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ゴールデンなウィーク
しあわせな週末
しおりを挟む翌週末、わたしは柾哉さんに言われたとおり数日分の荷物を持ってお邪魔した。本当は自分で行く予定だったけど柾哉さんが迎えにきてくれるとのことでお言葉に甘えて迎えにきてもらった。
「昨日ぶりだね」
「はい!」
「俺に会えてうれしい?」
昨日は千秋先生の訪問日。いつものように出迎えて職場巡視をしたり、面談希望者と面談したりとあいも変わらず真面目に仕事をした。
「…うん、うれしい」
「昨日エレベーターの前で“明日たのしみ”って感情が伝わってきたよ」
「…えぇ?だだ漏れてた?」
「漏れてた漏れてた。というか俺がたのしみだったからそう見えただけかもしれないけど」
どうぞ、と促されて先週来たばかりの彼の部屋に入る。玄関がロックされる音が聞こえて背後から抱きしめられた。
「業務中なんども果穂に手を伸ばしそうになってビビる」
「…そのときはどうすればいいの?」
「黙って撫でられておいて」
「それはそれで周囲の目が」
困る、という言葉は彼によって阻止された。
唇が塞がれてあっという間に舌が入ってくる。
「今日もシていいよね?」
「…はい、もちろんです。いっぱいシてください」
「…っ、ほんと、小悪魔だなあ、果穂は」
小悪魔という言葉には物申したいけれど柾哉さんが喜んでいる(っぽい?)からいいの。
「だめ?」
「わざとしてる?」
「何が小悪魔のツボか研究しようとおもって」
「しなくていいよ、そんなの」
もっと俺が振り回されることになる。
柾哉さんがぶつぶつ言いながら私の荷物を持ってくれる。もう片方の手はしっかり私の腰を抱いて廊下の奥へと進んだ。
お風呂は入ったし食事は簡単に取った。もし食べるなら食べられるぐらいにはお腹は減っている。でもそれ以上に柾哉さんに触れたくて我慢できなかった。
「柾哉さん」
「ん?……果穂、そんな顔しないでくれる?」
「そんな顔って」
「誘ってるでしょ?」
「…だめ?」
「彼女に求められて喜ばない男がいるとでも?」
柾哉さんの服を掴んで彼を見上げる。
どこか呆れて投げやりな彼がそれでも優しいキスをくれて嬉しくなる。
寝室の扉を開けて荷物を置いた柾哉さんに背伸びをして抱きついた。キスをねだって唇を押しつける。彼は簡単に私を抱き上げると数歩先にあるベッドに私を下ろした。
「いっぱいぎゅってして」
もうさっきから欲望が止まらない。甘えるように両手を伸ばせば柾哉さんが「はいはい」と笑いながら服を脱がせてくれた。
本当は抱きしめて欲しかったのに、と頬を膨らませる。
「…ちがう。ぎゅっとしてほしかった」
頭からすっぽりとTシャツを脱がされてボサボサになった髪を整えた。恨みがましく見上げても柾哉さんは肩をすくめるだけ。全然悪びれた様子はない。
「どうせ脱がすし」
「この間までのムードは?」
「今夜はそういう気分じゃない。それは果穂もじゃない?」
早く欲しくない?と聞かれて渋々頷いた。
悔しいけれど柾哉さん不足。
触れたくて抱きしめて欲しくて仕方ない。
昨日からずっと抱きつきたくて堪らなかった。だから今はそんなイケズな彼に反抗するように抱きついてやるんだ。
「果穂、脱がせないんだけど」
「いいの」
「小悪魔め」
柾哉さんが私を脚の上に座らせた。彼の腰を両膝ではさみ腕を首に巻き付ける。
唇が舌が飴を転がすように肌を滑っていく。キャミソールの下から手が潜り込んできて地肌を撫でた。角度を変えて唇が重なる。食べるようにキスを繰り返していると背中のホックが緩む。キャミソールを捲り上げられて乳房が露わになった。片方が彼の手に包まれてもう片方に柾哉さんが吸い付いた。
「…っ、ぁ、」
ふにふにと優しく揉みしだかれて甘く嬲られる。
中途半端に脱げかけたキャミソールを煩わしく思っていると彼がそれを取っ払ってくれた。
「柾哉さん…っ」
押し倒される間際、ゴムのスカートがスルリと脱がされる。
あっという間にパンツ一枚になった私を彼は楽しそうに見下ろした。
「…柾哉さんも脱いで?」
淡く灯る橙色の光の中、欲情を湛えた瞳にお願いした。
片方の腕を伸ばし頬に添える。彼はその手に擦り寄るようにほお擦りすると手のひらにひとつキスをおとした。
「脱がせてくれる?」
寝転んだまま両手を伸ばす。上からふたつ外されていたボタンを三番目から外していく。薄いグレーのシャツの中に見えた白い下着。それを摘めば柾哉さんは両手で首の後ろの襟を引っ張って背中を少し丸めると一息でそれを脱ぎ捨てた。
(…っかっこいい!!)
今日も安定のかっこよさに惚れ惚れしていると何故か柾哉さんに苦笑される。
「脱ぎ方変だった?」
「ううん。男らしくて素敵」
「…そう?そんなこと初めて言われたけど」
まあいいやと言いながらズボンも脱ぎ捨てる。前回とは違うこのスピード感にちょっとばかしドギマギし始めた。ヤることは一緒だけどなんだろう、今日の方が切羽詰まった感がある。
明日地球が滅びるのかしら。
「果穂」
「ん」
ほら、ぎゅっとするんだろう?
彼が私の隣に寝転んで手を伸ばしてくれた。
その腕の中に文字通り転がると裸の胸に肌の温度が伝わる。
「…あ、」
脚を持ち上げられて彼の腰に引っ掛けた。
彼の下腹部の盛り上がっている部分がショーツにあたる。
「も、おおきくなってる」
手を伸ばして盛り上がりをそろりと撫でる。可愛い告白に勝手に頬がにやけた。私のせいでこんなことになってしまう柾哉さんが可愛い。
「…かわいい」
「いや、ソレは可愛くないでしょ」
「だって私のせいでこんなに凶暴化してるって…っ」
なでなでと手を動かしていると彼の腰がグッと前に押しつけられた。
指が彼の股間と私の体で押しつぶされる。手を抜くとダイレクトで彼の熱を布ごしに感じて体内からじゅわりと蜜が押し出された。
「果穂もしっかり濡れてる」
「…っ、だって」
「えっち」
「~~~~っ!!」
再び押しつけられたそこを緩やかに擦られる。
生身じゃないのにすごくエッチで下腹部のキュンキュンが止まらない。
「柾哉さ…っ」
「えろ」
キスを求めれば噛み付くようにキスされた。
私のお尻を支える彼の腕がさらにグッと下から抱えられる。
「~~~♡♡♡」
蕾が押しつぶされて腰が震える。勝手に腰が揺れて彼のそれに腰を擦り付けた。
「っ、果穂、それだめ」
「ど、して?」
「もどかしくて無理」
柾哉さんの言葉に「たしかに」とうなづく。
「じゃあ、さわって?」
「っ、果穂ーーー」
「だって」
さっきから下腹部が震えて仕方がない。
キュンキュンが止まらなくてどうにかしてほしい。
切なさに嘆いていると柾哉さんにしっかりと濡れたショーツを脱がされてしまう。
指で宥められただけでシーツをキツく握りしめた。
「果穂、とろとろ」
「あぁっ、やっ」
「中はまだ狭いな」
柾哉さんの指が一本中に入ってお腹の内壁を指の腹で優しく撫でた。
その撫で方がもどかしくて堪らない。もっとシて欲しくて腰が勝手にうねってしまう。
「ぁあ、っ、あんっ柾哉さんっ、キスして…っ」
「本当、煽るね」
「……っ、ン♡」
「可愛すぎて困る」
下腹部に増えた異物が中を傷つけないようにと丁寧に撫でてくれる。
もっとひどくしてもいいの、と彼にキスを求めても落ちてくるキスは荒っぽさの中にある大きな愛情。優しくて深くてそれから気遣いにもっともっと好きになる。
「…すき」
「俺も好きだよ」
柾哉さんの腕が首の後ろをくぐる。必然と上がった顎を塞ぐように噛み付くキスが落ちてきた。
舌で擦られるたびに蜜が溢れ出る。彼の指が内壁を撫でるたびに腰が跳ねた。疎外された蕾のご機嫌をとるように時々触れられて歓喜に満ちる。
「腰の下、置くよ。不快感があったら言って」
十分に頭が働かなくなった頃に柾哉さんが私の腰の下にクッションを置いてくれた。人によって差異はあるけど挿入時女性が感じやすくなる人もいるという。全然知らなかったけど、柾哉さんが言うならと前回もクッションを置いたままエッチした。
「…ありがとう、好き」
「知ってる」
ようやく待ち望んだ瞬間に歓声が上がる。下腹部がキュンキュンの大合唱に腰が震えた。待ち人が来て私の中の感覚が総動員される。彼を確保するのにそう時間がかからなかった。
「っ、ぁくっ、」
彼の苦しそうな呻き声と苦しそうな表情が愛おしい。眉間に寄せられた皺に指先で触れると表情が少し緩んだ。
「果穂の中、あったかくてきもちいぃ」
「…もっときもちよくなって」
蕩けた視線がさらに甘く綻んだ。シーツを掴んでいた手を優しく解かれる。
私より大きくて長い指がひとつひとつ丁寧に私の指の間に絡まってぎゅうと握りしめてくれた。
「かわいい、果穂。俺の」
彼は柔らかく微笑むと深い深いキスをくれる。壊れ物を抱くように私を包み込んで何度も何度も熱を交わして肌を重ねた。
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