詩集「支離滅裂」

相良武有

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第三章 二十二歳の詩集

43 叫び

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 最小限に見ても一世紀このかた

 青年が祖国を救って来た

 祖国を滅ぼしたのは

 手に負えない老人ども!

 彼等は絶えず

 風を撒き散らし

 風を引き起こし

 嵐に巻き込まれて

 付和雷同して来た


 我々青年は

 まず自分を気難しくし

 強情になり

 無になり

 何にも増して

 欲深くならなければならない

 
 我々青年の場合

 寛大な心が

 何かを産み出すのでは決してない

 寛大は浪費に過ぎない

 センチメンタルでしかない

 寛大の創意から生まれる如何なる物も

 生き長らえはしない


 不信

 中傷

 密告

 不感不動の精神

 冷血の悪意

 これらが我々青年に

 隣人をとことん軽蔑させ

 我々青年を

 大きく成長させる


 美徳など全て

 老衰の氷の下に

 火を燻ぶらせて藻掻いている

 老人の所有物

 老年ほど愚劣なものはない

 老年とは

 人間が到達する

 人生の

 最も汚らしい断面


 我々青年は

 内に潜んだ全精力を挙げ

 金のように蓄積された全精液を使って

 人生の真紅の太陽を

 楽しまなければならない

 それこそ

 この地上の一画で

 我々青年が期待し得る

 唯一のもの

 最も重い宝の一つ!

 生命の燃焼の

 永遠の定着!

 
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