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第二章 長安編
激闘
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朝、樊崇は、馮愔、登尋、耿訢をひきつれて突撃を仕掛けた。
「突進!」
樊参を討ち取って自信を深めている樊崇らの突撃は太く鋭い。なまなかな兵が相手なら簡単になぎ倒されてしまう硬質の分厚さがあり、疲労が抜けていない王匡らの兵では危なかったかもしれない。
だが樊崇にとって意外だったのは、最初に彼らを迎え撃った前衛の兵に、その種の疲労がまったく見られないことだった。
「楊宝か!」
今まさに揉み合っている兵の軍旗に「楊」の字が見えたことで、樊崇は敵将の正体を知った。
直接見えたわけではないがこの数か月、城壁を挟んで対峙し続けた河東太守にして安邑城主の楊宝である。
しかし考えてみれば、敵のこの布陣は充分考えられるものだった。楊宝の兵も籠城戦で疲労していただろうが、まだ限界まで追い詰められたわけではなく、長躯安邑まで駆けつけた王匡らの兵に比べれば余力はあるだろう。
「樊崇! これまでの鬱憤、いまこそ晴らしてくれるぞ!」
楊宝の怒号は安邑兵の感情を余すことなく代弁していた。籠城戦はたとえ食糧が豊富であっても閉塞感はまぬがれない。その不快を強いてきた相手が目の前にいるのだ。解放感と闘志と怒りとが安邑兵の心身を駆り立てていた。
「ほざけ! 汝らをすべて殲滅し、あらためて安邑をもらいうけてやる」
樊崇も闘志をもって怒号すると、自らの兵を楊宝軍へあらためて激突させた。
樊崇と楊宝の激突はほぼ互角だった。とすれば勝敗は他の将の部隊が問題となる。
なにしろ数が違う。数倍の兵と正面から対峙するだけならば、勝ち目などほぼない。
しかし後方から督戦していた鄧禹は戦況に眉を寄せる。
「押されていない…」
事前に罠や策を練っておく余裕がなかっただけに、この戦いは臨機に対応するしか勝算はないと考えていた鄧禹だが、思った以上に自軍が善戦しているのだ。しかし目を細めてさらに観察すると、その理由は自軍ではなく敵にあることが見えてきた。
「動きが鈍い」
鄧禹らが選んだ戦場は、敵軍にとってやや狭い。そのため動きがある程度鈍くなるのは当然なのだが、鄧禹の予想を越えて緩慢なのである。
「そうか…」
ここまで鄧禹が王匡らに主導権を握られていたのは彼らの常識外れの行軍速度が理由だったが、それがここにきて裏目に出ているのだ。
敵兵は疲弊している。もちろん敵の疲労は鄧禹も考慮していたが、想像以上に疲れているらしい。比較して、鄧禹の兵は安邑を囲むことに専念しており、敵兵のような疲労はほとんどなかった。
勝利は、味方の有利、敵の不利を十全に活用してこそ得られるものだ。鄧禹の戦略は決まった。
「驍騎ら全将軍に伝えよ。防御に徹せ。敵は疲労している。その疲労をさらに拡大するのだ」
鄧禹は近くに控えていた伝令に命令を託し、各将のもとへ走らせた。
たとえ数が少なくとも防御を基本戦術にするならやりようはある。それにより長期戦に持ち込んで、もともと疲れている王匡兵の気力と体力をさらに奪ってゆくのだ。そして敵の疲労が限界に達したところで攻勢に転じ、潰滅させる。すべてが思い通りに進むはずもないが、現状ではこれが最良の方針だろう。
鄧禹は走り去る数騎の伝令を見送ると、表情を引き締め、再度前方を注視する。
数倍の敵に押し込まれながら自兵は持ちこたえている。まだ伝令が到着しているはずはないので彼らが鄧禹の望むような守勢を作っているのは、単にそうせざるを得ないからだろう。それは将兵にとって不本意で不満なことだろうが、先に勝利への道筋が見えれば意識も変わるはずだ。
綱渡りのような戦いが始まることを自覚しながら、鄧禹は自らが選んで鍛えた将兵たちを信じた。
激闘は続く。
鄧禹の方針が全軍に生き渡ったこともあり、戦況は意図ある膠着を呈しつつも苛烈さは衰えていなかった。
それは綱渡りの均衡だった。いくら敵が疲労していようとも、少数の鄧禹軍が王匡軍に膠着を強いるには、どうしても兵の稼働時間を長くせざるを得ない。鄧禹も可能な限り兵をこまめに休ませるよう各将に指示を送ってはいるが、戦場が生き物である以上それも容易ではなかった。
「だがよくやってくれています」
軍師として総大将の傍らにいる韓欽も、厳しい表情ながら自軍のここまでの戦いぶりをそう評し、鄧禹も同じ表情でうなずいた。鄧禹の意図を諒解した各将は、兵の回転を速め、休息と補給を能率的におこなうことで自軍の消耗を低減させている。
王匡はその意識が薄く、むしろ短期間で勝負をつけようとしているように見える。自兵の疲労を考えれば、数の多さを活かして一気に勝負をつけようとするのは当然だろうが、鄧禹が早々に守りを固めたため狙い通りにいかないのだ。
そうこうしているうちに、もともと鈍かった王匡兵の動きはさらに鈍くなってきた。
「いけるか…」
まだわからない。だが鄧禹の意図が奏功してきたことは確かである。
あとはどの機で攻勢に転じるか、それまで鄧禹兵の気力と体力が残っているか。それが問題だった。
だがこの日はついにその機が訪れなかった。
王匡らは数を恃んでも敵が崩れないことに攻めあぐね、鄧禹は敵の数の多さに穴を見い出せなかったのだ。
日が落ち、戦闘続行が不可能になると、両軍は暗黙のうちに兵を退いた。
鄧禹軍の被害は、大軍との正面対決だっただけに相応にあった。
だがそれとは別の、予想以上に大きな被害を受けていたことが明らかになった。
「樊将軍が死んだ…!」
その報に鄧禹は愕然となった。この日の戦闘で樊崇が戦死してしまったのだ。
先述したように、樊崇はこの軍の実戦における要として鄧禹が抜擢した将であり、それはここまでの侵攻で実績として将兵の心身に浸透していた。
その樊崇の死は、この遠征を根本から瓦解させかねない非常事態だったのだ。
事実、このとき鄧禹は、韓欽と諸将から一つの進言を受けていた。
「前将軍、兵勢はすでにくだかれ、勝算は乏しくなりました。この上は夜陰に乗じ、兵を退去させ、あらためて軍を進めるのがよろしいかと存じます」
韓欽らの表情は暗い。韓欽は軍師の地位にあるが、基本は文官である。それだけに戦場での情理に精通しているとは言いがたい。また他の将も、無能ではないが、政戦両略をまじえて俯瞰し、思考する能力は乏しかった。
極端なところ、そのあたりの能力を兼備しているのは鄧禹だけなのだ。
とはいえ戦闘が避けられない遠征であり、人材も可能な限りはぶいてきた以上、これは最初から覚悟した事態でもあった。できれば樊崇や韓欽には最後まで生き残ってほしかったが、こうなっては仕方がない。鄧禹も腹を据え直した。
「ならん」
普段は比較的温和な態度で諸将に接していた鄧禹だが、このときは冷たさを感じさせるほどの鋭さで全員を見まわした。多少の演技は混じっていたが、鄧禹もその気になればこの程度の表情はできるのである。
それを知らなかった諸将は、若き総大将の鋭い視線に射られたように、一瞬声を失う。
その隙を突くように鄧禹は続けた。
「この遠征は蕭王殿下の遠謀の一端を担う重要な策戦である。たかが一時の劣勢でこれを放棄するは、殿下の壮大な企図を挫く不忠の行為となる。汝らは不忠無能の臆病者として殿下へ復命するつもりか」
怜悧さを前面に出す今、鄧禹の言には容赦がなかった。諸将は怒りを覚える前に武人としての恥を刺激される。
「現状、我が軍は確かに疲弊し士気も下がっているが、それは敵も同様である。いや、長躯進軍を続け、そのまま戦いに突入したことと今日の戦いぶりを見れば、敵の疲労は我ら以上であり、それは極限に達しているに違いない」
この日の戦いは疲労した敵をさらに疲弊させることを目的としていた。そのため諸将も敵兵の状態を常に確認しながら戦っていただけに、鄧禹の憶測に理を見る。
「それらを考えあわせ、また明日が癸亥ということを思えば、敵はほぼ間違いなく明日戦いを仕掛けてこない。ゆえにこちらも兵を再編する時間が得られたということだ。しかも敵兵の疲労は一日の休養で取り除かれるほど軽くはない。明後日の戦闘は我らにこそ利がある。諸将、そのことを銘記し、兵を憩い、士気を挙げ、蕭王殿下の大望のために尽力せよ!」
癸亥とは十干十二支を組み合わせて計算する日付の最後の日で厄日とされ、それゆえ出兵も不吉と忌まれるのだ。現代人に比べてはるかに信心深い古代人にとって、この根拠は充分に説得力があった。
鄧禹の演説に士気を取り戻した諸将は「応!」と声をそろえると、勢いよく立ち上がり、おのおのの部隊へ走って行った。
「突進!」
樊参を討ち取って自信を深めている樊崇らの突撃は太く鋭い。なまなかな兵が相手なら簡単になぎ倒されてしまう硬質の分厚さがあり、疲労が抜けていない王匡らの兵では危なかったかもしれない。
だが樊崇にとって意外だったのは、最初に彼らを迎え撃った前衛の兵に、その種の疲労がまったく見られないことだった。
「楊宝か!」
今まさに揉み合っている兵の軍旗に「楊」の字が見えたことで、樊崇は敵将の正体を知った。
直接見えたわけではないがこの数か月、城壁を挟んで対峙し続けた河東太守にして安邑城主の楊宝である。
しかし考えてみれば、敵のこの布陣は充分考えられるものだった。楊宝の兵も籠城戦で疲労していただろうが、まだ限界まで追い詰められたわけではなく、長躯安邑まで駆けつけた王匡らの兵に比べれば余力はあるだろう。
「樊崇! これまでの鬱憤、いまこそ晴らしてくれるぞ!」
楊宝の怒号は安邑兵の感情を余すことなく代弁していた。籠城戦はたとえ食糧が豊富であっても閉塞感はまぬがれない。その不快を強いてきた相手が目の前にいるのだ。解放感と闘志と怒りとが安邑兵の心身を駆り立てていた。
「ほざけ! 汝らをすべて殲滅し、あらためて安邑をもらいうけてやる」
樊崇も闘志をもって怒号すると、自らの兵を楊宝軍へあらためて激突させた。
樊崇と楊宝の激突はほぼ互角だった。とすれば勝敗は他の将の部隊が問題となる。
なにしろ数が違う。数倍の兵と正面から対峙するだけならば、勝ち目などほぼない。
しかし後方から督戦していた鄧禹は戦況に眉を寄せる。
「押されていない…」
事前に罠や策を練っておく余裕がなかっただけに、この戦いは臨機に対応するしか勝算はないと考えていた鄧禹だが、思った以上に自軍が善戦しているのだ。しかし目を細めてさらに観察すると、その理由は自軍ではなく敵にあることが見えてきた。
「動きが鈍い」
鄧禹らが選んだ戦場は、敵軍にとってやや狭い。そのため動きがある程度鈍くなるのは当然なのだが、鄧禹の予想を越えて緩慢なのである。
「そうか…」
ここまで鄧禹が王匡らに主導権を握られていたのは彼らの常識外れの行軍速度が理由だったが、それがここにきて裏目に出ているのだ。
敵兵は疲弊している。もちろん敵の疲労は鄧禹も考慮していたが、想像以上に疲れているらしい。比較して、鄧禹の兵は安邑を囲むことに専念しており、敵兵のような疲労はほとんどなかった。
勝利は、味方の有利、敵の不利を十全に活用してこそ得られるものだ。鄧禹の戦略は決まった。
「驍騎ら全将軍に伝えよ。防御に徹せ。敵は疲労している。その疲労をさらに拡大するのだ」
鄧禹は近くに控えていた伝令に命令を託し、各将のもとへ走らせた。
たとえ数が少なくとも防御を基本戦術にするならやりようはある。それにより長期戦に持ち込んで、もともと疲れている王匡兵の気力と体力をさらに奪ってゆくのだ。そして敵の疲労が限界に達したところで攻勢に転じ、潰滅させる。すべてが思い通りに進むはずもないが、現状ではこれが最良の方針だろう。
鄧禹は走り去る数騎の伝令を見送ると、表情を引き締め、再度前方を注視する。
数倍の敵に押し込まれながら自兵は持ちこたえている。まだ伝令が到着しているはずはないので彼らが鄧禹の望むような守勢を作っているのは、単にそうせざるを得ないからだろう。それは将兵にとって不本意で不満なことだろうが、先に勝利への道筋が見えれば意識も変わるはずだ。
綱渡りのような戦いが始まることを自覚しながら、鄧禹は自らが選んで鍛えた将兵たちを信じた。
激闘は続く。
鄧禹の方針が全軍に生き渡ったこともあり、戦況は意図ある膠着を呈しつつも苛烈さは衰えていなかった。
それは綱渡りの均衡だった。いくら敵が疲労していようとも、少数の鄧禹軍が王匡軍に膠着を強いるには、どうしても兵の稼働時間を長くせざるを得ない。鄧禹も可能な限り兵をこまめに休ませるよう各将に指示を送ってはいるが、戦場が生き物である以上それも容易ではなかった。
「だがよくやってくれています」
軍師として総大将の傍らにいる韓欽も、厳しい表情ながら自軍のここまでの戦いぶりをそう評し、鄧禹も同じ表情でうなずいた。鄧禹の意図を諒解した各将は、兵の回転を速め、休息と補給を能率的におこなうことで自軍の消耗を低減させている。
王匡はその意識が薄く、むしろ短期間で勝負をつけようとしているように見える。自兵の疲労を考えれば、数の多さを活かして一気に勝負をつけようとするのは当然だろうが、鄧禹が早々に守りを固めたため狙い通りにいかないのだ。
そうこうしているうちに、もともと鈍かった王匡兵の動きはさらに鈍くなってきた。
「いけるか…」
まだわからない。だが鄧禹の意図が奏功してきたことは確かである。
あとはどの機で攻勢に転じるか、それまで鄧禹兵の気力と体力が残っているか。それが問題だった。
だがこの日はついにその機が訪れなかった。
王匡らは数を恃んでも敵が崩れないことに攻めあぐね、鄧禹は敵の数の多さに穴を見い出せなかったのだ。
日が落ち、戦闘続行が不可能になると、両軍は暗黙のうちに兵を退いた。
鄧禹軍の被害は、大軍との正面対決だっただけに相応にあった。
だがそれとは別の、予想以上に大きな被害を受けていたことが明らかになった。
「樊将軍が死んだ…!」
その報に鄧禹は愕然となった。この日の戦闘で樊崇が戦死してしまったのだ。
先述したように、樊崇はこの軍の実戦における要として鄧禹が抜擢した将であり、それはここまでの侵攻で実績として将兵の心身に浸透していた。
その樊崇の死は、この遠征を根本から瓦解させかねない非常事態だったのだ。
事実、このとき鄧禹は、韓欽と諸将から一つの進言を受けていた。
「前将軍、兵勢はすでにくだかれ、勝算は乏しくなりました。この上は夜陰に乗じ、兵を退去させ、あらためて軍を進めるのがよろしいかと存じます」
韓欽らの表情は暗い。韓欽は軍師の地位にあるが、基本は文官である。それだけに戦場での情理に精通しているとは言いがたい。また他の将も、無能ではないが、政戦両略をまじえて俯瞰し、思考する能力は乏しかった。
極端なところ、そのあたりの能力を兼備しているのは鄧禹だけなのだ。
とはいえ戦闘が避けられない遠征であり、人材も可能な限りはぶいてきた以上、これは最初から覚悟した事態でもあった。できれば樊崇や韓欽には最後まで生き残ってほしかったが、こうなっては仕方がない。鄧禹も腹を据え直した。
「ならん」
普段は比較的温和な態度で諸将に接していた鄧禹だが、このときは冷たさを感じさせるほどの鋭さで全員を見まわした。多少の演技は混じっていたが、鄧禹もその気になればこの程度の表情はできるのである。
それを知らなかった諸将は、若き総大将の鋭い視線に射られたように、一瞬声を失う。
その隙を突くように鄧禹は続けた。
「この遠征は蕭王殿下の遠謀の一端を担う重要な策戦である。たかが一時の劣勢でこれを放棄するは、殿下の壮大な企図を挫く不忠の行為となる。汝らは不忠無能の臆病者として殿下へ復命するつもりか」
怜悧さを前面に出す今、鄧禹の言には容赦がなかった。諸将は怒りを覚える前に武人としての恥を刺激される。
「現状、我が軍は確かに疲弊し士気も下がっているが、それは敵も同様である。いや、長躯進軍を続け、そのまま戦いに突入したことと今日の戦いぶりを見れば、敵の疲労は我ら以上であり、それは極限に達しているに違いない」
この日の戦いは疲労した敵をさらに疲弊させることを目的としていた。そのため諸将も敵兵の状態を常に確認しながら戦っていただけに、鄧禹の憶測に理を見る。
「それらを考えあわせ、また明日が癸亥ということを思えば、敵はほぼ間違いなく明日戦いを仕掛けてこない。ゆえにこちらも兵を再編する時間が得られたということだ。しかも敵兵の疲労は一日の休養で取り除かれるほど軽くはない。明後日の戦闘は我らにこそ利がある。諸将、そのことを銘記し、兵を憩い、士気を挙げ、蕭王殿下の大望のために尽力せよ!」
癸亥とは十干十二支を組み合わせて計算する日付の最後の日で厄日とされ、それゆえ出兵も不吉と忌まれるのだ。現代人に比べてはるかに信心深い古代人にとって、この根拠は充分に説得力があった。
鄧禹の演説に士気を取り戻した諸将は「応!」と声をそろえると、勢いよく立ち上がり、おのおのの部隊へ走って行った。
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