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冬
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佐々木くんは起きない。
…ダメだったのか。リョウが必死で作業したこの2ヶ月間も、佐々木くんを目覚めさせるには足りなかったというのか。
ここがBLの世界ならきっとここで佐々木は目を覚まし、めでたくハッピーエンドってなるだろうが、...やっぱりここは物語の世界でもなんでもない。目の前のリョウの泣きそうな顔を見ていられない。
リョウの手が佐々木くんの頬をそっと撫でる。
「まだ寝てたいのか?お前はほんとにねぼすけだな。でももういい加減起きてくれないか。…頼むよ」
リョウは震える手でポケットから何かを取り出す。
「…これ、あそこのお土産コーナーで見つけたんだ。お前に似合うかなって思って。お前ピアス開いてたもんな。」
見るとお土産コーナーによくありそうなピアスだった。透明なガラスの飾りがついている。…プレゼントのセンスは微妙らしい。
佐々木の耳にピアスを押し付ける。長い間何も通していなかっただろうピアスホールは少し抵抗しながらピアスを受けいれた。
俺はチクッした痛みに顔を歪ませる。
痛み?
佐々木くんが感じるはずの痛みを俺が?
「…似合ってるよ、とっても。鏡で見てみろ」
リョウは病室の備品なのか置いてあった小さな鏡を佐々木くんの前に置く。そこに映っていた顔は。
「な、綺麗だろ、--------ナオ」
俺の目の前が暗転した
…ダメだったのか。リョウが必死で作業したこの2ヶ月間も、佐々木くんを目覚めさせるには足りなかったというのか。
ここがBLの世界ならきっとここで佐々木は目を覚まし、めでたくハッピーエンドってなるだろうが、...やっぱりここは物語の世界でもなんでもない。目の前のリョウの泣きそうな顔を見ていられない。
リョウの手が佐々木くんの頬をそっと撫でる。
「まだ寝てたいのか?お前はほんとにねぼすけだな。でももういい加減起きてくれないか。…頼むよ」
リョウは震える手でポケットから何かを取り出す。
「…これ、あそこのお土産コーナーで見つけたんだ。お前に似合うかなって思って。お前ピアス開いてたもんな。」
見るとお土産コーナーによくありそうなピアスだった。透明なガラスの飾りがついている。…プレゼントのセンスは微妙らしい。
佐々木の耳にピアスを押し付ける。長い間何も通していなかっただろうピアスホールは少し抵抗しながらピアスを受けいれた。
俺はチクッした痛みに顔を歪ませる。
痛み?
佐々木くんが感じるはずの痛みを俺が?
「…似合ってるよ、とっても。鏡で見てみろ」
リョウは病室の備品なのか置いてあった小さな鏡を佐々木くんの前に置く。そこに映っていた顔は。
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俺の目の前が暗転した
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