詩集「支離滅裂」

相良武有

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第三章 二十二歳の詩集

48 望郷のうた

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 この港へ

 船が着いた時

 僕は

 一人ぽっちの孤独感に

 胸を締め付けられた

 波止場には

 小ぬか雨がしとしと降って

 タラップを一歩一歩下りる

 コートの肩を

 そぼそぼと濡らしていた


 海の向こうの故郷が

 無性に恋しくなった

 少年の頬に

 ふいに

 涙が一滴

 ほろりと零れ落ちた


 今日も

 灰色の波止場には

 鴎がただ一羽

 重たく飛翔している

 この逸れ鳥も

 故郷へ帰れないのだろうか

 遠くで咽ぶ霧笛が

 もしや

 故郷への船路ではないかと

 僕の胸を
 
 切なくも又

 揺すぶって消える
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