愛してるんだけど

沢麻

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大輔(万恵パパ)③

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 水曜日は楽しかったが、意外と時間がなく、子供達も遊び足りない感があって別れ際かなり苦労した。平日夕方はきついことが判明したので、次回はまた日曜日がいいねとどちらともなく言った。時間がないので美穂ちゃんと大した話もできない。それに、やはり愛子もいた方がいい。愛子じゃなくても、もう一人くらい大人が欲しいのである。美穂ちゃんと二人きりというのが、嬉しいがなんだか気まずい感じもする。
 おかしいな。最初は美穂ちゃんと仲良くなれるかもと思ってわくわくしていたのに。
 この心境の変化の原因はわかっている。愛子がなんだか不機嫌なのだ。
 水曜日のことは結果事後報告になったのだが、かなり気に入らない顔をされた。
 「……あんまりそういうの、しないほうがいいと思うけど」
 「えっなんで。友情も深まるしいいじゃん」
 「……」
 どういうことなのか、大輔には理解できなかった。そしてやや暫く考えて、まさか愛子が美穂ちゃんにやきもちをやいているのではないかという結論に達した。それなら嬉しいが、しかしセックスレスという大問題を自ら引き起こしておきながらなんだか都合がいいような気がする。どちらにしろ美穂ちゃんと大輔は何もないのだからこちらが自粛するいわれはないが、愛子の機嫌は今後のこともあり気になる。
 
 しかし翌日以降、複数の子供達から「万恵と結、保育園サボって遊んだんでしょ」「万恵はパパで、結はママで遊んだんでしょ」と言われた。うーん、これは。これはこいつらの親がそう言っているのを真似しているとしか思えない。そういえば帰り際、沙織ちゃんと礼雄のママに会ったが……。
 「別にいいじゃんか。みんなだってお友達やそのママと遊ぶことあるだろ」
 大輔はつい同レベルな感じで応じてしまった。すると子供達は次々に口を開く。
 「お友達とは保育園の後は遊ばないかなー」
 「パパも来るときは、どっちの家もパパ来るし」
 「友達と遊んだことない。次は一緒に遊びたい」
 「いいなー万恵と結だけ、アイス食べたんでしょ」
 ……。
 愛子はやきもちではなく、つまりこういうことを言っていたのだろうか。なんて面倒臭い。
 「そうだな、ちょっとズルかったな。よーし! 今度はみんなで、アイス食べに行こうぜ!」
 大輔はそう言って、それも悪くないなと思いながら職場へ急いだ。
 
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