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出稼ぎします

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  「試験は合格だった。きみならどこの部署でもやっていけるだろう。一応希望を聞いておこうか。どういう場所で働きたい?もし条件があるならそれも聞くよ」



 ルーウェン様に連れられて入った部屋で簡単な試験を受けた。

 いつでも面接に来た人がすぐに受けられるようにしているらしい。



 試験の内容は簡単な足し算から二桁かける三桁の掛け算・割り算。

 あとは国の歴史や貴族の派閥や各国の情勢についてだった。

 毎日新聞を読んでいればわかる内容ばかりだったのでそれほど難しくなかったように思う。



 「住み込みで、三食食事付きなら、なんでもします!」

 「ふははは。面白いね、きみは」



 すごく真面目に伝えたのに、大笑いされてしまった。

 思わず俯くとルーウェン様がニヤリと笑う。



 「たとえば、陛下のお近くで働きたいとかないのかい?」

 「め、めめめめ滅相もございません!!」

 「ちなみにマリウスとは?」

 「できれば離して欲しいです」

 

 正直に告げれば、ルーウェン様が笑う。



 「あいわかった。最短で明日からお願いしたいが」

 「はい、喜んで!」

 「住み込みが可能かは確認しないといけない。もし難しければ、我が屋敷に来ればいい」

 「そ、そんなこと…!」

 「マリウスの妹なら構わない。母がいるから侍女として奉公していることにすれば世間体も気にしなくて済むだろう」

 「な、何から何まで…ありがとうございます」

 「いや、こちらも助かるのだ。期待している」

 「よろしくお願いします!」



 この後兄に盛大に怒られることになるがなんとか無事仕事が見つかってホッとした。

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