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6章 秘事
藍色
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「十時に駅に迎えに行くから」
そう告げて別れたのが十一時間前。
居酒屋のラストオーダーまで時間は十分にあったけれど、今日のこともあるから早めに店を出た。
触れた時に見せる縋るような瞳がなんとも言えない。恥ずかしげに伏せられる目を無理矢理こちらに向けたい衝動に駆られる。
触れなば落ちん、不安定にも見える儚さは存在全てが毒だ。
身を焼く欲望を何食わぬ顔を取り繕うことで何とか押さえ込んで、開放した。
駅のロータリーで待つ。十時まであと十分というところで、こちらに歩いてくる姿が見えた。
常とは違うラフな服装だ。
白いハイネックのニットにグレーベースのダッフルコート。スキニータイプのカジュアルジーンズにダークブラウンのショートブーツ。職場では常にカッターシャツにジャケットというオフィスルックだったからか、普段は見られない姿に年甲斐もなく緊張した。
「ごめんなさい、待ちました?」
車に乗りこむなり、申し訳なさそうに言われて苦笑する。
「まだ十分前だよ。大丈夫。」
そう言うと安心したように笑う。
休日ということも影響しているのか、いつもよりもリラックスした様子に安心した。
荷物を後部座席に置いて、準備が整うと車を発進させる。
「佐良さんも私服なんですね。」
「だって俺だけスーツなんておかしくない?」
「それはそうなんですけど。なんか慣れなくて。」
出張だと嘘をついて家を出たあと、自分の車に乗り込みマンションの駐車場を出た。うちは互いに車を所有していて、それぞれの鍵を共有することもない。だから、車を使用しても嘘がバレる心配はない。
待ち合わせの駅に着くとすぐにトイレへ行って服を着替えた。
カッターシャツにグリーンのニット、ベージュのチェスターコートと極めてシンプルな服装だ。もともと服に拘りがない所為で、お洒落な服装というものもよく分からないから私服はどれも似通っている。
家をこの格好で出るわけにはいかないから、駅で着替えるしかなかった。
「ところで何処へ行くんですか?」
車は高速に入る。
不思議そうに尋ねられるが内緒だと笑うと、釣られてくすくすと笑った。
「水族館…。」
「そう。嫌だった?」
「そんなことないです。実は、初めてで…大人になってからは。」
館内は薄暗く、いくつも並ぶ水槽には優雅に色とりどりの魚が泳ぐ。その姿は美しく、平日であるにも関わらず、館内は多くの人で賑わっていた。
「佐良さんは良く来るんですか?」
「んー、まあ、どこか行こうとなると候補には入るかな。だって可愛いし。」
「もしかして、可愛いもの好きなんですか?」
「そうだね。」
「なんか変な感じ。」
楽しげに笑う姿に思わず目を細める。こんなにも素直に笑う子だったのか、という驚きと、それを独占する心地よさで満たされて行く感覚。こんな姿が見られるなら色々な場所へ連れて行きたい。そう思う。
「あ、カクレクマノミじゃないですか?あの魚!」
まるで子供のようにはしゃいだ姿に苦笑する。
普段、色々なものを押し殺したような姿を見ているからギャップというやつだろうか。
水槽を見つめる横顔はあんなにも美しくて洗練されているのに不思議だ。
「佐良さん、あれ何ですかね?にょきにょきしてる…。」
「ん?ああ、あれはチンアナゴだよ。」
「なんかキョロキョロして可愛いですね!」
「見てみようか。」
「はい!」
(こっちの方が可愛いけどね)
水族館を出た後、軽食をとって向かったのは都内の遊園地だった。
この遊園地は観覧車が有名で、カップルも多く来場している。
遊園地なんてベタすぎただろうかと思ったが、やはり嬉しそうに微笑んでくれたので安心した。
歳が一回り以上離れているから、こういう感覚はズレているかもしれないと多少不安があった。けれどそれは杞憂だったようだ。
「あ、お化け屋敷…。」
「入ってみる?」
「うん…。」
中はお化け屋敷らしく薄暗い。
このお化け屋敷は時期によって内容が変わるようで、今は妻子ある男に、魔界の女が恋をするという話を軸にアトラクションが展開されているようだった。
内容については何とも複雑な感覚を抱かざるを得ない。
ちら、と表情を伺うと困ったように微笑んでいたからおそらく同じことを感じているのだろう。
それでも、途中途中にあるトラップや脅かし要素を楽しみつつ先へ進んだ。
薄明かりの中で、そっと指先が触れる。不意に鳴った効果音に驚いてそのまま腕を掴まれたことに笑うと、謝りつつも拗ねたように顔を赤くした。
お化け屋敷を出た後、ジェットコースターに乗ったり、謎解きに挑戦したりとアトラクションを満喫した。
普段の様子が嘘のようにはしゃぐ姿が愛らしくて、もともと若く見られる容姿というのも相まってか、まるで子供を連れて歩くような感覚に陥る。
ひとしきりアトラクションを楽しむと、空は茜に染まっていた。
「じゃあ次は観覧車。」
「これって有名なヤツですよね。」
「うん。高いの大丈夫?」
「大丈夫です。」
暦上は春を迎えたとはいえ、日が落ちかければ気温はグッと下がる。
寒さからか、ほんのりと鼻を赤くした姿がより幼く見えた。
アルファベットの“O”を模した観覧車は、円の中心部にあるはずの骨組みを取り去った斬新なデザインであることから、人気のアトラクションだ。それにも関わらず、少し並んだ程度で乗ることが出来たのは幸運だった。
ゴンドラがゆっくりと地上を離れて行く。
ゴンドラ内には何故かカラオケが設置されていて、なんだか笑ってしまった。
向かい合って座ると、嬉しいような恥ずかしいような気持ちになる。
この歳になって、こんな感覚になるとは思っても見なかった。
「佐良さん、今日はありがとうございます。」
終始楽しげな表情を見せて、幼さすら感じていたが、夕陽を受けたその表情は途端に艶を帯びる。
「うん。でもまだ初日だよ。」
「…なんか、夢みたいで怖いくらいです。」
「俺もだよ。」
徐々に高度を増すゴンドラから街は、藍色から茜へのグラデーションに彩られて幻想的だった。
しばらく無言で景色を見つめる。
そんな姿を盗み見ていた。
金色の光が薄い色の髪を照らす。白い肌は雪のように白く、景色に溶け込んでおり、額縁から覗けば美麗な絵画となるだろう。
美しい人、そんな言葉がよく似合う。
「一つ、お願いがあるんだけど。」
「お願い…ですか?」
不思議そうにこちらを見る。
ゴンドラはあと少しで天辺へ辿り着きそうだった。
「うん。天辺になったら、キスしてくれない?」
「なに…、言ってるんですか…!」
途端に顔を赤くした姿に笑いつつ、俺は続けた。
「ん~?やっぱり、観覧車といえばこれじゃない?それにさ、そっちからしたことないし。」
いつもこちらが誘い、こちらが触れてはじまる。
この子の性格からして、積極的になれというのは難しいだろうが、それでもそう言う姿が見てみたい。それに“観覧車でキス”なんてベタすぎて、今時高校生でも平気出来るだろう。
だから、ちょっとした揶揄いも含めて言ってみる。とはいえ、嫌がることを強制したいわけじゃないから、本当に嫌なら別にいいのだけど。
困惑した表情で少し視線を逸らすのは、恥ずかしかったり、迷っていたりする時のこの子の癖だ。仕事ではめったに見せないが、“こういう関係”になって、この子の感情に係る内容の場合、表情は目まぐるしく変わることを知った。
本人は気づいていないのかもしれないが、その助けを求めるような、何かを耐えるような瞳が相手を煽るのだ。
(問題は無自覚ってことだよな…)
そんな表情を楽しみつつ、意地悪く回答を待っているとようやく口を開いた。
「…、…た…。」
俯きながら、ぎゅっと手を握り込む。
蚊が鳴くような微かな声。
「ん?よく聞こえないよ。ほら、もうすぐ天辺だよ?」
本当に聞き取れなくて、また揶揄うように言うと殆ど涙目でこちらに視線を合わせる。
「も、わかり…ました」
今度は聞き取れる声量でそう言うと、不意に腕を引かれて体が前に傾く。
心なしか、ゴンドラが揺れた気がした。
「目、瞑ってください…」
真正面に泣きそうな瞳。
俺は言われた通り、静かに目を閉じる。
瞬間、柔らかい感触が唇に触れた。
ふに、と触れると熱を残してさっと離れる。
まるで小学生みたいなキス。
そっと目を開く。
「おしまい?」
「だって…ここ、ゴンドラ…、」
俺の腕を掴む手が震えていた。
こちらを伺うように、あるいは許しを乞うように見つめる瞳。
それが何だか可愛くて負けてしまった。
「あ、天辺。」
ぐい、と掴まれた腕を利用して今度はこちらが引き寄せる。そして空いた手で頬に触れて口付けた。
深くはないけれど、赤い唇をはむように包むとピクリと震える。
軽いリップ音を立てて離れると、真っ赤な顔で俯いた。
別にそれ以上のことをしているのに、なんてセクハラじみた事を考える。
ゴンドラは頂上を通過して下降し始めた。
「誰かに、見られたら…どうするんですか…、」
「誰も見てないよ。それにほら。」
下のゴンドラを見るよう促す。
中にはカップルが乗っており、先ほどとは比にならないくらい深いキスの真っ最中だった。
(まあ、流石にあれはないけど)
「積極的だよな~、あの彼女。」
「あ、れ…、ヤバくないですか…?」
「うん、まあ、あれはやばい。」
ゴンドラから見える空は次第に藍色を増していく。
下のゴンドラのカップルが盛り上がりすぎていて、それに引いてしまったからか、そういう空気が消えてしまった。
「色んな人がいますね。」
なんて苦笑した顔は、それでも可愛かったけど。
そう告げて別れたのが十一時間前。
居酒屋のラストオーダーまで時間は十分にあったけれど、今日のこともあるから早めに店を出た。
触れた時に見せる縋るような瞳がなんとも言えない。恥ずかしげに伏せられる目を無理矢理こちらに向けたい衝動に駆られる。
触れなば落ちん、不安定にも見える儚さは存在全てが毒だ。
身を焼く欲望を何食わぬ顔を取り繕うことで何とか押さえ込んで、開放した。
駅のロータリーで待つ。十時まであと十分というところで、こちらに歩いてくる姿が見えた。
常とは違うラフな服装だ。
白いハイネックのニットにグレーベースのダッフルコート。スキニータイプのカジュアルジーンズにダークブラウンのショートブーツ。職場では常にカッターシャツにジャケットというオフィスルックだったからか、普段は見られない姿に年甲斐もなく緊張した。
「ごめんなさい、待ちました?」
車に乗りこむなり、申し訳なさそうに言われて苦笑する。
「まだ十分前だよ。大丈夫。」
そう言うと安心したように笑う。
休日ということも影響しているのか、いつもよりもリラックスした様子に安心した。
荷物を後部座席に置いて、準備が整うと車を発進させる。
「佐良さんも私服なんですね。」
「だって俺だけスーツなんておかしくない?」
「それはそうなんですけど。なんか慣れなくて。」
出張だと嘘をついて家を出たあと、自分の車に乗り込みマンションの駐車場を出た。うちは互いに車を所有していて、それぞれの鍵を共有することもない。だから、車を使用しても嘘がバレる心配はない。
待ち合わせの駅に着くとすぐにトイレへ行って服を着替えた。
カッターシャツにグリーンのニット、ベージュのチェスターコートと極めてシンプルな服装だ。もともと服に拘りがない所為で、お洒落な服装というものもよく分からないから私服はどれも似通っている。
家をこの格好で出るわけにはいかないから、駅で着替えるしかなかった。
「ところで何処へ行くんですか?」
車は高速に入る。
不思議そうに尋ねられるが内緒だと笑うと、釣られてくすくすと笑った。
「水族館…。」
「そう。嫌だった?」
「そんなことないです。実は、初めてで…大人になってからは。」
館内は薄暗く、いくつも並ぶ水槽には優雅に色とりどりの魚が泳ぐ。その姿は美しく、平日であるにも関わらず、館内は多くの人で賑わっていた。
「佐良さんは良く来るんですか?」
「んー、まあ、どこか行こうとなると候補には入るかな。だって可愛いし。」
「もしかして、可愛いもの好きなんですか?」
「そうだね。」
「なんか変な感じ。」
楽しげに笑う姿に思わず目を細める。こんなにも素直に笑う子だったのか、という驚きと、それを独占する心地よさで満たされて行く感覚。こんな姿が見られるなら色々な場所へ連れて行きたい。そう思う。
「あ、カクレクマノミじゃないですか?あの魚!」
まるで子供のようにはしゃいだ姿に苦笑する。
普段、色々なものを押し殺したような姿を見ているからギャップというやつだろうか。
水槽を見つめる横顔はあんなにも美しくて洗練されているのに不思議だ。
「佐良さん、あれ何ですかね?にょきにょきしてる…。」
「ん?ああ、あれはチンアナゴだよ。」
「なんかキョロキョロして可愛いですね!」
「見てみようか。」
「はい!」
(こっちの方が可愛いけどね)
水族館を出た後、軽食をとって向かったのは都内の遊園地だった。
この遊園地は観覧車が有名で、カップルも多く来場している。
遊園地なんてベタすぎただろうかと思ったが、やはり嬉しそうに微笑んでくれたので安心した。
歳が一回り以上離れているから、こういう感覚はズレているかもしれないと多少不安があった。けれどそれは杞憂だったようだ。
「あ、お化け屋敷…。」
「入ってみる?」
「うん…。」
中はお化け屋敷らしく薄暗い。
このお化け屋敷は時期によって内容が変わるようで、今は妻子ある男に、魔界の女が恋をするという話を軸にアトラクションが展開されているようだった。
内容については何とも複雑な感覚を抱かざるを得ない。
ちら、と表情を伺うと困ったように微笑んでいたからおそらく同じことを感じているのだろう。
それでも、途中途中にあるトラップや脅かし要素を楽しみつつ先へ進んだ。
薄明かりの中で、そっと指先が触れる。不意に鳴った効果音に驚いてそのまま腕を掴まれたことに笑うと、謝りつつも拗ねたように顔を赤くした。
お化け屋敷を出た後、ジェットコースターに乗ったり、謎解きに挑戦したりとアトラクションを満喫した。
普段の様子が嘘のようにはしゃぐ姿が愛らしくて、もともと若く見られる容姿というのも相まってか、まるで子供を連れて歩くような感覚に陥る。
ひとしきりアトラクションを楽しむと、空は茜に染まっていた。
「じゃあ次は観覧車。」
「これって有名なヤツですよね。」
「うん。高いの大丈夫?」
「大丈夫です。」
暦上は春を迎えたとはいえ、日が落ちかければ気温はグッと下がる。
寒さからか、ほんのりと鼻を赤くした姿がより幼く見えた。
アルファベットの“O”を模した観覧車は、円の中心部にあるはずの骨組みを取り去った斬新なデザインであることから、人気のアトラクションだ。それにも関わらず、少し並んだ程度で乗ることが出来たのは幸運だった。
ゴンドラがゆっくりと地上を離れて行く。
ゴンドラ内には何故かカラオケが設置されていて、なんだか笑ってしまった。
向かい合って座ると、嬉しいような恥ずかしいような気持ちになる。
この歳になって、こんな感覚になるとは思っても見なかった。
「佐良さん、今日はありがとうございます。」
終始楽しげな表情を見せて、幼さすら感じていたが、夕陽を受けたその表情は途端に艶を帯びる。
「うん。でもまだ初日だよ。」
「…なんか、夢みたいで怖いくらいです。」
「俺もだよ。」
徐々に高度を増すゴンドラから街は、藍色から茜へのグラデーションに彩られて幻想的だった。
しばらく無言で景色を見つめる。
そんな姿を盗み見ていた。
金色の光が薄い色の髪を照らす。白い肌は雪のように白く、景色に溶け込んでおり、額縁から覗けば美麗な絵画となるだろう。
美しい人、そんな言葉がよく似合う。
「一つ、お願いがあるんだけど。」
「お願い…ですか?」
不思議そうにこちらを見る。
ゴンドラはあと少しで天辺へ辿り着きそうだった。
「うん。天辺になったら、キスしてくれない?」
「なに…、言ってるんですか…!」
途端に顔を赤くした姿に笑いつつ、俺は続けた。
「ん~?やっぱり、観覧車といえばこれじゃない?それにさ、そっちからしたことないし。」
いつもこちらが誘い、こちらが触れてはじまる。
この子の性格からして、積極的になれというのは難しいだろうが、それでもそう言う姿が見てみたい。それに“観覧車でキス”なんてベタすぎて、今時高校生でも平気出来るだろう。
だから、ちょっとした揶揄いも含めて言ってみる。とはいえ、嫌がることを強制したいわけじゃないから、本当に嫌なら別にいいのだけど。
困惑した表情で少し視線を逸らすのは、恥ずかしかったり、迷っていたりする時のこの子の癖だ。仕事ではめったに見せないが、“こういう関係”になって、この子の感情に係る内容の場合、表情は目まぐるしく変わることを知った。
本人は気づいていないのかもしれないが、その助けを求めるような、何かを耐えるような瞳が相手を煽るのだ。
(問題は無自覚ってことだよな…)
そんな表情を楽しみつつ、意地悪く回答を待っているとようやく口を開いた。
「…、…た…。」
俯きながら、ぎゅっと手を握り込む。
蚊が鳴くような微かな声。
「ん?よく聞こえないよ。ほら、もうすぐ天辺だよ?」
本当に聞き取れなくて、また揶揄うように言うと殆ど涙目でこちらに視線を合わせる。
「も、わかり…ました」
今度は聞き取れる声量でそう言うと、不意に腕を引かれて体が前に傾く。
心なしか、ゴンドラが揺れた気がした。
「目、瞑ってください…」
真正面に泣きそうな瞳。
俺は言われた通り、静かに目を閉じる。
瞬間、柔らかい感触が唇に触れた。
ふに、と触れると熱を残してさっと離れる。
まるで小学生みたいなキス。
そっと目を開く。
「おしまい?」
「だって…ここ、ゴンドラ…、」
俺の腕を掴む手が震えていた。
こちらを伺うように、あるいは許しを乞うように見つめる瞳。
それが何だか可愛くて負けてしまった。
「あ、天辺。」
ぐい、と掴まれた腕を利用して今度はこちらが引き寄せる。そして空いた手で頬に触れて口付けた。
深くはないけれど、赤い唇をはむように包むとピクリと震える。
軽いリップ音を立てて離れると、真っ赤な顔で俯いた。
別にそれ以上のことをしているのに、なんてセクハラじみた事を考える。
ゴンドラは頂上を通過して下降し始めた。
「誰かに、見られたら…どうするんですか…、」
「誰も見てないよ。それにほら。」
下のゴンドラを見るよう促す。
中にはカップルが乗っており、先ほどとは比にならないくらい深いキスの真っ最中だった。
(まあ、流石にあれはないけど)
「積極的だよな~、あの彼女。」
「あ、れ…、ヤバくないですか…?」
「うん、まあ、あれはやばい。」
ゴンドラから見える空は次第に藍色を増していく。
下のゴンドラのカップルが盛り上がりすぎていて、それに引いてしまったからか、そういう空気が消えてしまった。
「色んな人がいますね。」
なんて苦笑した顔は、それでも可愛かったけど。
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