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60.不愉快です。

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リンさんを置いていくのは嫌だったけど、逆に動けないから、居なくなったりしないもんね。リンさんにも軽く叱られたし、準備しよ…。

ベッドの住人になっているリンさんのところにストローをさした飲み物や、つまめるご飯やお菓子を置いてくる。お見送りしてもらって、家を出る。

「いってらっしゃい」

「いってきます!すぐに帰ってきます!ちゅっ」

「ウワァ!…もー…」

「やだった?」

「いやでは…ないよ」

照れたリンさんかーわい!

「えへへ!いってきますのチューです!」

「ん、おかえりもするの?」

「してくれるんですか?」

「…考えておくよ」

考えといてくれるのかー!楽しみだな。うんうん!今日も頑張ろー!確か、今日はテレビ番組だっけ?なんか女性アイドルとコラボしてやる見たいなバラエティーだったな。

変に絡まれないと良いけど…。

そんな心配は現実になるもので…挨拶に行ったら、絡まれた。誘ってくるし、さり気なく断っても纏わりついてくる。そんな事をされると、つい顔に出てしまうから止めてほしい。優しく断ってるうちに、気づいて欲しいなぁ…。


「今度ご飯行きましょうよ!」

「あの、止めてください。行かないって何度も断ってますよね?」

「…え…感じ悪くないですか?」

「そうですか、じゃあ離してください。迷惑です。」

「…すみませんでした…」

俺の真顔を見て、小さく謝って去っていった。はぁ…ホント疲れた…。イライラしたな。リンさんに会いたい…。まだ撮影あるのに…。あー…つらい…。


「ごめん、マネージャー、さっきのアイドルの人しつこかったから、だいぶ冷たくあしらっちゃった。」

「…どんな感じだ?いちおう詳しく。」

「うん…腕掴まれて、纏わりつかれて…断ってもしつこいし、真顔で迷惑って伝えた。」

「まぁ…それなら向こうが悪いだろ。お互いアイドルなんだしな。」

「…迷惑かかったらごめん」

「まぁ、気にするな。」

「災難だったな…藍月」

「ん、ありがと!はやく帰りたいなぁ…」

「はいはい、早く帰れるように頑張れよ。」

「はーい…はぁ…」

まだあの人会わなきゃいけないとか、苦痛すぎる…。香水濃くて臭いし…。リンさんの匂い嗅ぎたい。癒やされたい。そこからは特に絡んでも来なかったけど、かろうじて笑顔で収録を終えた。

諦めたのかと思ったら、次は理人に声かけてたみたい。もえぎがブチ切れてた。正直、身内の贔屓なしに、あのアイドルと比べたらもえぎの方が断然可愛い。それにもえぎ溺愛の理人が釣られる訳もなく、素気無く返してた。

マネージャー、共演NGにしてくれないかな…。正直、あんまり仕事被るとも思えないし。あんな感じで誰彼構わず誘ってるなら、すぐにバレて破滅するだろうし。

「やっと帰れる!!!」

「りっちゃん早くお風呂入ろうね。不愉快な匂いがする。」

「おう、悪いもえぎ」

「ううん…手荒にするわけにいかないしね。仕方ないよ。」

「帰るか。」

「うん」

この二人の会話をちゃんと聞いてれば、もう少し拗れなかったのかもしれない。






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