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115 F
ニコル:うわぁ!

ガウディオ:なんだ、こ、これ……

イザーク:っ!この蔦……罠魔法か……いつの間に、こんな……

聖女:私ですよ。三隊長様方。
どうですか?『卑しい粉曳家の娘』に捕らえられた気分は。

F:アンタたち!ミカにしたこと、全部聞いたわ!役人にも黙らせていたってね!私の妹を攫ってこんなとこに押し込めて憂さ晴らしなんて……この恥知らず!アンタらなんて、魔獣より浅ましいケダモノよ!

新米騎士:隊長……どうして、どうして、ですか……こんな……じ、自分は、あなた達を、信じていたのに……

116 F
ガウディオ:ああああああ!!うるせえなあ!!どいつもこいつも!!お前らは何も知らないから、綺麗だからいいよなァ!!俺らの尊厳を踏みにじる事しかできないクズ共が!!

ニコル:僕らが受けた仕打ちよりよっぽどマシだよ、この聖女様の生活は!僕らはただあんな風にならないよう”教育”しただけさ!

イザーク:あの女の相手だけでなく、悍ましい交わりを強要され、身も心も汚されたのだ。我々は、他の騎士たちにあの女の魔の手がのびぬよう守ってきた。
我々が受けた、あの地獄のような仕打ちが『義務』であるならば、ミカ・モリナーロのここ数か月のことも『義務』だろうが!

F:自分が不幸な目に合ったから関係のないミカを虐げても当たり前だって!?ふざけないでよ!!

新米騎士:……己の傷をひけらかした時、それは武器となる。不幸はひけらかすと無様を晒すだけだ。そう、言ってくれたじゃないですか?あの言葉は、なんだったんですか、イザーク隊長……

イザーク:アメジオ……

117 F
新米騎士:本当はこんなこと言いたくなかったけど、みんな、言ってました。
前の、聖女の時代を知っている先輩たちです。
『あの人たちは、前の聖女様と前隊長が亡くなった日から変わってしまった』って。
『まるで罪を犯したかのように俺たちを避けている』と。

イザーク:黙れ!アメジオ!これは命令だ!

F:何が命令よ!アンタにそんな事を言える資格なんてないわ!

新米騎士:『前の隊長がいれば、こんなことにはならなかった。怯えていらっしゃる新しい聖女様とも、面と向かって話し合ってくれたのに』……って!

ニコル:はあぁ!?なんだよおぉ!なんで、アイツばっかり!

ガウディオ:なんで俺らがそんな風に言われなくちゃいけねえんだ!あの阿婆擦れからお前たちを守っていた俺たちより、アイツに嫌われて一人だけ綺麗なままでいた木偶の坊がいいってか!?ふざけんじゃねえよ!

118 F
聖女:あなたも、同じですか?イザーク隊長。『彼』が、ドミティアナ様を庇った、卑しい存在だと?

イザーク:ああ、ああ!そうだとも!あの夜、私たちの邪魔をしたアイツは……もう我らの尊敬すべき男ではなくなったのだ。なんの術を使ったのか知らないが、ハハっ、殺し損ねたドミティアナを庇ってあの女の部屋の鏡台に封じられるとはな、お似合いの末路ではないか!

新米騎士:え、そ、それって……まさか……

F:聖女を、殺したの?

イザーク:そうとも!!後釜であるその女が見つかったのでな、死後聖女の力が尽きる三か月後にすぐ呼んでくると役人に誓わせ、早々にあの阿婆擦れを始末しようとしたのだ。なのに、お前は邪魔をしたな!私たちがどのような目に合ったのか知りながら、綺麗ごとをつらつらと並べて……!
共にこの鏡に封じられたあの女は死んだか?そうだろうな。あの女が後輩となる聖女に入れ知恵するなど、するはずがないのだから。
そうやってまた、貴様は私達を無視して、悪と見下し、ミカを使って嘲笑っていたのだな!!

『鏡さん』:イザーク、ガウディオ、ニコル。今すぐに自首をしろ。
罪のないものを殺めようとするお前たちの所業は、最早――

イザーク:そういうと思ったぞ!!

F:ひ!なに、あれ?

新米騎士:小型爆薬だ……!そんなことしたら、この部屋全体吹き飛んじまう!

イザーク:構わんさ!またあの屈辱の日々に戻るくらいならばな!ガウディオもニコルも同じ想いだ!お前こそ本望だろう!?愛しの聖女様と共に逝けて!

119 F
『鏡さん』:お前、そこまで――

イザーク:もう何もしゃべるな!全員道連れにしてやる!さらばだ――




聖女:目覚めなさい……ガードルード。

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