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穏やかな日常。その中で変わったことといえば、ロコさんとの文通を始めたことと、護身術を始めたことだ。今までも体力作りはしていたけど、本格的に指導を受けるようになった。毎日地道に練習を積み重ねている。

そういえば時折ノワール君からも手紙が届く。初めてもらった手紙から段々と字が上手くなってるから、練習してるんだろうな。内容はどんなことをしたとか、騎士団でこんな事があったとか、そんな他愛のないものだ。ただ…その締めくくりには必ず"早く会いたい"、"大好きだ"という言葉が添えられている。それについてはスルーして、僕も他愛のない事を書いて返信している。

ロコさんとの文通は、相談事を書いたり面白かった事を書いたり、僕の好き勝手に書かせて貰ってる。どんなことを書いてもロコさんは大抵返してくれる。魔馬の様子なんかも教えてくれたりするんだよね。

「ククリー、護身術やるよ。」

「はーい。」

最近は寒くなってきたので、護身術を習うのは室内だ。まずは柔軟をやって、怪我の防止に努める。それから走って体を温める。

「準備はいい?」

「はい、よろしくおねがいします!」

「ん、じゃあ前に教えたことの復習からね。」

今習ってるのは、相手に危害を加えられた時に大切な事だ。受け身の取り方と、捕まったときの振りほどき方を主にやっている。まだ手足が短いし力もないから、反撃とかは無理だからね。逃げに徹するのです!

「よし、いくよ?」

「はい!」

ママにコロンと転がされて、僕は床に手をついて勢いを殺す。うん、痛くない。まだまだゆっくりやってるけど、今から慣らしていけば良いと言われている。

「うん、まぁ悪くない。けど今は合図してやってるけど不意打ちされても身体が勝手に動くくらいにしようね。」

「はい!」

「じゃあ反復練習」

5回やって休憩を繰り返して、25回やったところで終了。次に後ろから手を掴まれたときの振りほどき方をやっていく。これが難しいんだよなぁ。大人の力で掴まれたら頑張っても振りほどけない。だから相手が油断したところで、っていうのが大事だ。

ぱっと手を掴まれて、タイミングをみて……今だ!!

「とりゃー!!」

「…ククリ、声を出したらバレバレだよ…。」

「はっ!!…でも、こえだしたほうが、きあいはいる!」

「んー…まぁ追々直していこうね。」

「はぁい!」

こんな感じで、時折パパやスー兄にも付き合って貰いながら練習してる。少しずつ進歩してるかな。クーが側で見守ってくれてる。けど、何やってんだ?って感じで見てる気がするから、僕の動きはまだまだのようだ。

ママもパパもスー兄も僕に甘いからなぁ。正当な評価が得られない。なんでも褒めてくれるし。自分を客観視するのは難しいんだよなぁ。自惚れないように頑張っていこー!





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