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翌朝、やはり王宮へ
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翌朝、公休だけれどいつも通り王宮に行くことにした。
昨夜、成り行きでパトリックと約束をしてしまった。
パトリックは、大国の皇太子である。
いくらお忍びとはいえ、たかだか侍女のわたしが連れまわしてもいい存在ではない。
パトリックが直接アレックスに許可をもらってくれるということだけれど、アレックスがどう判断するかわからない。
いずれにせよ、王宮に行かなければどうなるのかわからない。
もしもアレックスの許可が出れば、わたしがパトリックを案内することになる。そうすれば、このまま彼を案内すればいい。
逆に許可が出ず、然るべきだれかが彼を案内するのなら、わたしは屋敷に帰ればいい。
しかし、せっかく王宮に出向いたのである。ケヴィンか料理人に頼んで朝食を分けてもらおう。情けない話だけど、屋敷にはなにもない。厨房に隠しているなにかしらの食物は、お父様が見つけだしては食べてしまっている。
それとは別に、わたしが公休日だというのに昨夜からお父様が家にいる。お父様は、今日一日居間の長椅子でゴロゴロしている。そして、夜になったらバーか賭場場に行く。
お父様がいるから、屋敷に戻りたくない。その理由は、当然彼に会いたくないからである。というわけで、王宮で昼食を恵んでもらい、屋敷には戻らず一日王立図書館で時間を潰す。それから、夕方ジョエルの屋敷に向かう。
それなら、お父様に会うことはない。
どちらのパターンでも対応出来るよう、恰好もわたしの持つ一番いいドレスを着用している。
もっとも、着古しているし、デザインも時代遅れだけれど。
とにかく、そうしよう。
厨房で朝食を恵んでもらうということについては、
(勤務日ではないけれど、食事を恵んでもらってもいいわよね?)
ということにしておく。
というか、マクラウド公爵邸に行かなければならないことも憂鬱で仕方がない。
そういえば、まだアレックスにこのことを伝えてなかった。
もっとも、それはジョエルに一方的に誘われたことである。彼は、他国の要人ではない。だから、本来ならアレックスの許可は必要ない。
しかし、自分の気持ち的にだまってマクラウド公爵邸に行くことに抵抗がある。
ジョエルがわたしの一度目の人生で背後から刺殺した張本人であるというだけでなく、アレックスを国王の座から引きずり下ろし、幽閉し、毒殺した黒幕だからかもしれない。
ジョエルのことを警戒している? 不安を抱いている?
彼にたいしては、複雑な気持ちを抱いている。
一方で、パーティーの際に彼がどのような発表をしたのかを話したがっているというところも興味深い。
一方的な誘いとはいえ、マクラウド公爵邸には行かねばならない。
そんなことを考えつつ、バラ園に入り込んだ。
アレックスは、わたしの勤務日を把握している。なにせわたしは、彼の専属侍女だから。
だから、彼は今朝はバラ園に来ないはず。
もっとも、昨夜の彼の状態ではバラ園に来ようにも来れないでしょうけど。
が、いつものベンチにだれかが座っている。
朝靄の中、シルエットが揺らめいているのだ。
昨夜、成り行きでパトリックと約束をしてしまった。
パトリックは、大国の皇太子である。
いくらお忍びとはいえ、たかだか侍女のわたしが連れまわしてもいい存在ではない。
パトリックが直接アレックスに許可をもらってくれるということだけれど、アレックスがどう判断するかわからない。
いずれにせよ、王宮に行かなければどうなるのかわからない。
もしもアレックスの許可が出れば、わたしがパトリックを案内することになる。そうすれば、このまま彼を案内すればいい。
逆に許可が出ず、然るべきだれかが彼を案内するのなら、わたしは屋敷に帰ればいい。
しかし、せっかく王宮に出向いたのである。ケヴィンか料理人に頼んで朝食を分けてもらおう。情けない話だけど、屋敷にはなにもない。厨房に隠しているなにかしらの食物は、お父様が見つけだしては食べてしまっている。
それとは別に、わたしが公休日だというのに昨夜からお父様が家にいる。お父様は、今日一日居間の長椅子でゴロゴロしている。そして、夜になったらバーか賭場場に行く。
お父様がいるから、屋敷に戻りたくない。その理由は、当然彼に会いたくないからである。というわけで、王宮で昼食を恵んでもらい、屋敷には戻らず一日王立図書館で時間を潰す。それから、夕方ジョエルの屋敷に向かう。
それなら、お父様に会うことはない。
どちらのパターンでも対応出来るよう、恰好もわたしの持つ一番いいドレスを着用している。
もっとも、着古しているし、デザインも時代遅れだけれど。
とにかく、そうしよう。
厨房で朝食を恵んでもらうということについては、
(勤務日ではないけれど、食事を恵んでもらってもいいわよね?)
ということにしておく。
というか、マクラウド公爵邸に行かなければならないことも憂鬱で仕方がない。
そういえば、まだアレックスにこのことを伝えてなかった。
もっとも、それはジョエルに一方的に誘われたことである。彼は、他国の要人ではない。だから、本来ならアレックスの許可は必要ない。
しかし、自分の気持ち的にだまってマクラウド公爵邸に行くことに抵抗がある。
ジョエルがわたしの一度目の人生で背後から刺殺した張本人であるというだけでなく、アレックスを国王の座から引きずり下ろし、幽閉し、毒殺した黒幕だからかもしれない。
ジョエルのことを警戒している? 不安を抱いている?
彼にたいしては、複雑な気持ちを抱いている。
一方で、パーティーの際に彼がどのような発表をしたのかを話したがっているというところも興味深い。
一方的な誘いとはいえ、マクラウド公爵邸には行かねばならない。
そんなことを考えつつ、バラ園に入り込んだ。
アレックスは、わたしの勤務日を把握している。なにせわたしは、彼の専属侍女だから。
だから、彼は今朝はバラ園に来ないはず。
もっとも、昨夜の彼の状態ではバラ園に来ようにも来れないでしょうけど。
が、いつものベンチにだれかが座っている。
朝靄の中、シルエットが揺らめいているのだ。
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