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テッテレー
しおりを挟む今日は10回目の結婚記念日。
一応なんかご馳走作らなきゃなーなんて思いながら私は仕事帰りにスーパーへ。すると夫から「今日は残業で遅くなる」って連絡が入った。
やったーラッキーと思いながら私は早速浮気相手の彼にメールを送った。前から一度スリルを味わってみたかったんだよね~。
駅のはずれで彼と待ち合わせして向かったのは私のマンション。念のため少し離れて歩きながらエレベーターに乗り込んだ。幸い住人には誰とも会うこともなく私は家のカギをそっと開けた。
もちろん中は真っ暗。そっと扉を閉めると、彼もこのシチュエーションに興奮していたのかいきなり後ろから抱きつかれた。私は声が外に漏れるんじゃないかと思わず口を押えた。
彼がいつもより乱暴な手つきで私の身体をまさぐる。その時、彼のスマホが邪魔するかのように音を立てた。舌打ちをしながらスマホを見る彼。
「やばい! 嫁さんが今日は早く帰るって。急いで帰らないとまずい」
彼の家庭がかかあ天下なのは知っている。彼は脱兎のごとく慌てて帰っていった。
「なんだあいつ……使えね~」
私は靴を乱雑に脱ぎ捨てながらドタドタとリビングへと向かった。バッグをソファーに投げやると着替えるために寝室へと向かう。「はぁ」と溜息をつきながらクローゼットを開けた時だった――
「テッテレー!」
中から飛び出してきたのは夫だった。私は驚きのあまり思わず腹に蹴りを叩き込んだ。こう見えて空手は黒帯だ。
「ごふぅ!」
夫はそのままクローゼットの中に吹っ飛び、壁に頭をぶつけ気を失ってしまった。
30分後、目を覚ました夫に聞いたところサプライズを仕掛けるために隠れていたそうだ。待ってるうちに寝てしまい私が寝室に入ってくるまで気がつかなったそうだ。
まさに危機一髪。九死に一生とはこのことだろう。
「どう? サプライズは成功だった?」
「うん。ある意味大成功だと思うよ」
本当はあなたがサプライズするとこだったのよ、と心の中で呟きながら私は微妙な笑顔を夫に返した。
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