【完結】エリート産業医はウブな彼女を溺愛する。

花澤凛

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イニシングブルー

初めての夜

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 柾哉さんの自宅は私の家から車で五分程と随分近い距離だった。電車で一駅、実は隣だったとか。

 10階建のマンションの10階。2LDKのご自宅はスタイリッシュで柾哉さんらしかった。

 「荷物はその辺に適当に置いて」
 「はい」
 「冷蔵庫は好きに開けていいから。飲み物は水とお茶ぐらいしかないけど」
 「十分です」

 千秋先生は家でお酒を飲まないらしい。店で飲むからこそ旨いんだそう。料理もしようと思えばできるけどしないという。

 彼はダークグレーの大人三人はゆうに座れるソファーに座ると突っ立ったままの私に手を伸ばした。

 「ひとり暮らしで料理ってコスパ悪くない?」
 「毎日お弁当の私にそれ言うの」

 プンとズンむくれてみれば彼の手に違うよ、と掴まれる。引き寄せられるまま彼の前に立った。

 「そうなんだ。じゃあ今度ランチする?」

 するーーーーーー♡♡♡

 どう?と首を傾げられて何度も縦に首を振って頷いた。

 「します!めちゃします!!」
 「なにそのめちゃします!!って」
 「そのあと有きゅう」
 「だめ。俺が仕事行きたくなるなるから」

 それはだめ、と今度は両手を繋がれて「分かった?」と念押しされる。

 な、なにこの可愛い生き物……っ!
 天使!神様!!柾哉様!!!

 「でも…1時間じゃ寂しい」
 「じゃあやめとく?」
 「……いじわる」

 クスクスと笑われて首が伸びてくる。
 ちゅ、と唇に触れるだけのキスはほのかにソースの味がした。

 「先風呂入る?」
 「…あ、あとでで」
 「そう?一緒に入ってもいいけど」
 「そ、それはまた今度で!」

 無理です、ちょっと早いです!
 
 首を横に振れば千秋先生が笑いながら立ち上がった。

 「じゃあお先に。テレビ観たり適当に寛いでて」

 うん、と言ったけど千秋先生の世界いえにいる今、そんな適当に寛ぐなんてできない。全てを観察したいし、興味が尽きなかった。

 …はぁ、夢の国!

 インテリアひとつひとつがおしゃれ。だけど生活感も感じるので温かみもある。

 ここで毎日千秋先生が生活しているんだと思うとそわそわして落ち着かない。そんな生活空間に自分がいることがとても不思議で、でもそれ以上に嬉しくていろんな角度から部屋の中を眺めていた。

 「…何してるの?」

 部屋にある大きな観葉植物の前に座り込んでいると千秋先生がお風呂から出てきた。

 「眺めてました」
 「…斬新な眺め方だね」
 「そうですか?」

 ただ体育座りをしていただけなんだけど。

 「風呂入ってくる?」
 「はい」
 「使い方もなにもないけど。あ、シャンプーとかは男性用だけど大丈夫?」
 「はいっ」

 食い気味で返事をすればクスクスと笑われた。
 バスタオルを渡されて「早く出てきて」と問答無用で浴室に押し込められる。

  千秋先生の使用後のせいか、残り香がひどかった。悪い意味じゃない。もう、ありがとうございます!!って感じだ。

 一応シャンプーはトラベルセットの中にいつも使うものがある。ボディーソープもそうだ。でも、やっぱり千秋先生とお揃いがいい。

 メイクを落として歯磨きをする。シャワーで汚れを落として髪と身体を洗い湯船に浸かった。

 「ほぅ」

 バスタブが広くていい。足をしっかり伸ばせる。1日歩いて疲れたからふくらはぎがパンパンだ。

 軽く脚のマッサージをしながらこの後のことを考える。恥ずかしいし緊張するけど、それ以上に早くふれたい。

 果穂。
 
 エフェクトがかかった上半身裸の千秋先生が私を見下ろして微笑んだ。艶っぽい声に逞しい裸体。その裸体に抱きしめられて……

 (にゃあぁああああーーーーーー!)

 ぼんっと顔が熱くなって両手で顔を覆った。いや、これからスるけど、なんかもうなんかもう…!

 「ごちそうさまです!」

 千秋先生がいればきっと「なに急に。どうしたの?」と苦笑されそうだ。

 そんな彼の姿を想像していそいそと身体を拭きおろしたての下着とパジャマを身に纏うのだった。


 「お、待たせしました」

 脱衣所にあったドライヤーを借りて髪を乾かせば結構な時間がかかった気がする。それでも千秋先生は、リビングでパソコンを広げて待っていてくれた。

 「待ってないよ。それよりそれ、パジャマ?」
 「はい」
 「……そんな可愛い恰好、俺の前だけにしてよ?」

 買ったばかりのパジャマはクリーム色地で黄色い花柄のセットアップ。袖が少し短くて、おまけにショートパンツ。今の季節は少しまだ肌寒いのでふわふわのカーディガンを羽織っている。

 「…ま、柾哉さんに見せるために買ったから柾哉さんの前でしか着ない、よ?」

 カーディガンの裾をキュッと握り締める。
 おずおずと視線を上げれば溶けそうなほど甘い視線とぶつかった。

 「……じゃあもっとよく見せて」

 誘われるまま、一歩、二歩、彼に近づく。
 全身が見える位置で立ち止まれば音のない時間がしばらく続いた。呼吸音すらも聞こえなくてただ、心臓の音だけがやけにうるさい。

 「…はぁ、」

 コンタクトを外して眼鏡になった彼はいつもの。それなのに耳も赤くて視線が泳いでいる。

 「…俺、全然自信ないよ?大丈夫?」

 千秋先生が立ち上がり私の目の前に立つ。

 「わ、わたしも、その、床上手じゃなくてすみませ…っ」

 頭を下げようとすれば肩を抱き寄せられた。
 不思議に思い顔をあげる。

 「床上手って、なにそれ」

 クスクスと笑われて膝下と腰を持ち上げられる。脚がふわっと浮いて抱き上げられたんだと気づいた。

 「ちょ、」
 「俺が自信ないって言ったのはセーブできる自信がないってこと」

 話をしながら彼の脚は迷わず進む。
 目的地はただひとつ。歩きながら彼にぎゅうと抱きつけば。

 「そういえば、ほっぺちゅー、まだしてもらってなかったな」

 千秋先生がとんでもないことを言い出した。

 
 
 それをここで言うの?!
 と、驚きながらも結局のところそれ以上恥ずかしいことするのに、と開き直っている自分もいる。

 千秋先生は私を抱いたまま器用に寝室の扉を開けると真っ暗な部屋を迷わず進んだ。

 「果穂」
 
 「ほら、キスして」と頬を差し出してくる彼が可愛い。

 (……もう、どうにでもなれっ)

 足りない分が何回かわからない。
 わからないからこそどうすればいいかわからない。

 「唇にもしてよ」

 千秋先生は私を抱いたままベッドに上がり腰を下ろした。スプリングが軋む音を聞きながら目線が下がる。その視線の先には彼の唇がある。

 「ほら。100回ぐらいしてくれないと」
 「そ、それは言い過ぎ、」
 「じゃあ覚えてる?」
 「お、覚えて…っ柾哉さんは」
 「覚えてるよ。101回」
 「…なんで1回増えたの」
 「俺がして欲しかったから」

 初めこそわちゃわちゃした空気だったのに、しっとりとした声に乞われてしまえばどうすることもできなくなる。

 額がそろりとくっついた。髪がさらりと揺れて洗い立てのシャンプーの香りが鼻をくすぐる。目の前には仄かな欲を灯した甘い瞳。どうしたもんかと目を逸らした。

 「果穂」

 咎めるような声に観念するように目を閉じて唇を押し付けた。さっきまでのようなただ触れるだけのキスをする。

 だけど何度か唇の角度を変えて重ねていくうちに濃厚なものへと変容していく。

 「ふっ、」

 唇が優しく喰まれて歯に彼の唇が触れた。優しく撫でるように舌が辿る。おずおずと受け入れれば咥内に彼が入ってきた。

 「果穂」

 甘く痺れる響きに胸が騒めく。呼ばれるたびに幸せを感じた。ぎゅうと抱きしめられてより一層喜びに包まれる。頬に添えられた手が、腰を支える腕が壊れものを扱うように大切にしてくれる。

 これから始まるコトはほとんど知らないこと。怖いはずなのに身体から力が抜けていく。

 (わたしからもいいのかな)

 彼の首を抱いて「もっと」とキスをねだってみた。重なった唇を「はむっ」と喰む。薄目で見ていれば驚いた彼が嬉しそうに笑い、唇が離れると耳や首筋にキスが落ちてきた。

 
 
 「ちょ、くすぐったっ…っ」

 くすくすと笑う声とともに吐息が耳や首筋を撫でていく。唇が滑って、ぺろっと舐められて思わず変な声が出た。

 「ひぃっ…っ!」
 「ひいってなに」

 またクスクスと笑われて耳たぶを甘噛みされる。歯が立ってないから痛くはないけど、千秋先生がなんだかいじめっ子のように見えてきた。

 「も、もう!」
 「さっき“噛む”って言った」
 「い、言ったけど…」
 「果穂はさっき俺の唇食べたでしょ」
 「た…っ!」

 顔を覗き込まれてまたキスがくるとキュッと目をつぶった。すると控えめな笑い声と共に鼻を噛まれた。

 「ふぁな!」
 「かわいい鼻」
 「…っ!」
 「次はどこにしようか」

 千秋先生がとても楽しそう。

 「わ、わたしもする」
 「どうぞ」

 どこでもいいよ、と彼が目を閉じる。
 彼のようにうまくできるか分からないけど「いいって言ってくれてるなら」とスッと通った鼻筋に唇を押し付けた。

 さすがに噛む勇気はなくてゆっくりと唇を離す。彼の口元が嬉しそうに微笑んで、次に眉間、瞼、唇にキスをした。

 かわいい…!

 キスひとつで嬉しそうにする千秋先生が可愛い。可愛くて何度も唇にキスをする。上唇を喰んでみたり、下唇を舐めたり。

 「果穂」

 千秋先生がぺろっと舌を出した。

 「キスして」

 舌にキスってどうするの。
 どうしよう、と戸惑っていると千秋先生が教えてくれる。

 「舌出してごらん」

 さっき千秋先生がぺろっとしていたようにおずおずと舌を差し出した。日常生活で舌は隠れているもの。敢えて出すことはなかなかないのでちょっとだけ恥ずかしい。
 
 「…っ」

 わたしの様子を窺いながら千秋先生の顔が傾いた。差し出した舌に優しく触れる熱。滴る唾液を舐め取られて思わず舌を引っ込める。恥ずかしい。恥ずかしいけど気持ちいい。

 「ぁむ…っ、」

 もっと、ともう一度舌を差し出した。千秋先生の唇に咥えられる。咥内絡み合う舌がお互いを離そうとしない。

 「果穂」

 羽織っていたカーディガンが脱がされる。パジャマの上から背中や腰を撫でる手つきがいやらしいくて興奮する。

 「んぅっ、あ、」

 手が上半身だけじゃなくて下半身まで伸びていく。剥き出しの脚を撫でられて腰を捩った。

 「あ、」

 パジャマのズボンを引っ張られて「いい?」と訊ねてくる瞳に小さく頷いた。「ばんざいして」と言われるままにばんざいをする。上を脱がされてあっという間に下も脱がされる。静かにベッドに押し倒されて見上げればギラついた瞳に見下ろされてコクリと息を呑んだ。

  た、食べられちゃうかも…

 オスを醸し出すオーラに下腹部がキュンキュンする。いつもと違う瞳、顔つき。それなのにどうにでもして欲しいとか思ってしまう。千秋先生になら、めちゃくちゃにされてもいいなんて。自分にこんなドエムの心があるなんて知らなかった。
 
  「……ネモフィラみたい」

 千秋先生は買ったばかりの下着を優しく撫でながら感嘆の声を漏らした。彼の言う通りネモフィラのような綺麗な青の下着だ。大人っぽいデザインなのにレースがとても繊細で可愛い。上品な女性がつけそうな、彼の隣に似合いそうな上品さがある。もちろんショーツも揃いで買った。
 
 「……ネモフィラの花言葉、知ってる?」
 「…知らない」

 ベッドのヘッドライトの灯りはほんのりとしたオレンジ色。彼の表情が影になり、陰影のせいかさらに艶っぽく見える。その顔を見上げながら首を小さく横に振ればシーツの擦れる音が静かな寝室に響いた。

 彼が私を覗き込む。キシリとベッドが軋んで頭が沈んだ。

 「“可憐”だよ」
 「…かれん」
 「果穂にピッタリの花」
 
 千秋先生の目にはあんな風に私が映ってるの…?

 ドキドキと胸の高鳴りが止まない。
 トロトロとした瞳が甘えるように名を呼んだ。

 「果穂」

 宝物を愛でるような声色に目頭が熱くなった。ただ呼ばれただけなのに心が震える。彼の気持ちがこれ以上ないぐらい伝わってきて胸が苦しかった。

 「勇気をだしてくれてありがとう」

 溢れてきた涙が目尻から溢れる。耳を濡らしたそれを彼の指が壊れものに触れるように拭ってくれた。

 「果穂は俺を喜ばせる天才だ」

 次から次へと溢れる涙のせいで千秋先生の表情がぼやけてしまう。それでも彼が愛おしそうに私を見つめてくれている様子がありありとわかった。

 煩わしそうにTシャツを脱ぎ捨てた彼に壊れ物を抱くように優しく抱きしめられた。知らなかった彼の体温に包まれて息を殺す。肌が密着して彼の鼓動と私の鼓動が混ざり合いその音が溶けあった。

 「おかげで俺はすごく幸せ」
 「……っ、私こそ、」
 「きっと俺には負けるよ」

 トクトクと混ざり合った心音が肌を伝う。まつ毛の先が震えて視線が少し下を向いた。わずかに開いた唇が様子を伺いながら私の唇に重なる。目を閉じて受け入れる。離れていく唇を見つめていると角度を変えてもう一度触れ合った。

 
 
 


 

 

 

 
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