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54.恋人になりました。

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プルルルル…____

プルルルル_____

意識の外で鳴る音が聞こえる。うっすら目を開ければ、鳴っているのはスマホのようだった。まだ眠い…。

けれど、リンさんが隣から居なくなって温もりがなくなって眠れない…。起こした奴は誰だ!もう!リンさんとまだ寝てたかったよ…

聞いてみれば、恩人の遠野さんからだったみたい…。けど、付き合ってないと思ってるなんてリンさん…酷いよ…ちゃんと付き合ってるって言っておかないと。

その後、無理矢理にでも納得させて、絶対に俺の家に住ませることを約束させた。誰にも取られたくない。誰にも渡さない。

結果的に押し勝って、俺の家に一緒に住むことが決まった。遠野さんにもお礼を言わなきゃだし、心配してくれていたみんなにも、報告しないとね。

夕方には俺の家にマネージャーが迎えに来てくれるから、午前のうちにリンさんに荷物を準備してもらって、タクシーで俺の家に一緒に連れて帰る。

「リンさん、準備してください!俺も手伝うので!」

「うん…食材も持ってこうかな…そういえば昨日作ったご飯残ってる…」

「俺食べていいですか?」

「ん、いいよ。俺も食べようかな。」

「温めときます!リンさんは準備しててくださいね。」

キッチンを覗くと、フライパンが置いてあって中に入っていたのは野菜炒めのようだった。火をつけて菜箸で焦げないように温める。

味噌のいい香りがする。昨日も食べずに寝ているから、今になって空腹感がきた。

「リンさーん、ご飯食べますか?」

「うーん…とりあえずなしで」

「はーい」

リンさんの手料理、前はスープ食べさせてもらったな。なんか二人でご飯作って会話して、夫婦みたいでいいなぁ…。

ふとリンさんを見れば、リンさんの顔も赤くなっていた。同じこと考えたのかな…?ふふっかわいい。そのまま見ていると、リンさんと目があって、ぱっと逸らされる。反応が可愛いんだよな。はぁ…好き

ご飯の温めが終わって、リンさんを呼んで一緒にご飯を食べた。ご飯美味しい。しあわせ…。

ある程度過ごすための準備ができたということで、リンさんの冷蔵庫の中身も消費期限を見てある程度持っていく。とは言っても、そんなに食材は残ってなかったから殆ど持っていけそうだな。

「リンさん、そろそろ出れそうですか?」

「ん、うん大丈夫だと思う。また何かあったら取りに来るよ。」

「そうですね。じゃあ行きましょう」

呼んでいたタクシーに乗り込んで、家につく。そして、リンさんの荷物を余っていた部屋に片付けていく。

「えへへ!これでずっと一緒ですね!嬉しいです!」

「ふふっそうだね。」

「今日はお仕事行かなきゃなので、いない間は好きに過ごしてくださいね!」

「うん、ありがとう。少しだけど料理練習してるから、夕飯作ろうか?」

「はい!食べたいです!帰りの時間わかりそうなら、連絡しますね!予定的には8時くらいです」

「わかったよ。」

仕事のために家を出る。ふふっ帰るの楽しみだな!リンさんがいてくれる上に、ご飯まで準備がしてくれるなんて…えへへ

ついつい顔が緩んじゃう。引き締めないとね。


_______________


はぁ…藍月くんに連れられるままに、藍月くんの家に来てしまった。一緒に住むことに同意しちゃったけど、どうしよう…緊張する…

何度も泊まらせてもらってるけど、それとは全然違う…だって付き合ってるんだから!あー…ヤバい。

ていうか、自宅で持ち物まとめてる間、大量のalfalfaグッズを見られないかハラハラした…。見つかってはないみたいだけど。これから本当に引越しとなれば隠しきれないなぁ。

いや、隠さなくても良いんだろうけども…。手放したくないし、見せるしかないか…引かれないといいなぁ…。

とりあえず、料理頑張ろ。




_______________
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