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しおりを挟む朝起きたら秋夜の腕の中にいた。それはいつも通りだったけど、目を覚ました終了したの様子がいつもと違う…。どうしたんだろう。なんだかいつもよりも…なんていうか熱っぽい?みたいな感じだ。
「秋夜、おはよう」
「…おはよ…」
「……えっと…どうしたの?」
尋ねてみれば、こちらの様子を窺うようにじっと見つめられる。なんだ…?俺の顔になんかついてるかな?
「…香夜…いつもと違う感じしない?」
「ええと?わかんない…かな?」
「んー…無自覚か…」
「なんの話?」
「香夜フェロモンが強くなってる。」
「…え?…ってことは…」
「うん、発情期が近いんだと思う。」
「あー、なるほど。」
「ん、だから今日の夜には、警備の万全なホテルに移るよ」
「あ、うん」
秋夜の様子がおかしいと思ったけど、実は俺はせいだったか。俺のフェロモンの影響を受けてしまっていたらしい。もうすぐ発情期なのか、俺。全然わかんないんだけど…。身体に異変とかも全く感じないし。なんならいつもよりも調子がいいくらい。
取り敢えず二人で起き出して、下の階で朝ご飯の準備をしている母とテーブルでニュース番組を見ている父に挨拶する。その後は顔を洗ったり、歯を磨いたりして、身だしなみを整えた。
「朝ご飯出来たわよ。お口に合えばいいんだけど。」
「はいはい母さん謙遜は良いから。いただきます!」
「そうだね、母さんのご飯は何時も美味しいんだから、いただきます!」
父さんが同意してきて、さっさといただきますをして、食べ始める。秋夜を横目で見れば、目が合った。
「秋夜も食べなよ」
「ん、そうだね。いただきます。」
「あらあら、私もいただきます!」
The日本食!って感じの朝ご飯だ。味噌汁と卵焼き、それから焼き魚。長年作ってくれているだけあって、その味はとても美味しい。
「そういえば今日はどうするの?」
「んー…ちょっとこの辺回ろうと思ってたんだけど…」
「駄目だよ」
「わかってるよ。俺だって外出たくないし。」
「ん?どういうことだ?」
「あー…その俺の発情期が近いんだよね。だから今日の夜にはホテルに移るよ。」
「あらそうなの?もう行っちゃうのね…寂しいわ…」
「ごめんなさい。お義母さん…」
いつの間にかお義母さん呼びになってるし…秋夜も馴染んでくれたみたいで良かったけどさ。
「良いのよ秋夜くん、ただしまた来てくれるって約束してくれるかしら?いつでも歓迎するわ!」
「ええ、勿論です。また来ます。香夜と一緒に」
「ふふっ嬉しいわ香夜、秋夜くんのことしっかり捕まえておくのよ!」
「はいはい分かってるよ。まぁ…俺、秋夜がいないと生きていけないし!」
「おやおや盛大に惚気ちゃって…香夜のそんなところは初めて見るよ。よっぽど秋夜くんが好きなんだねぇ。」
「もういいでしょ…そんなに揶揄わないで」
「ごめんなさいね。だって私もお父さんも嬉しいのよ!」
「俺も嬉しい…香夜、大好き」
「秋夜まで!」
そんなこんなで、家でゴロゴロしたり、皆で映画を見たりして夕方近くまで過ごして、秋夜の手配してくれた車でホテルに向かった。仲良くなれて良かったと思う。本当に。秋夜は家族仲があまりよくないみたいだったし…俺とつながることで家族を作れるのもいいと思うんだよね。秋夜もちょっと嬉しそうに見えたから良かったなぁと思う。
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