110 / 137
109
しおりを挟むテストの結果が出るので、若干の不安を抱えながら登校した。鳴海も藍くんも茜くんも余裕そうなんだけど…?俺だけか…こんなにヤバイのは。当然と言えば当然か。俺だけが高校からこの学園に入ってるから、学んだ歴が浅いからね。
「はぁ…大丈夫かなぁ…」
「大丈夫大丈夫!かぐちゃん頑張ってたじゃん!」
「そうだよね!うん、きっと大丈夫!」
「そんなにヤベえの?如月、別に頭悪くねぇだろ?」
「まぁ…頭良くもないけど。ただ休み過ぎちゃったし、そもそも初めてのことばっかりで難しくて」
「確かに高校から入ったら難しいんじゃない?基礎もわかんないもんね」
「そりゃそうか、俺も藍に教えられなきゃヤバかったかもな。」
「茜は不真面目だからね」
「うるせぇ、誰のせいだ誰の!授業は真面目に受けたかったつーの。誰かさんのせいで眠くなきゃな!」
「俺?ふふっ茜が可愛いから仕方ないよね」
「馬鹿じゃねぇの…」
ああ、茜くんと藍くんに初めてあった時を思い出す。高校生って大人なんだなって思ったんだよね。けど、今や俺もその仲間入り。人生変われば変わるものだよね。
「相変わらずラブラブだねぇ…僕は昔からやってるし、なんとなく出来るけどね。」
「鳴海は色々できるし、凄いよね。」
「そ?いつでも頼ってくれていいからね、かぐちゃん!」
「うん!ありがとう。けど…秋夜のこと不安にさせたくないから、二人きりとかは無しね!」
「…かぐちゃん…副総長様は相変わらず重いね…」
「重い…?そうなのかな?わかんないけど、たぶん俺も嫌だから、まぁ許せるかなって。」
「わぁお!お似合いカップルってことね」
「まぁそういうこと、かな?」
ちなみに今日はテストの結果の返却と終業式で終わりだ。半日で終わるので、皆遊びに行ったりするようだ。とはいえ、俺は明日には実家に帰るのでその準備をするつもりだ。
「テストの結果を返却しますので、席についてくださいね」
ガタガタとみんなが席に座っていく。俺も例に違わず、席についた。そしてみんなが座ったのを見届けて、準順にテストの結果が返却された。如月という名字のおかげで早めに返ってくる。自信はないけど…頼む!!
祈りながらひっそりと開いた紙には…良くはないが、悪くもないくらいの成績が並んでいた。よっしゃー!!うん、生け花とダンスは相変わらず上達していないようだ。下の上くらい…いや、下の中…?
それでもテストを無事乗り切ったのだ!はははっ!流石鳴海先生!秋夜先生!彼らが居なかったらきっと大変なことになっていた。
「それでは、点数に何か不備などあれば後ほど申し出てください。以上でテストの返却は終わりですので、皆さん各自終業式の会場に移動してください。席は自由としますが、静かにお願いしますね。」
そう言って先生が出ていったので、俺は鳴海たちと合流して移動することにした。席自由って、秋夜どうするんだろ?何も聞いてないけど。取り敢えず行くか。
「鳴海、茜くん、藍くん行こー」
「うん」「おう」「行こっか」
「みんなはどこ座るの?」
「僕は凰ちゃんのとこ行くよ!たぶんサクちゃんたちも居るし」
「俺達はたぶんGRACEが座ってるら辺に適当に座る」
「なるほど…俺もそれでいいかな?」
「佐久間さんは?」
「それがなんにも言われてなくて?」
「そっか、じゃあ一旦俺達と居て。そんで佐久間さん見つけて」
「うん、ありがとう藍くん」
講堂の入り口は凄い人だかりが出来ている。みんな待ち合わせとかしてるんだろうな。自由ではあるみたいだけど、GRACEとrionの座る場所の大まかなところは決まってて、左側にGRACE、右側にrionが座るらしい。それで、幹部とかは後ろの方だって。
後ろの方はとても空いていて、そこに迷い無く向かう俺達はとても目立っている。目立つのは嫌だけど、行かなかったら怒られるだろうから、行かないという選択肢はない訳だが…。視線が痛い。
「お!来たかノア」
「凰ちゃん」
「秋夜はあっちな」
そう言って神谷さんが指をさした先には、春夜さんとシオンさん、その隣に秋夜が固まって座っていた。そこだけポッカリと空いたように周りにも誰も座っていない。空いた空間の周りには明らかに護衛!みたいな周りに目を光らせている人たちが立っている。あそこだけ異質な空気だ。視線が絡んで手招きされる。
「えと、じゃあまた…」
「おう、なんというか、頑張ってな…」
「ふぁいとー如月」
「うん、ありがとう…二人とも」
無視することも出来ずにゆっくりと近づく。護衛みたいな人の横を通るのは緊張したけど、止められることもなく通してくれた。そのまま秋夜のところまで行って、秋夜の左側の席に座る。
「遅かったね」
「ごめん、入り口のところが混んでて」
「そう、迷わなかった?」
「うん、茜くんたちと来たし」
「それならいいけど。」
秋夜の方を見て話していると、秋夜と春夜さんの向こう側にいるシオンさんが手を振ってくれている。可愛いな!俺も手を振り返しておく。
「ん?なに?…ああ…シオンね」
「あ、うん。手振ってくれたから」
「このあと春夜とシオンとご飯だから」
「そうなの?」
「そうだよ。あとで合流するの面倒くさいからこの席なの。」
「なるほど。楽しみですね!みんなでご飯!」
「とは言っても作るの俺だけど…」
「俺も手伝いますね!」
「ありがとう香夜」
29
お気に入りに追加
1,288
あなたにおすすめの小説
頑張って番を見つけるから友達でいさせてね
貴志葵
BL
大学生の優斗は二十歳を迎えてもまだαでもβでもΩでもない「未分化」のままだった。
しかし、ある日突然Ωと診断されてしまう。
ショックを受けつつも、Ωが平穏な生活を送るにはαと番うのが良いという情報を頼りに、優斗は番を探すことにする。
──番、と聞いて真っ先に思い浮かんだのは親友でαの霧矢だが、彼はΩが苦手で、好みのタイプは美人な女性α。うん、俺と真逆のタイプですね。
合コンや街コンなど色々試してみるが、男のΩには悲しいくらいに需要が無かった。しかも、長い間未分化だった優斗はΩ特有の儚げな可憐さもない……。
Ωになってしまった優斗を何かと気にかけてくれる霧矢と今まで通り『普通の友達』で居る為にも「早くαを探さなきゃ」と優斗は焦っていた。
【塩対応だけど受にはお砂糖多めのイケメンα大学生×ロマンチストで純情なそこそこ顔のΩ大学生】
※攻は過去に複数の女性と関係を持っています
※受が攻以外の男性と軽い性的接触をするシーンがあります(本番無し・合意)
ふたなり治験棟
ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。
男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!
不良×平凡
おーか
BL
不良副総長×平凡です。
不良7割、一般生徒3割の不良校に入学した、平凡な香夜(かぐや)は、不良が多いものの絡まれることもなく、過ごしていた。
そんな中で事件が起こった。ある日の放課後、掃除のためにバケツに水をくんで歩いていると、廊下で何かに躓き、バケツは宙を舞う。
その先には、赤髪と青髪の不良様がた。見事にびしょ濡れになった不良様がたに追い掛け回されているところを、不良の副総長である秋夜(しゅうや)に助けられる。
オメガバースは別で新しく書くことにします。
他サイトにも投稿しています。
※残酷な表現については、不良ものなので念の為つけています。
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!
灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。
何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。
仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。
思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。
みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。
※完結しました!ありがとうございました!
元執着ヤンデレ夫だったので警戒しています。
くまだった
BL
新入生の歓迎会で壇上に立つアーサー アグレンを見た時に、記憶がざっと戻った。
金髪金目のこの才色兼備の男はおれの元執着ヤンデレ夫だ。絶対この男とは関わらない!とおれは決めた。
貴族金髪金目 元執着ヤンデレ夫 先輩攻め→→→茶髪黒目童顔平凡受け
ムーンさんで先行投稿してます。
感想頂けたら嬉しいです!
全寮制の学園に行ったら運命の番に溺愛された話♡
白井由紀
BL
【BL作品】
絶対に溺愛&番たいα×絶対に平穏な日々を過ごしたいΩ
田舎育ちのオメガ、白雪ゆず。東京に憧れを持っており、全寮制私立〇〇学園に入学するために、やっとの思いで上京。しかし、私立〇〇学園にはカースト制度があり、ゆずは一般家庭で育ったため最下位。ただでさえ、いじめられるのに、カースト1位の人が運命の番だなんて…。ゆずは会いたくないのに、運命の番に出会ってしまう…。やはり運命は変えられないのか!
学園生活で繰り広げられる身分差溺愛ストーリー♡
★ハッピーエンド作品です
※この作品は、BL作品です。苦手な方はそっと回れ右してください🙏
※これは創作物です、都合がいいように解釈させていただくことがありますのでご了承ください🙇♂️
※フィクション作品です
※誤字脱字は見つけ次第訂正しますが、脳内変換、受け流してくれると幸いです
平凡な俺が双子美形御曹司に溺愛されてます
ふくやまぴーす
BL
旧題:平凡な俺が双子美形御曹司に溺愛されてます〜利害一致の契約結婚じゃなかったの?〜
名前も見た目もザ・平凡な19歳佐藤翔はある日突然初対面の美形双子御曹司に「自分たちを助けると思って結婚して欲しい」と頼まれる。
愛のない形だけの結婚だと高を括ってOKしたら思ってたのと違う展開に…
「二人は別に俺のこと好きじゃないですよねっ?なんでいきなりこんなこと……!」
美形双子御曹司×健気、お人好し、ちょっぴり貧乏な愛され主人公のラブコメBLです。
🐶2024.2.15 アンダルシュノベルズ様より書籍発売🐶
応援していただいたみなさまのおかげです。
本当にありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる