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65.初デートです。
しおりを挟む朝、藍月くんの…いや、もう俺の家でもある…のか?まぁ、ともかく家を出て、大学に向かうまえに元々住んでいた家に向かう。
なんたって藍月くんとデートだからね!
服装とか髪型とか、俺の中での精一杯オシャレを目指さねば。隣に立っても恥ずかしくないくらいに。それに、藍月くんによく見られたいし。
いくら付き合ってるとはいっても、好きな人には好かれたい。そういうもんだよね、恋って。服は、んー…俺背が低いからそんなにスラッとした感じの服は難しいんだよね。どちらかといえば、色味は暗い系統で…水族館だし、ラフな感じ?
あー…良し!
中にちょっと明るめのパーカーで、黒の上着を重ね着して、暗めのパンツ合わせる感じで良いかな。鏡で確認して…うんうん!よし!
次は髪型は…触ったことないから慣れないなぁ。けど、濡らして、ヘアアイロンでふわっとさせてワックスで固める。うんうん、今時っぽい感じになった。
オッケー!整った!後のことを考えると大学も頑張れそう。ま、今日は休むらしく、彼方もいないし、ぼっちだけども。
おわったぁー!!
藍月くんとの待ち合わせは、人の少ないところのほうがいいだろうということで、駅から少し離れた喫茶店でになっている。
店に入って、出迎えてくれた店員さんに答えながらも店内を見回す。あ!いる!いくら顔隠しててももう雰囲気がイケメンなんだよなぁ…。さすが全国的アイドル…。我が推し、最高。
「あ…」
声をかけそうになって、押しとどめる。なにせ、そこらじゅうに藍月くんを知ってる人がいるんだ。名前を呼べば、周囲にもバレてしまうかもしれない。
俺が声を上げたことで、向こうも俺に気づいてくれて、手を振ってくれる。店員さんにつたえて、彼の座る席に向かう。
小声で話すように努める。店内に他のお客さんは、ここから一番遠い席に座るご老人夫妻しかいない。だからそんなに注意しなくともいいかもしれない。それでも用心するにこしたことはない。
「ええと、お待たせ」
「はい!早かったですね!」
「うん、授業が少し早く終わったんだよ。」
「それにしても!リンさん可愛すぎます!今日の服すっごい似合ってます!」
「そう?ありがとう。藍月くんも…その…かっこいいよ…」
「ふふっ、ほめてもらえて嬉しいです!」
照れたけど、ちゃんと褒め言葉を言って良かったなぁ。可愛い藍月くん。あ、ていうか藍月くんって呼んじゃってたな。
声を潜めて、なんて呼べばいいか聞いてみるか。
「あのさ、藍月くんって呼んだらマズいでしょ?だからなんて呼べばいいかな?」
「たしかに…んー、あっくんとか?」
「あっくん?」
「えへへ!いいですね!アイくんでもいいですよ?」
「あっくん?…アイくん?…じゃあアイくんで!」
「はーい、じゃあ、ここでご飯食べて行きましょうか?」
「そうだね」
喫茶店だから、軽食くらいしかなかったけど、それで充分だった。あー、サンドイッチ美味い。藍月くんは、ナポリタン食べてた。少し貰ったけど、それも美味しかった。
大学からもそんなに遠くないし、また通ってしまいそうだな。喫茶店アルマ、いいお店だったな。また来よう。そんなことを思いながら、二人で店を出る。
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