83 / 96
野菜料理、なんですがね
しおりを挟む
(たしかに、みんなで急に訪れたことは認めるわ。大迷惑をかけていることもわかっている。それから、ふつうの状況とは違うことも知っている。本来なら申し訳ないと思わないといけないし、感謝の念も抱かないといけない。だけど、そういうもろもろのことも含めてもこれはちょっとひどくないかしら?)
提供された野菜料理は、控えめにいってもひどかった。
マクラウド公爵家では、他の多くの貴族同様野菜メインのメニューはあまりないらしい。
一般的には、肉料理が多くてそのつぎに魚料理が多い。野菜を使うのは、付け合わせとかいっしょに煮込んでいるとか、自己満足やごまかしの為にサラダで提供する程度。
野菜を仕入れてもその消費量はすくない。だから、サラダにするより煮込んでしまうのだ。使い切るまでに、見た目に痛んでしまう。それをごまかせるから。
というわけで、いまもサラダに使われている葉物野菜はクタクタだった。苦し紛れ的に出されたスティック状の野菜に関しては、変色してしまっていた。
それでなくても、食堂内には紫色が溢れていて食欲が減退している。その上痛んだ、あるいは痛みかけた野菜を見て、余計に食欲が失せてしまった。
他には、潰したりとか揚げたりとか、とにかく煮込みまくったりとか、そういうもののオンパレードだった。
食欲は失せたけれど、残すわけにはいかない。なぜなら、大慌てで作ってくれたマクラウド公爵家の料理人たちに申し訳なさすぎるから。
だから、食べた。
葡萄酒は断り、水で流し込むようにしてひたすら口を動かし続けた。
アレックスとパトリックもわたしと同じ考えだったに違いない。
三人で無言のままひたすら食べた。というよりか、口の中に詰め込んだ。
一方、ジョエルとキャロラインは最初から出す予定だったらしい肉料理を堪能している。
(ということは、キャロラインが食べている料理は、本来ならわたしが食べるはずだったのね)
誤解されては困るけれど、なにも肉料理がうらやましいとかそれが堪能出来なくて残念だったというわけではない。
わたしは、一度目の人生です粗食に慣れまくっている。いまの人生でも、忙しいあまりに立ったままパパッとつまめるサンドイッチなどがほとんどである。
脂身でテッカテカとか肉汁が溢れるとか、そういう肉料理は正直勘弁してもらいたい。
とはいえ、ここで提供された数々の野菜料理も究極に不味かったわけではない。
ちょっと食べにくかっただけ。
ということで、三人でがんばって完食した。
『アレックス、これはカニンガム王国流の苦行かな?』
『ああ、パトリック。よくわかったな。この苦行を乗り越えた者こそが、将来立派な皇帝になれるのだ』
『そうなのか? だったら、おれは立派な皇帝になれそうだよ』
『パトリック、おめでとうと言わせてくれ。それから、あらためて言おう。ようこそ、カニンガム王国へ』
これは、マクラウド公爵家をあとにした際のアレックスとパトリックの会話である。
三人で大笑いしてしまったことはいうまでもない。
提供された野菜料理は、控えめにいってもひどかった。
マクラウド公爵家では、他の多くの貴族同様野菜メインのメニューはあまりないらしい。
一般的には、肉料理が多くてそのつぎに魚料理が多い。野菜を使うのは、付け合わせとかいっしょに煮込んでいるとか、自己満足やごまかしの為にサラダで提供する程度。
野菜を仕入れてもその消費量はすくない。だから、サラダにするより煮込んでしまうのだ。使い切るまでに、見た目に痛んでしまう。それをごまかせるから。
というわけで、いまもサラダに使われている葉物野菜はクタクタだった。苦し紛れ的に出されたスティック状の野菜に関しては、変色してしまっていた。
それでなくても、食堂内には紫色が溢れていて食欲が減退している。その上痛んだ、あるいは痛みかけた野菜を見て、余計に食欲が失せてしまった。
他には、潰したりとか揚げたりとか、とにかく煮込みまくったりとか、そういうもののオンパレードだった。
食欲は失せたけれど、残すわけにはいかない。なぜなら、大慌てで作ってくれたマクラウド公爵家の料理人たちに申し訳なさすぎるから。
だから、食べた。
葡萄酒は断り、水で流し込むようにしてひたすら口を動かし続けた。
アレックスとパトリックもわたしと同じ考えだったに違いない。
三人で無言のままひたすら食べた。というよりか、口の中に詰め込んだ。
一方、ジョエルとキャロラインは最初から出す予定だったらしい肉料理を堪能している。
(ということは、キャロラインが食べている料理は、本来ならわたしが食べるはずだったのね)
誤解されては困るけれど、なにも肉料理がうらやましいとかそれが堪能出来なくて残念だったというわけではない。
わたしは、一度目の人生です粗食に慣れまくっている。いまの人生でも、忙しいあまりに立ったままパパッとつまめるサンドイッチなどがほとんどである。
脂身でテッカテカとか肉汁が溢れるとか、そういう肉料理は正直勘弁してもらいたい。
とはいえ、ここで提供された数々の野菜料理も究極に不味かったわけではない。
ちょっと食べにくかっただけ。
ということで、三人でがんばって完食した。
『アレックス、これはカニンガム王国流の苦行かな?』
『ああ、パトリック。よくわかったな。この苦行を乗り越えた者こそが、将来立派な皇帝になれるのだ』
『そうなのか? だったら、おれは立派な皇帝になれそうだよ』
『パトリック、おめでとうと言わせてくれ。それから、あらためて言おう。ようこそ、カニンガム王国へ』
これは、マクラウド公爵家をあとにした際のアレックスとパトリックの会話である。
三人で大笑いしてしまったことはいうまでもない。
応援ありがとうございます!
38
お気に入りに追加
418
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる