詩集「支離滅裂」

第一章 二十歳の詩集

⑱ゼロの世界

　私の精神の真実の国

　間抜けた惨めな絶望感や

　一切の不安が解消され

　私の内部の真実が

　絶対に疑われない世界


　誤審が解明され

　はじめて

　無罪の証拠を得て

　私自身の資格を与えられる

　安らぎの場所


　私の本質と

　私自身とを信じ

　居心地の悪さも無く

　独りぼっちの彷徨も無く

　孤独の恐怖も無い

　私の魂の正規の世界


　他人に裁かれるのが終了し

　他人に搔き立てられる自意識も消えて

　私自身の中に潜り込み

　永眠安住出来る

　私の自由の王国


　私の魂の真実の国