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僕は魔馬を撫で撫でしてたけど、家族達は僕の側で見守ってただけだった。それでも魔馬達はパパたちのことを認めているようだった。魔馬は強い者に従うっていうのは本当なんだろう。

「そろそろ休憩いたしましょう。魔馬も厩舎に戻る時間ですし。」

「はーい、ありがとうございました、モリスさん」

「ふふっいいのですよ。それにしても、魔馬を恐れぬとはククリ様もなかなか剛毅なお方ですね。」

「ははは!ククリは物怖じしねぇからな。人間相手は駄目だけど。」

「クーが大丈夫なんだからそりゃあ大抵の魔獣は平気だよね。」

魔馬との触れ合いも終わり、はしゃいだのと移動で疲れたので眠い。休憩もなしに動いてたからな。幼児の体力は限界だったらしい。

「ねむい…くー…」

「こん」

「クーは運んであげれないでしょ。俺が運ぶ。」

「スーにぃ…ん…ありあとぉ…」

僕の為に用意されていた部屋に運んでもらって、クーを抱えて眠りについた。そして騒がしい声に目を覚ます。知らない声だ。ゆっくりと目を開くと、そこには知らない顔があった。スー兄よりも大きい…。レオおじさんに似てるってことは、息子さん?

「お!起きた!!」

「……クー…」

「こん…」

クーは耳元で騒がれて随分と辟易している様子が見て取れる。僕が耳を塞いであげよう。

「あのね、もっとちいさいこえで、はなしてほしいの。」

「なんでだ?父さんはそんなこと言わないぜ?」

「…クーはうるさいのがにがてだから…」

「そうなのか?ごめんな?」

「…こん…」

謝ってくれてるんだけど、謝る声も先程よりは小さいけど、それでもまだ大き目だ。クーはコイツには近付きたくないとばかりに僕の後ろに回る。こんな様子は珍しいから、本当に嫌なんだろうな。

「あの、だぁれ?」

「おう、俺はシグナルド・セーデルだ。」

「俺の弟に近づくな!!シグナルド!」

「スーにぃ?」

「うん、ククリおはよう。」

「おはよー?」

「なんでだよ?いいだろ?スイ」

「駄目だ!俺の大事な弟に何をするかわからないお前なんかを近付けられるか!」

「ははは!何もしねぇよ!」

なんで喧嘩してるのかわからないけど、スー兄は僕にシグナルドを近付けたくないらしい。シグナルドはなかなか濃いキャラクターをしているらしいな。今の印象だけで言うなら筋肉バカっぽい。

「スイがコイツの側にいるって言って、俺と戦わねぇからだろ?」

「はぁ…どっかいけ。俺はククリと過ごすんだよ。」

「釣れないこと言うなよ!俺は父さんに認められたお前の実力を知りたいだけなんだって!」

「はぁ…しつこい。」

「おう、諦めねぇぜ?」

「はぁ…明日…明日戦ってやる。」

「おう!わかった!楽しみにしてるぜ!」

シグナルド…嵐のような人だったな…。スー兄は強いから戦っても大丈夫だと思うけど、獣人も実力主義なんだよね。強い者には基本的に絶対服従。主や番は別だけどね。

「よかったの?」

「…仕方ないよ。諦めそうになかったから。」

「スーにぃならだいじょうぶ!」

「うん、ありがとうククリ」

レオおじさんの息子さんがあの感じだとすると、スー兄のお友達になってもらうのは難しいかな…。スー兄が側にいるイメージが掴めない。んん…なかなか上手くはいかないな。

「ククリ、昨日は晩御飯食べずに寝てたけど、お腹減ってない?」

「へってる!」

「ふふっじゃあ朝ご飯食べに行こっか。」

「うん!おきがえするから、まってて!」

「わかったよ。」

朝ご飯の時にはレオおじさんの家族とも会うから、貴族服が準備されていた。僕にこれが似合うとも思えないけど…スー兄に部屋を出てもらって着替え始めたものの、幼い身体では用意されていた貴族服を着るのは難しかった。

結局、途中でやってきたモリスさんがしっかりと着付けてくれた。うん、変なとこに紐とかいっぱいついてて、一人で着れるようには出来ていないと思う。貴族様の服は手伝ってもらうのが大前提なんだね。

「よくお似合いですよ。ククリ様。」

「…うん…ありがとう、モリスさん」

「呼び捨てで構いませんよ。ククリ様。」

「うん…でもくくりは、えらくないし…」

「ふふっ奥ゆかしいお方ですね。それでは参りましょうか。奥様がお待ちかねです。昨日お会い出来なかったので、とても楽しみにしていらっしゃいます。」

レオおじさん一家に会うのか。貴族様に謁見とかしたことないんだけど…隣にやってきたスー兄は貴族服を着こなしている。格好良くて可愛い!!凛々しくなってきた顔に、ふんわりとしたケモミミと尻尾。うん、今日もスー兄最強。

あの優しいレオおじさんの家族なら大丈夫だろうって思ってたけど、シグナルドが話し通じないタイプっぽかったから、一気に不安になった…。歩きながらスー兄の腕の裾を掴んで、ちょんちょんと引く。

「…スーにぃ、だいじょうぶかな?」

「ん、大丈夫だよ。ククリには俺がついてるからね。頼りになるクーもいるしね。」

「こん」

「うん!ねぇスーにぃ、とってもにあってる!かっこいい!すき!」

「ふふっありがとう、ククリ。ククリもとっても可愛いよ。」

「うん、ありがと。」

「到着致しました。ククリ様なら大丈夫でございます。安心してご飯をお食べになって下さいね。」

「んふふ、ありがとう…モリス……」

呼び捨てって変な汗かく。けどそれでいい、とばかりにモリスが笑みを深めた。っていうか、着いちゃった!くっ…ここはもう開き直ってそのまま行くしかない。先頭に立ったモリスが扉を開く。ドキドキしながら、向こう側の人を探すが、まだパパとママしか居なかった。

「パパ、ママおはよう!」「おはよう」「こん」

「みんなおはよう。」

「おう、おはよう!よう、お寝坊さん。よく寝てたな。」

「んふふ、いっぱいねた!」







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