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ツルツルの鱗に魅了されてたけど、ふと疑問に思ったことがある。パパはもふもふだった筈なんだよね。けどヘンリーさんは龍人でしょ…?なら…パパの遺伝子は…

「ねね、パパもふもふなの、ネルさんがもふもふなの?」

「ん?ああ、そうだぜ。ネルは獣人種だからな。」

「ふふっ本当に獣人好きなんだね。いいよ、俺も触らせてあげるからおいで。」

尻尾!ふわっとした触感に抱き着くようにして触れる。そんな僕を受け入れて、頬を擽られるように動かされる。

「ふぁぁ…パパとにてる!…けど…ネルさんのもふもふのほうが…つるつる!」

「ははは!俺が手入れしてるからな!」

「なるほど!」

パパはネルさんの遺伝子を強く継いだんだね。けどそれは珍しい事らしい。龍人が他の種族と結ばれても産まれる子は基本的に龍人になるのだそうだ。実際ネルさんたちには三人の子供がいるが、他二人は龍人だという。

「それにしても遺伝についてわかってるなんてやっぱり頭の良い子だねククリは。」

「そう、ククリは頭も良いし、優しいし、それに何より可愛い!最高の弟なんだよ!」

「ははは!スイはククリの事大好きなんだな。」

「そうですね、凄く仲良しな兄弟だと思いますよ。」

「俺のとこは仲悪かったから、少し羨ましいくらいだね。」

「ネルには俺がいんだろ。」

「ふふっそうだね、ヘンリーに出会ってからはそんな事気にした事ないよ。」

僕はずっとネルさんの尻尾と戯れていたんだけど、いつの間にか隣にクーとスー兄がやってきていた。そしてクーの尻尾やスー兄の腕に抱かれていた。片手でスー兄の頭に手を伸ばし、もう片手でクーをなでなでする。

「んふふ!スーにぃもクーもどうしたの?」

「…だって…ずるい…」

「こーん…」

「んふふー!かわいい」

僕がヘンリーさんやネルさんに夢中だったのが嫌だったんだね。ふふっいっぱい撫でるからね!

「ククリは人気者だね。」

「ケルもククリには獣人を撫でさせないようにしないといけないって言われていますが、お二人もそう思いますか?」

「おう、やめたほうがいいだろうな。」

「そうだね、俺やヘンリーまで心地良いと思わせられるなら…注意してあげないと不味いと思うよ。」

「そうですか…。でもククリは…言っても止まらないんです…。獣人や魔獣が好きなようで、自分から近付いてしまって…。」

「確かに俺のことも龍人だとわかった途端に近付いて来たな。」

「そうだねぇ…獣人の方から避けるようにするのが手っ取り早いかもね。例えば獣人は嗅覚が優れてるからヘンリーの匂いのするものを身に着けてるだけでも効果的だと思うよ。龍人が番を大切にしているのは周知の事実だし。龍人を敵に回したい奴も早々居ないから。」

「…確かにそれは良さそうですね。」

「そうだな、なら俺の鱗分けてやるよ。」

「ありがとうございます。」

こうして僕は獣人との出会いを強制的に阻まれることになってしまった。色々なもふもふ…。でもママ達が僕の事を思ってしてくれているのだから、従うのが正解だろう。おとなしく首からヘンリーさんの鱗を加工したネックレスを下げる。

つるりとして冷たい。んふふ、この手触りとっても好き!これを何時でも触れると思えば悪くないかもしれない。それにスー兄やクーがいるからね。不特定多数を撫でられなかったとしても、それはそれで良いかな。






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