47 / 104
46.推しには会えません。
しおりを挟む藍月くんに会わないことにしてから、あまり元気はでない。けれど普通にバイトと大学に行って過ごしていた。
ファン活動はやめていない。alfalfaが出ている番組もきちんと録画して見ているし、雑誌も買っている。SNSも見ているんだが…最近、というかあの日から藍月くんの投稿が減っている。お知らせ系の投稿しかしていない。
…少し心配になる。けれど、俺に出来る事なんて何もない。ただのファンなのだから。そうなると決めたんだから。
藍月くんを見ると会いたくなるけれど、でも見ないこともできなかった。alfalfaの公式SNSで生放送に出るというお知らせがあった。
そこで歌って踊る藍月くんはやはりキラキラしていて…。俺が惹かれた姿がそこにあった。けれど、顔色が良くないように見える。
間奏に入って、藍月くんが見覚えのあるポーズをした。ライブ配信の時に、俺に向けたメッセージだと言っていたものだ。そのライブ配信のアーカイブも何回も見返したからよく覚えている。
俺に向けたメッセージ…なのか?
藍月くんが言った言葉は「君に会いたい。」だった。会わなくなってから1ヶ月くらい。状況的に俺に向けたものなんだろうか?
そうだとしたら、まだ忘れられていないことが嬉しい。けれど…早く忘れてくれればいい。
そんなことを思いながらも、勝手に涙がこぼれ落ちる。自分で会わないって決めておきながら、この有様だ。
その生放送の後、間奏中のセリフを言った藍月くんの表情が切ないと話題になっていた。SNSで検索していれば、間奏部分の切り抜きが上がっていて、コメントは大いに盛り上がっていた。
コメントしているのは、主に女の子で、切なげな顔がたまらないとか、萌え死にそう…とか、これは絶対演技じゃないでしょ!とかそんな声が寄せられていた。
藍月くん…
連絡をくれるけど、忙しいと早々に会話を切り上げて、俺の方から連絡をしたりはしないようにしている。
もう、何が正解なのかわからない…。離れれば藍月くんも俺のことなんてすぐに忘れてくれると思ったんだけどなぁ…。
その後、神谷さんからも連絡が来て、藍月くんに元気がないのは、確かなようだった。そしておそらく、俺が思っているよりも、藍月くんはちゃんと俺を好きでいてくれたのかもしれない…。
好きって言われて、避けたりして…俺最低かもな…。でも…藍月くんの人生を考えれば、俺の存在は邪魔にしかならない。これは間違いないと思うんだ。
けれども、ファンを辞めるつもりはない。だから、alfalfaのサイン会は行けないけど、サインは欲しい。ということで彼方だ。
「彼方、お前今度の土曜空けられねぇ?」
「は?なに?なんかあんの?」
「…俺の代わりに、サイン会行ってほしいんだけど…」
「は?俺が当ててやったやつだろ?行けるって喜んでただろうが、自分で行けよ。」
「ちょっと…事情が、な?」
「まぁ…暇だし行ってやるけど。飯奢れ」
「もちろん奢らせていただきます…彼方様」
普段なら絶対に受けてくれなかっただろう。けど最近、俺があまりにも元気がないから。何かを察したのか、了承してくれた。
彼方に任せるられることになったので、後日写真集を彼方に預ける。これでサイン会については解決だな…。
_______________
お気に入り、感想、ブックマークなどありがとうございます!
17
あなたにおすすめの小説
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
嫌われ者の長男
りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....
【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺
福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。
目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。
でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい…
……あれ…?
…やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ…
前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。
1万2000字前後です。
攻めのキャラがブレるし若干変態です。
無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形)
おまけ完結済み
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
弟がガチ勢すぎて愛が重い~魔王の座をささげられたんだけど、どうしたらいい?~
マツヲ。
BL
久しぶりに会った弟は、現魔王の長兄への謀反を企てた張本人だった。
王家を恨む弟の気持ちを知る主人公は死を覚悟するものの、なぜかその弟は王の座を捧げてきて……。
というヤンデレ弟×良識派の兄の話が読みたくて書いたものです。
この先はきっと弟にめっちゃ執着されて、おいしく食われるにちがいない。
どうせ全部、知ってるくせに。
楽川楽
BL
【腹黒美形×単純平凡】
親友と、飲み会の悪ふざけでキスをした。単なる罰ゲームだったのに、どうしてもあのキスが忘れられない…。
飲み会のノリでしたキスで、親友を意識し始めてしまった単純な受けが、まんまと腹黒攻めに捕まるお話。
※fujossyさんの属性コンテスト『ノンケ受け』部門にて優秀賞をいただいた作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる