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94.帰宅します。
しおりを挟む点滴の途中で目を覚ましたリンさん。少しぼーっとしているらしく、俺を見るとにこりと微笑んだ。かわいい…
「あいるくん」
「リンさん、体調どうですか?」
「ん、んー別になんともないと思う」
「そうですか…リンさんは部屋で倒れてて…ここは病院です。」
「え…ごめんね。心配かけたね…」
「いえ、でも…無理しないで下さい。俺ほんとに心臓潰れるかと思いました…。ストレスと不眠とか貧血とかが合わさった結果だそうです…」
「そっか…ごめん」
「いえ、俺の方こそ気づけなくてごめんなさい」
「ううん、俺自分で思ってるよりストレスかかってたんだなぁ。」
「そうです!リンさん頑張り過ぎなんですよ…」
「気をつける…」
「はい」
コンコン、ガラッ
「入るぞー」
「あ、マネージャー」
「おう、司馬咲さん目覚めたのか。良かったな」
「はい」
「司馬咲さん大丈夫か?」
「ええと、大丈夫です」
「そうか、よかった。でも…今回のことで精神面やられてんのかもしれねぇな。一回メンタルクリニック行っとこう」
「はい…ご迷惑おかけしました」
「いや、自分のことなんて意外とわかんねぇもんだ。」
「はい」
コンコンコン
「はい!」
返事をすると、看護師さんが入ってくる。様子を見に来てくれたらしい。
「失礼します。点滴そろそろ終わりますね。これ終わったら帰っていただいて結構ですから」
「ありがとうございます」
「いえ、終わったら呼んでくださいね。点滴外しますから」
「わかりました」
看護師さんは点滴の残量などを確認して出ていった。完全に終わったら隣にいる看護師さんに声を掛ければいいらしい。
ぽんぽんとリンさんの頭をなでる。
「点滴もう少しみたいなので、リンさんはもう少しゆっくりしてましょうね」
「うん」
「マネージャーも休んでください」
「ん、おう。座っとくわ」
それから十分ほどで点滴が終わったので、看護師さんを呼びに行く。点滴を外してもらって、リンさんを抱っこして外に出る。マネージャーの車に乗り込んで、家まで送ってもらう。
リンさんは恥ずかしがっていたけど、それでも降ろすつもりはなかった。まだ本調子じゃないだろうし。家のベッドまでそのまま運ばせてもらった。
点滴はしたけどなにか食べた方がいいみたいだから、手料理を振る舞うことにした。消化にいいものがいいよね。お粥は、あんまり好きじゃないみたいだから、リゾットでも作ろうかな。それから野菜や肉もとれるスープにしよう。
「リンさん、ご飯一緒に食べましょうね。作ってきます!」
「うん、ありがとう。藍月くんの手料理楽しみだな」
「えへへ!手塩にかけて作ります!」
料理は自分の分も作ってベッドルームに持っていって二人で食べた。リンさんも美味しいって言ってくれてよかった。お風呂は…明日にするか。リンさんについててあげたいし。
「ありがとう藍月くん」
「大好きですよリンさん。おやすみなさい」
「ん、おやすみ」
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