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彼との出会い、痴女への一歩

はいっアウトーーーーー!

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  (あ、この展開知ってる)


 わたしが気がついたとき、今、は緑生い茂る森の中にいた。



 木々が太陽の光を浴びて、光り輝く木漏れ日を地面へと降り注いでいる。暖かな風は、春の装いを惜しげもなく地上で踊らせていた。

 風に乗って、ふんわりベリー系のいい匂いが鼻をくすぐる。はて、今の草木の位置にはベリー系の果物は育っていなかったはずだ。だとしたらこのいい匂いはどこから来るのか。ふと、思考を止め一度自分の体の箇所に当たるモノを思い出してみる。
 わたしの両腕は誰かを抱きしめ、わたしの唇はの首筋に埋められている。


ーーうん。まず、これは置いておくとして、と。



(まさしくコレは、転生というやつですね!)



 到底今のわたしでは、よくわからないこの現状の状態など放置した思考は、今までの人生を遡り始め、年端もいかない少女わたしの生い立、そしてわたしという人生を追い始めてみた。



(わたしは、ラティファナ・クライエル…そして5歳。そしてそして、前の名前が倉木…日本で普通にOLで…)



 思い出してしまった。
 コレが世に言う、転生というやつなのですね。これが!これが!

 あの寝る間を惜しんで読み漁った転生者モノのライトノベル。時に笑い涙し、ザマァ!とボッチで高笑いをして過ごした。あの!まさか本当に、本当に我が身に起ころうとは!神様感謝します!


 そんな、時間軸としては数秒の思考も、また風に乗って鼻腔に入ってきた、甘くて素敵な匂い。それの漂う元の白くてしっとりしていそうなに、なぜか躊躇ためらうことなく唇を這わせ、口を開き優しく食らいついた。


ーーハムハム、ハムハムハムハちゅぅ


「ーーっん」


 なんだか妙に耳に残る音が聞こえたぞ。いや、ちがう。これは声だ。
 と、ようやく自分の今の状態をわたしの頭が思い出してくれた。



(わたし誰かを居るんだった!)



 そっと、口当たりの良かった誰かの首筋から唇を離し、ゆっくりと頭をあげて、目線を右斜め下へ少し下げ、その姿を覗き込んだ。
 わたしの身長よりも15センチは低かろうその子は、藍色のふわふわとした髪の毛に、蜂蜜を溶かしたような色の瞳をして、頬を染めて俯き、唇を少し震わせつぐんでいた。
 
 なんとまぁ、わたしは大自然のど真ん中で。愛を叫ぶどころではなく、幼児にセクハラをしていたのではないか。



(はい、今ならお巡りさん、現行犯で逮捕できますよー)



 そう呑気に現実逃避をしながら(やっぱり捕まりたくはないので)小さく揺れる幼児の肩に手を添えて、そっとわたしとの距離を取らせた。

 一応淑女教育されてきたラティファナとしてのわたしは、所作一つでも優雅に見せるように動いてみる。声をかけるにしてもゆっくりと、落ち着いて、お淑やかに、そして丁寧に、と。



「突然申し訳ございません、驚かせてしまいましたわね」

「大丈夫です、お願いしたのは僕ですから」


 ーーおぉっと、マジか!幼児ーーもとい、この男の子はご自分からこんな羞恥まみれる行いをご所望だったとは!30歳わたしびっくり!はい、びっくりです!



(あ、今は5歳でした。といことはこれは幼女が幼児に向けて行ったとされ、遊びの一環としてーー過剰ではあるけどもーーただの遊びの接触と言うことになるのだろうか!?)



 確か前世では31歳の誕生日を迎えた記憶はないから、多分その歳だなーーと自分の死んでしまった前回の人生を振り返りなが思って居るけれど、今は5歳で、三十路という言葉は到底無縁のぴちぴちの幼女な訳でして。



(ノーカウントってことでいいのかしら!)



「でも、落ち込んだ時の"元気をくれるおまじない"というのは、くすぐったいモノなのですね」



(はいっアウトーーーーー!!)



 頭の中では某有名な審判が卍のポーズをとっている。

 目の前では、木漏れ日の光を吸収して淡く輝く彼の髪の毛が風に揺られている。頬より少しだけ長いサイドの髪の毛を耳にかけながら、男の子は少しハニカミ頬を染め、そうわたしに微笑んでいた。


ーーお巡りさーん。やっぱりわたしが犯人です!こんなわたしよりも小さな男の子に「おまじないをしてあげるから体を出しな(ハァハァ)」的発言をしたのはわたしでしたーーー!
 どうしよう、新たな人生を歩めてるとわかった瞬間に、こん人生も幕を閉じたいと願わずにはいられなくなってしまた。




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