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しおりを挟む着々と入学準備が整えられていくのだけれど、僕には学校へ行く為には問題があった。それは伝心のスキルだ。使う機会が少ないせいなのか制御が効かないのだ。街に行けば様々な感情を受け取ってしまい気持ち悪くなることもしばしば…。
スキルを貰ったばかりの時ほうが上手く扱えていた気さえする…。人の多い所では様々な人が僕に意識を向ける。その結果僕に流れ込む感情たちは多種多様で一度に受け入れられるものではない。まぁ一人からの感情でも辛いときは辛いのだけれど…。
「はぁ…」
「ククリ、大丈夫か?」
「うん…大丈夫ありがとうクー」
「伝心のスキルは上位スキルであるから扱いが難しいのであろうな。」
「うん、更に意識しないでも勝手に発動しちゃうから難しい…。」
「…ククリ、一度獣神様に相談してみてはどうだ?」
「あ!たしかにそれがいいかも。でも…こんな事で獣神様に迷惑かけていいのかな?」
「なに、獣神様とて愛し子に頼られれば嬉しいであろう。」
「そう?」
「ああ、私が保証しよう。」
「うん、一度街に連れてってもらうことにする。」
どう頑張っても今からでは入学までにスキルの制御が出来るようにはならない。こんな事で獣神様に相談していいのかも分からないけれど、クーの勧めに従って僕は獣神様のもとを訪ねた。
(獣神様、ククリです。)
(ああ、会いたかったぞククリ。して、今日はどうしたのだ?)
(実は…獣神様に相談があります。)
(相談か!なんでも言うといい。)
相談、と言っただけで獣神様の声には喜色が感じられた。クーの言っていた事は正しかったらしい。
(えっと、伝心のスキルを上手く扱えなくて…学校に通わないとだから…何か良い方法は無いかなって…)
(…そうか…確かにアレは扱いの難しいスキルだの…。スキルを一時的に封じてやることは出来る。しかし一つだけを、という訳にはいかんのだ。)
(つまり…)
(すまぬが我にもどうにもしてやれぬ…。)
先程の嬉しそうな様子からは一変して、悲しげなしょんぼりとした声だ。解決には至らなかったものの、努めて明るく返す。
(いえ!相談に乗ってもらっただけでも有り難いですから!)
(そうか…?参考になるか分からんが、アドバイスくらいならしてやれよう。)
(はい!ありがとうございます!)
そうしていくつかのアドバイスをもらって、僕は帰路につく。少しだけ心が軽くなった僕は、学校に通うのが少しだけ楽しみに思えるようになった。もし体調が悪くなったとしてもスー兄が助けてくれるだろうから、僕は僕にできる事を頑張ろうと決めた。
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