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第三章新たなデッキと決意
しおりを挟む晴馬の家に移り住んで数週間が経った。最初は見慣れない環境に戸惑ったけれど、晴馬の家族は温かく迎えてくれた。特に彼の姉であり、全国大会の上位プレイヤーとして知られる晴香さんが、私の目標に大きな影響を与えていた。
「彩音ちゃん、今日は新しいデッキ構築の考え方を教えてあげるわね。エレメンタル・デュエルで勝つためには戦略だけじゃなく、心の強さも必要よ」と晴香さんが微笑む。
「心の強さ…ですか?」私はその言葉に少し疑問を感じたが、すぐに理解した。エレメンタル・デュエルはただカードを出すだけのゲームではない。心理戦も含めての駆け引きが重要だった。
新しいデッキを作り始める私。テーマは「フェニックス」。逆境から蘇る力を持つカードで構成されており、私自身の状況と重なっていた。晴香さんにアドバイスをもらいながら、デッキを完成させるときには心に熱いものが湧き上がってきた。
「このデッキで、私は絶対に勝ってみせる。過去の私を乗り越えて、父に自分の価値を証明するんだ」と決意を新たにする。
次の日、晴馬と一緒に地元の大会に出場することになった。会場に着くと、緊張で心臓が高鳴ったが、晴馬が「大丈夫、俺もいるから」と優しく肩を叩いてくれた。
試合は熱戦の連続だった。相手は熟練のプレイヤーばかりで、途中何度も心が折れそうになったけれど、フェニックスのカードを引くたびに気持ちが奮い立った。
そして、ついに決勝戦。相手は全国ランクにも名を連ねる強豪、瑞希だった。彼の鋭い目つきに圧倒されつつも、「私は諦めない」と自分を鼓舞し、試合に挑んだ。
試合は白熱し、観客の歓声が高まる中、私は最後の一手に全てを賭けた。「フェニックス・リバース!」。逆境を跳ね返すそのカードが場に出た瞬間、勝敗は決した。
会場中が静まり返り、その後、拍手が鳴り響いた。涙が止まらなかった。これはただの勝利ではなく、私にとっての再生の始まりだった。
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