62 / 137
61
しおりを挟む寝ていた…疲れて眠ってしまった間に、布団周りも身体も綺麗になっていた。隣で横になっていた秋夜さんは、ずっとこちらを見ていたらしい。温かくて、ついくっつくとクスクスと笑い声が降ってくる。そして少し目線を上にやれば目が合う。
……起きてたなら教えてよ…スリスリしてるのバレたじゃん…。もういい、割り切って秋夜さんの胸に顔を埋めて、顔を隠す。
「ん、秋夜さん…」
「ふふっん、まだ寝てていいよ。まだ朝早いから。」
「うん」
秋夜さんが言うとおり、外からの明かりはまだ差していないので、まだ日の出前なんだろう。結構スッキリと起きられたので、眠れないかとも思ったが、頭上で微笑んでいるだろう秋夜さんに優しい手つきで頭をなでてくれる。暖かくて、心地よくてまた瞼が落ちていく。
「……ねた…かな?…香夜…」
すやすやとまた寝息を立て始めた香夜を包むように優しく抱きしめる。昨日やっと両思いになれたんだ…大事にする。でも香夜は割と誰にでも笑顔で明るく接するからな…警戒は怠らないようにしないとね。
昨日、してる時も必死で受け入れてくれて…はいったら嬉しそうにするし…好かれてないとは思ってなかったけどさ。あんなにはっきり好意示されたらやっぱり嬉しいものだよな。
今度の発情期が来たら絶対に番にしよう。香夜の首に付けられている俺が送ったカラーを指てなぞる。香夜は俺のモノだと示すものでもあるが、この項を覆って番にできなくするコレがとても邪魔だとも思う。
そんなふうに香夜のことを考えながら微睡んでいた時、静かな室内に着信音が響いた。学校の連中には緊急以外かけるなって言ってる。誰だ…
「……」
「もしもしぃ?」
「…」
「あれ?無視?まぁいいけどさぁ。ねぇ秋夜、香夜ちゃん元気ぃ?」
「香夜を名前で呼ぶな。殺すぞ」
「怖いこと言わないでよぉ。秋夜なら簡単に俺のことも他の誰だって殺せちゃうもんねぇ。…だから一人になったんだもんね」
「…黙れ」
「ふふっごめんねぇ古傷抉っちゃったぁ?」
「…さっさと要件だけ言え」
「えー?…まぁいいか。今度の土曜両親から呼び出しかかってるから。秋夜の番のことで」
「…行かないって伝えとけ」
「いいの?来なかったら、香夜ちゃんどうなっちゃうかなぁ?」
「…そのときは全員殺す。そうしてでも香夜は守る。」
「物騒だなぁ。まぁどのみち迎えは来ると思うよ。あの人達に俺達の意思なんて関係ないんだからさ。それと…香夜ちゃんのこと、ちゃんと見ててあげなよ。」
「は?お前死にたいってこと?」
「違うよ。ただ会いに行っただけでそこまで言う?俺は顔が綺麗な子が好きだし。手出したりしない。けど…あの子とは俺も家族になる訳だし?仲良く出来たらいいなと思っただけ。あとはほんとに秋夜のこと好きなのかなぁって思って様子見してただけだよ。」
「香夜と結婚する時には家を出る。あんな奴らは香夜の家族にふさわしくない。」
「そうなの?じゃあ俺もそうしよっと。…ていうかさぁ、俺に全く興味ない秋夜は知らなかったと思うけど…俺も番にしようと思ってる子いるんだよね。だから二人とも呼び出しかかってるんだと思う。最悪だよねぇ。」
「…俺は行かない。お前が行って丸め込め。簡単だろ…お前はAクラスであっちはBなんだからな。」
「はいはい。わかったよ。仕方ないな…その代わり、今度、番も交えて会おうよ。俺も連れて行くし。その約束してくれるならいいよぉ。」
「チッ…それでいい」
「うん、じゃあまた連絡する。香夜ちゃんにもよろし」
ブツリと電話を切った。
家か…まぁ春夜が変な意味で香夜に興味を持ったわけではないのはわかったから、そちらは警戒しなくてもいい。どれだけ軽口を叩こうが、嘘はつかないからな。
22
お気に入りに追加
1,278
あなたにおすすめの小説
どうせ全部、知ってるくせに。
楽川楽
BL
【腹黒美形×単純平凡】
親友と、飲み会の悪ふざけでキスをした。単なる罰ゲームだったのに、どうしてもあのキスが忘れられない…。
飲み会のノリでしたキスで、親友を意識し始めてしまった単純な受けが、まんまと腹黒攻めに捕まるお話。
※fujossyさんの属性コンテスト『ノンケ受け』部門にて優秀賞をいただいた作品です。
転生令息は冒険者を目指す!?
葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。
救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。
再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。
異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!
とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A
俺は北国の王子の失脚を狙う悪の側近に転生したらしいが、寒いのは苦手なのでトンズラします
椿谷あずる
BL
ここはとある北の国。綺麗な金髪碧眼のイケメン王子様の側近に転生した俺は、どうやら彼を失脚させようと陰謀を張り巡らせていたらしい……。いやいや一切興味がないし!寒いところ嫌いだし!よし、やめよう!
こうして俺は逃亡することに決めた。
運命の番と別れる方法
ivy
BL
運命の番と一緒に暮らす大学生の三葉。
けれどその相手はだらしなくどうしょうもないクズ男。
浮気され、開き直る相手に三葉は別れを決意するが番ってしまった相手とどうすれば別れられるのか悩む。
そんな時にとんでもない事件が起こり・・。
嫌われ者の長男
りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....
過保護な不良に狙われた俺
ぽぽ
BL
強面不良×平凡
異能力者が集まる学園に通う平凡な俺が何故か校内一悪評高い獄堂啓吾に呼び出され「付き合え」と壁ドンされた。
頼む、俺に拒否権を下さい!!
━━━━━━━━━━━━━━━
王道学園に近い世界観です。
俺の親友がモテ過ぎて困る
くるむ
BL
☆完結済みです☆
番外編として短い話を追加しました。
男子校なのに、当たり前のように毎日誰かに「好きだ」とか「付き合ってくれ」とか言われている俺の親友、結城陽翔(ゆうきはるひ)
中学の時も全く同じ状況で、女子からも男子からも追い掛け回されていたらしい。
一時は断るのも面倒くさくて、誰とも付き合っていなければそのままOKしていたらしいのだけど、それはそれでまた面倒くさくて仕方がなかったのだそうだ(ソリャソウダロ)
……と言う訳で、何を考えたのか陽翔の奴、俺に恋人のフリをしてくれと言う。
て、お前何考えてんの?
何しようとしてんの?
……てなわけで、俺は今日もこいつに振り回されています……。
美形策士×純情平凡♪
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる