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美穂(結ママ)①
①
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床を拭いたタオルを、そのままゴミ箱に突っ込んで、美穂はため息を吐いた。娘の結は、もうすぐ四歳になるというのにまだトイレが完璧ではない。夜間は勿論おむつを外せるレベルではなく、日中はパンツにしているが二日に一度は失敗する。同じクラスの子達の状況は全ては把握していないが、かなり出来が悪い方なのではないだろうか。先月礼雄の家にいつものメンバーで集まった時、夜間のおむつの話になったが、そこに居た同じクラス四名の中でおむつをしていたのは結だけだった。何故。
「ママごめんなさい」
結が後ろから近づいてきた。わかっている。結は悪くない。それなのに叱ってしまう美穂のほうが悪い。謝らないで。謝らなきゃいけないのはこっちなのに。
「……ママこそごめんね。怒っちゃって。おしっこは、ちゃんとトイレでしてね」
「はい」
期待するな。きっとまたやる。
発達のスピードはそれぞれなのだから、他の子供と比べて一喜一憂するのは意味がない。わかっているのに、美穂は落ち込まずにはいられない。
もう夕飯の支度をしなければいけない。休日は早い。洗濯機を回すと、美穂は台所でハンバーグの準備を始めた。
「あ、パン粉が足りない……」
材料を捏ね始めたところで大変な不足に気が付いた。どうしよう。買ってこようか。
夫の雅教はどこに行ったのだろう。日曜日となると午前中はいつまでもだらしなく寝て、午後はいつの間にかいなくなる。夕飯には帰ってくるのだろうか。パン粉買ってきて、と今ラインして、買ってきてくれる可能性はほぼなかった。
ハンバーグにしようと思ったのに……。
なんだか涙が溢れてきた。結がやってきた。
「ママ、どうしたの」
「……ごめんね、なんでもないよ。……ハンバーグにしようと思ったのに、違う晩御飯でもいい?」
「いいよ、ママ、元気出して。泣かないよ、ママ」
美穂は、こんな風に泣いてしまうことが最近度々あるのだった。
「ママごめんなさい」
結が後ろから近づいてきた。わかっている。結は悪くない。それなのに叱ってしまう美穂のほうが悪い。謝らないで。謝らなきゃいけないのはこっちなのに。
「……ママこそごめんね。怒っちゃって。おしっこは、ちゃんとトイレでしてね」
「はい」
期待するな。きっとまたやる。
発達のスピードはそれぞれなのだから、他の子供と比べて一喜一憂するのは意味がない。わかっているのに、美穂は落ち込まずにはいられない。
もう夕飯の支度をしなければいけない。休日は早い。洗濯機を回すと、美穂は台所でハンバーグの準備を始めた。
「あ、パン粉が足りない……」
材料を捏ね始めたところで大変な不足に気が付いた。どうしよう。買ってこようか。
夫の雅教はどこに行ったのだろう。日曜日となると午前中はいつまでもだらしなく寝て、午後はいつの間にかいなくなる。夕飯には帰ってくるのだろうか。パン粉買ってきて、と今ラインして、買ってきてくれる可能性はほぼなかった。
ハンバーグにしようと思ったのに……。
なんだか涙が溢れてきた。結がやってきた。
「ママ、どうしたの」
「……ごめんね、なんでもないよ。……ハンバーグにしようと思ったのに、違う晩御飯でもいい?」
「いいよ、ママ、元気出して。泣かないよ、ママ」
美穂は、こんな風に泣いてしまうことが最近度々あるのだった。
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