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4.事務所、所属になりました。
しおりを挟む地道なライブ活動や、SNSでも少しずつ人気が出てきた。そんなとき、一つの事務所が俺達に声をかけてくれた。
「もえぎ、理人どうする?俺は正直チャンスだと思うよ」
「そうだねー!やってみよう?」
「だな、大手所属になるチャンスだ。」
「じゃあ、オッケーの返事するからね。」
「うん」「ああ」
それからはトントン拍子に話が決まっていって、ライブ活動は、次で最後にすることになった。人が集まり過ぎてもいけないということで、最後だと言うのは終わってからということになった。
シバさん来てくれるかな。最後だし、見てほしいな。そんな期待を持って挑んだ最終路上ライブには、彼の姿があってホッとした。
最後って思うと涙が出そうになったけど、それを笑顔で覆い隠すように笑う。きちんと笑えていたかな?SNSの反応を見るに、大丈夫そうだったので安心する。
俺達の路上ライブは、もうしませんっていうことと、事務所に入ってパフォーマンス向上のためにトレーニングに専念することを発表した。
ファンのみんなの反応は気になったけれど、その中でもシバさんの反応は気になっていた。
発表に対して、応援する旨の返信が来ていた。これからも変わらず応援する、そんな言葉がとても嬉しい。
精一杯頑張って、早くデビュー出来るようにしよう。SNSは変わらず続けた。そこにシバさんのコメントがつくのが嬉しかったし、シバさんの投稿は俺達のグッズや拡散のためのものが主だった。
会えなくなってもずっと応援してくれていた。そのことがどれだけ俺の力になっているか。
練習の成果もあって、デビュー日が決まった。CDも出せることになったのでそのお知らせを投稿する。
「なー!!シバさん予約してくれたって!」
「はいはーい、藍ちゃんはホントにその人好きだねー、その人はいつもしてくれるでしょ?」
「でも当たり前なんかじゃない…そうだろ?」
「うん!理人が言うように、当たり前なんかじゃない。だからずっと応援してもらうために頑張ってるんだし!」
デビュー日、俺達は一気にスターになったらしい。ファンになってくれた人が多かったみたいで、予約外でCDを買おうとした人は買えない、ということが続出した。
トントン拍子に、初ライブまでの道筋ができた。もちろん練習もハードになっていって、疲れていた。それでも、シバさんに良いライブを見せたくて頑張った。
やってきたライブ当日、ステージに上がって、観客席を見渡す。…いくら探しても、いくら探してもシバさんを見つけることは出来なかった。
控え室に戻って落ち込む。……もうファンじゃなくなった?何も言わない俺に、後から入ってきたマネージャーも、え?何ごと?といった顔になる。
「……」
「シバさん?」
「……探したけど居なかったです…」
「あー…そうか。」
「SNSはどうなんだよ?」
「……あ!俺達の路上ライブのとこで、写真あげてくれてる!!」
「はぁ…よかったな。」
「チケット当たらなかったみたい…見てほしかったな…」
「まぁ、活動続けてればまたチャンスあるだろ。」
「そうだよね…」
「シバさんって?」
「あ!マネージャーは知らないか!僕達の最初のファンだよー」
「藍月はその人が大好きなんですよ。」
「なるほど…?」
「そうそう!もう、逆に藍ちゃんのほうがシバさんのファンかよって感じだよね!」
「ストーカーとかしないでくださいよ?」
「…うん、頑張る…」
シバさんが居てくれれば頑張れるからね。俺達のファンで居てくれなくなったら、ストーカーしない自信ないかもな…。
「頑張る?約束してください!!絶対ぜーったい駄目ですからね!」
「シバさん…応援してくれてるならストーカーとかしない、はず…」
「そんな不安になるようなこと言わないでくださいよ…。」
「悪いな。マネージャー、こいつずっと拗らせてんだよ。」
「そうだよねー、僕たちはもう慣れたけどね。」
「デビュー早々炎上とか嫌ですからね?」
「はい…頑張ります!」
俺達の次のイベントとして、握手会をやる予定になっていた。握手会が始まると、ずっと笑顔でいるので、頬の筋肉が引き攣りそうになる。
!?
シバさん!!髪の毛長い!可愛いな。
目に焼き付けるように見ていると、シバさんが差し出していた手を引っ込めようとする。
ハッ!危ない!握手できない所だった。慌てて手を取り握りしめる。
「あ…ごめんね、嬉しくて!ずっと応援してくれてるよね!」
そう言って、とびっきりの笑顔を見せる。シバさんが尊い。可愛いな。
「あ、えと応援してます。頑張ってください」
応援してくれてるって言葉にしてくれるの嬉しい。そう思ってもっと会話を続けようとするも、時間だと告げられる。もっと話したくて、手を放すことが出来なかった。
「あの、手、放してもらっていいですか?」
「ああ、ごめ…ごめんね。あの少し話したくて。少し奥で待っててくれたりしない…かな?」
他の人に聞こえないように小声で誘ってみる。あ、断られるな…。とても悲しい…。
「…わかりました。」
しょぼん顔をした俺を見て、オッケーしてくれた!シバさんが俺の顔に弱くてよかった!!
俺の知り合いだからということにして、控室に通してもらった。
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