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第十二話 明かされた真実
④十一月の初めに二人は神戸へ海を見に出かけた
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十一月の初めに二人は神戸へ海を見に出かけた。
神戸ポートタワーは和楽器の鼓を長くしたような双局面構造の美しい外観で、港神戸のランドマークとして赤く聳え立っていた。
一階チケット売り場でチケットを買って、二人は地上二階に在る乗り場から展望エレベータに乗った。エレベータが上昇し始めると途中からシースルーになって眼下に景色が広がった。
「わあ~、すてき!」
美沙が思わず感嘆の声を挙げた。
展望二階で降りてベンチに腰掛けると、だんだん小さくなるフロアと窓の角度に双局面構造であるタワーの形状を実感した。
「双局面構造ってよく解らなかったけど、こういう感じだったのね」
二人は又、エレベータに乗って最上階の展望五階へ上がった。
其処から望んだ港と街は六甲山系の山々から海へと広がる大パノラマだった。
「あそこが淡路島で向こうが大阪湾かしら?」
「そうだろうね」
遠く淡路島から大阪湾対岸の山並みまでが見渡せた。移り行く光と陰、海と青空が絶妙に輝く風景だった。演出も絶妙だった。東西南北にパネルと音声による景観ガイド、テーブルにはハートのダウンライトのアクセント、天井には光ファイバーによるロマンチックな季節の星空、何とも言えぬ憎い趣向だった。
「素晴らしい眺めだな」
「綺麗ねえ!他に言い様が無いくらいの絶景だわ。今日はお天気が良くてラッキーだった
わね」
忠彦も美沙も、暫し、時の経つのも忘れて眺望に見惚れた。
昇りエレベータが到着する展望階の入口である展望四階にはお土産ショップとカップルの為の「ラブラブキータワー」が在った。
「ラブラブキータワー」は、来場したカップルがお互いの名前やメッセージを書き入れてガッチリとワイヤーロープに施錠し、永遠の愛を誓うものだった。
お土産ショップには、港や異人館や六甲山など神戸を象徴するモチーフをイメージした商品が並んでいた。忠彦はキーホルダーを買った。
展望三階にはニ十分で三百六十度回転するスカイラウンジが在った。二人は昼食と休憩を兼ねて軽食を食べコーヒーを飲み、そして、神戸の街並みをゆっくりと愉しんだ。穏やかに流れる贅沢な時間だった。
展望一階では地上七五メートルの空中散歩が楽しめた。
人が近付くとセンサーが反応して透明になる強化ガラス製の「スカイウォーク」が二カ所在った。自分の足元、視線の真下に景色が拡がったが、地上七五メートルの高さから見下ろすと人も車もまるでミニチュアのようだった。美紗は建物を見ただけではピンと来なかったが、人影などのサイズ感が判るものが見えると、急に胸がドキドキして来た。
「怖いわぁ、早く降りましょうよ」
そう言って忠彦の袖を引っ張った。
「高所恐怖症なのか?」
「そうじゃないけど、でも、怖いわよ」
下りエレベータが到着する地上三階には展示コーナーがあった。五十年に及ぶ神戸ポートタワーの歴史がパネルに展示されていた。二人は港を見渡す回廊を歩きながら神戸発展の歴史に思いを馳せた。
神戸ポートタワーを出ると其処は魅惑のロマンチック・ベイエリアだった。
神戸海洋博物館やリゾートホテルなど斬新なデザインのシンボリックな建物が目を惹く海辺のスポットを二人は潮風に吹かれながらまったりと歩いた。
「今度来る時にはクルーズ船で海上観光をしたいわね。スイーツやコース料理を味わいながら神戸空港から明石海峡大橋まで遊覧するなんて、とても優雅じゃない?」
神戸ポートタワーは和楽器の鼓を長くしたような双局面構造の美しい外観で、港神戸のランドマークとして赤く聳え立っていた。
一階チケット売り場でチケットを買って、二人は地上二階に在る乗り場から展望エレベータに乗った。エレベータが上昇し始めると途中からシースルーになって眼下に景色が広がった。
「わあ~、すてき!」
美沙が思わず感嘆の声を挙げた。
展望二階で降りてベンチに腰掛けると、だんだん小さくなるフロアと窓の角度に双局面構造であるタワーの形状を実感した。
「双局面構造ってよく解らなかったけど、こういう感じだったのね」
二人は又、エレベータに乗って最上階の展望五階へ上がった。
其処から望んだ港と街は六甲山系の山々から海へと広がる大パノラマだった。
「あそこが淡路島で向こうが大阪湾かしら?」
「そうだろうね」
遠く淡路島から大阪湾対岸の山並みまでが見渡せた。移り行く光と陰、海と青空が絶妙に輝く風景だった。演出も絶妙だった。東西南北にパネルと音声による景観ガイド、テーブルにはハートのダウンライトのアクセント、天井には光ファイバーによるロマンチックな季節の星空、何とも言えぬ憎い趣向だった。
「素晴らしい眺めだな」
「綺麗ねえ!他に言い様が無いくらいの絶景だわ。今日はお天気が良くてラッキーだった
わね」
忠彦も美沙も、暫し、時の経つのも忘れて眺望に見惚れた。
昇りエレベータが到着する展望階の入口である展望四階にはお土産ショップとカップルの為の「ラブラブキータワー」が在った。
「ラブラブキータワー」は、来場したカップルがお互いの名前やメッセージを書き入れてガッチリとワイヤーロープに施錠し、永遠の愛を誓うものだった。
お土産ショップには、港や異人館や六甲山など神戸を象徴するモチーフをイメージした商品が並んでいた。忠彦はキーホルダーを買った。
展望三階にはニ十分で三百六十度回転するスカイラウンジが在った。二人は昼食と休憩を兼ねて軽食を食べコーヒーを飲み、そして、神戸の街並みをゆっくりと愉しんだ。穏やかに流れる贅沢な時間だった。
展望一階では地上七五メートルの空中散歩が楽しめた。
人が近付くとセンサーが反応して透明になる強化ガラス製の「スカイウォーク」が二カ所在った。自分の足元、視線の真下に景色が拡がったが、地上七五メートルの高さから見下ろすと人も車もまるでミニチュアのようだった。美紗は建物を見ただけではピンと来なかったが、人影などのサイズ感が判るものが見えると、急に胸がドキドキして来た。
「怖いわぁ、早く降りましょうよ」
そう言って忠彦の袖を引っ張った。
「高所恐怖症なのか?」
「そうじゃないけど、でも、怖いわよ」
下りエレベータが到着する地上三階には展示コーナーがあった。五十年に及ぶ神戸ポートタワーの歴史がパネルに展示されていた。二人は港を見渡す回廊を歩きながら神戸発展の歴史に思いを馳せた。
神戸ポートタワーを出ると其処は魅惑のロマンチック・ベイエリアだった。
神戸海洋博物館やリゾートホテルなど斬新なデザインのシンボリックな建物が目を惹く海辺のスポットを二人は潮風に吹かれながらまったりと歩いた。
「今度来る時にはクルーズ船で海上観光をしたいわね。スイーツやコース料理を味わいながら神戸空港から明石海峡大橋まで遊覧するなんて、とても優雅じゃない?」
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