32 / 57
大輔(万恵パパ)③
③
しおりを挟む
「ねぇ愛子。また結ちゃんが日曜日に遊ぼうって誘ってきたんだけどどうする?」
夕飯が終わって、万恵がテレビを見ているタイミングで大輔は切り出した。愛子は洗濯物を干している。大輔がこれから洗い物だ。
「……ふーん。万恵と公園に行こうと思っていたけど」
反応が悪い。
「いや、嫌なら断るけどさ」
「……」
「わかった、断るね! 公園行こ公園」
大輔がスマホを出すと、愛子はうんざりした顔で言った。
「結ちゃんが遊ぼうって言ったの? それで、私が駄目って言ったから無理だわって言うの?」
……。
違う。結ちゃんじゃなくて、美穂ちゃんだ。
「なんか全部他力本願な感じ。大ちゃんて何したいの?」
「え、ごめん意味がわからない」
「自分が誘われたなら自分で考えて返事したら?」
「遊んでもいいっていうこと?」
「私の許可がないと何もしないわけ?」
大輔には理解できないが愛子が不機嫌なので、とりあえず返信はあとにしよう。愛子は不機嫌だとものすごく洗濯物を干すスピードが上がる。大輔が今皿洗いに取りかかったところだというのに最早洗濯を終え、万恵にシャワーを強いている。テレビが中断され万恵がブーブー言い、戦いが始まりそうだった。面倒臭い。女は面倒臭い。
《ごめん、まだちょっと予定わかんないや。相談て何? LINEじゃだめ?》
とりあえず美穂ちゃんにはこう返した。ラインじゃ駄目だから誘われたのに、とも思ったが、愛子との調整が難航しているので仕方ない。
「万恵はねぇ、今度はさくらも一緒に遊びたいよ」
脱衣場から万恵の声が聞こえた。
「結も好きだけど、さくらも、ゆっちゃんも、らんらんも好きだよ。女の子はみんな好き。みんな仲良しだよ」
あぁそうか。さっきの話の続きを万恵としているのか。
「でも男は凶暴だし嫌だよ。特に礼雄は最低だよ。大ちゃんにアイスを買え、買えって」
「最低なんて言わないよ。みんないいところあるんだよ」
「うーん、でも女子はみんな好きだよ」
……。これは結ちゃんと二人組を作らないで、女子会みたいな形にしたほうがいいのか。日曜日は他の女子も誘ってアイスにするか? 美穂ちゃんは他の女子のお母さんの連絡先知ってるかな。あ、でも相談があるのか。相手は大輔じゃなくてもいいのかな。
ごちゃごちゃ考えているとスマホが振動した。
《予定わかったらでいいですよー。急がないんで!》
これだけ? 相談は?
夕飯が終わって、万恵がテレビを見ているタイミングで大輔は切り出した。愛子は洗濯物を干している。大輔がこれから洗い物だ。
「……ふーん。万恵と公園に行こうと思っていたけど」
反応が悪い。
「いや、嫌なら断るけどさ」
「……」
「わかった、断るね! 公園行こ公園」
大輔がスマホを出すと、愛子はうんざりした顔で言った。
「結ちゃんが遊ぼうって言ったの? それで、私が駄目って言ったから無理だわって言うの?」
……。
違う。結ちゃんじゃなくて、美穂ちゃんだ。
「なんか全部他力本願な感じ。大ちゃんて何したいの?」
「え、ごめん意味がわからない」
「自分が誘われたなら自分で考えて返事したら?」
「遊んでもいいっていうこと?」
「私の許可がないと何もしないわけ?」
大輔には理解できないが愛子が不機嫌なので、とりあえず返信はあとにしよう。愛子は不機嫌だとものすごく洗濯物を干すスピードが上がる。大輔が今皿洗いに取りかかったところだというのに最早洗濯を終え、万恵にシャワーを強いている。テレビが中断され万恵がブーブー言い、戦いが始まりそうだった。面倒臭い。女は面倒臭い。
《ごめん、まだちょっと予定わかんないや。相談て何? LINEじゃだめ?》
とりあえず美穂ちゃんにはこう返した。ラインじゃ駄目だから誘われたのに、とも思ったが、愛子との調整が難航しているので仕方ない。
「万恵はねぇ、今度はさくらも一緒に遊びたいよ」
脱衣場から万恵の声が聞こえた。
「結も好きだけど、さくらも、ゆっちゃんも、らんらんも好きだよ。女の子はみんな好き。みんな仲良しだよ」
あぁそうか。さっきの話の続きを万恵としているのか。
「でも男は凶暴だし嫌だよ。特に礼雄は最低だよ。大ちゃんにアイスを買え、買えって」
「最低なんて言わないよ。みんないいところあるんだよ」
「うーん、でも女子はみんな好きだよ」
……。これは結ちゃんと二人組を作らないで、女子会みたいな形にしたほうがいいのか。日曜日は他の女子も誘ってアイスにするか? 美穂ちゃんは他の女子のお母さんの連絡先知ってるかな。あ、でも相談があるのか。相手は大輔じゃなくてもいいのかな。
ごちゃごちゃ考えているとスマホが振動した。
《予定わかったらでいいですよー。急がないんで!》
これだけ? 相談は?
0
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説

地獄の業火に焚べるのは……
緑谷めい
恋愛
伯爵家令嬢アネットは、17歳の時に2つ年上のボルテール侯爵家の長男ジェルマンに嫁いだ。親の決めた政略結婚ではあったが、小さい頃から婚約者だった二人は仲の良い幼馴染だった。表面上は何の問題もなく穏やかな結婚生活が始まる――けれど、ジェルマンには秘密の愛人がいた。学生時代からの平民の恋人サラとの関係が続いていたのである。
やがてアネットは男女の双子を出産した。「ディオン」と名付けられた男児はジェルマンそっくりで、「マドレーヌ」と名付けられた女児はアネットによく似ていた。
※ 全5話完結予定


隣人はクールな同期でした。
氷萌
恋愛
それなりに有名な出版会社に入社して早6年。
30歳を前にして
未婚で恋人もいないけれど。
マンションの隣に住む同期の男と
酒を酌み交わす日々。
心許すアイツとは
”同期以上、恋人未満―――”
1度は愛した元カレと再会し心を搔き乱され
恋敵の幼馴染には刃を向けられる。
広報部所属
●七星 セツナ●-Setuna Nanase-(29歳)
編集部所属 副編集長
●煌月 ジン●-Jin Kouduki-(29歳)
本当に好きな人は…誰?
己の気持ちに向き合う最後の恋。
“ただの恋愛物語”ってだけじゃない
命と、人との
向き合うという事。
現実に、なさそうな
だけどちょっとあり得るかもしれない
複雑に絡み合う人間模様を描いた
等身大のラブストーリー。


極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる