に目覚めた子猫は、俺を見つけると安心したようだ。
「おはよう猫。風呂入って飯にしようぜ」
「み!」
先に子猫を洗ってやり、体が冷えないように湯につからせる。俺も手早く身体と頭を洗って湯に浸かった。普段ならもっと浸かるんだが、何分今は腹が減って仕方がない。短めの入浴を終えて、髪や身体を乾かす。
そして下に降りて飯を頼めば、昨日の残りも温めて出してくれた。子猫にもいい大きさに切り分けて肉を渡してやりながら、腹を満たす。
「ふぅ…食った食った。美味かった」
「そりゃあ良かったぜ。ところで昨日は何かあったのか?」
「ああ、子猫と街へ出たら逸れちまって探し回ってたんだ。本当に見つけられて良かったぜ」
「そりゃあ大変だったな。」
「大変だったのは俺よかコイツだぜ。何も知らない街でひとりぼっちで放り出されたんだ。怖かっただろうな…これからは絶対に目を離さねぇようにするぜ…」
「みー」
「そうしてやんな。随分懐いてるみたいだしな」
「ははっそう見えるか?」
「見えるさ。アンタが居ないと暴れるくらいだ」
「ああ、そうだな。ところで部屋の修繕費と治すまでの不利益を被った代金の計上は終わったか?」
「それなら大体終わったぜ。」
「そうか、大体どれくらいになった?まぁ聞いても持ち合わせはそう無いんだが…」
「まぁそうだろうな。家を買ったんだろう?」
「ああ、それで有り金は使っちまった。気長に分割払いで頼む」
「いいぜ。アンタとは長い付き合いだからな」
「有り難い」
「まぁたまには飯でも食いに顔出せや」
「ああ、そうさせてもらう。ここの飯は気に入ってるんだ。」
そんなやり取りを終えて、修繕を担当する職人の見積もりを見せてくれた。それからマットレスなんかの買い替えも含めると総じて金貨1枚か…。頑張れば早めに払えそうだな。
ここの宿代は1日銀貨3枚。先払いで1週間だと、少し負けてくれて銀貨18枚、最長で1ヶ月分先払いで、銀貨70枚まで負けてくれる。因みに金貨1枚は銀貨100枚分だ。俺は家を手に入れて、宿代が必要なくなるので銀貨70枚…いや食費があるからな…もう少し少ないだろうが浮かせられる筈だ。
暫く依頼も受けていない…つまり俺は金がない訳だ。そろそろ働きたいんだが、調査が終わるまでは森に入れないからな。そろそろ終わると思うんだが、知らせがまだ来ない。
「なぁ、猫…お前ずっと俺といるか?」
「み!」
「そうか。なら名前必要だよな。」
「みー」
「考えたんだけどよ。コクヨウってどうだ?黒い綺麗な石なんだ。」
「みー」
「よし!じゃあお前は今日からコクヨウだ。よろしくな。俺はタカミだ。」
買ったばかりのペンダントをコクヨウの首にかける。これには位置探知を仕込んだのでもう見失うことはない。
「コクヨウ、これには位置を知らせる魔法が付けてあるからな。どこに行っても見つけてやれる。」
「み!」
鉄火1枚≒10円、銅貨1枚≒100円、銀貨1枚≒1000円、金貨1枚≒100000円くらいかなって感じです。
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