ハルホール

沢麻

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俺と美代さん④

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 引っ掛かった女は処女ではなかった。まぁ繁華街で拾う酔っ払い女はだいたい処女ではない。俺が素面だからか、酔った女は理解不能な生き物に見える。人間ではなく、肉に見える。ホテルのベッドで、肉が変装した俺に絡み付く。
 「ねぇ彼女いないのぉ?」
 「うん、死んだんだ。二ヶ月前」
 「まじでーめっちゃかわいそう」
 「まじ寂しいよ、慰めてよ」
 どうでもいい。こんな会話はすっ飛ばしてとっとと穴を開けさせてくれ。
 「ねえピアス開けてもいい?」
 俺の服のポケットには安全ピンが百パーセントの確率で入っている。そして初対面の女は百パーセントの確率でこの申し出を断る。仕方ない。俺は自分の耳に安全ピンをひとまず刺し、女の服を剥ぎ取った。いきなり安全ピンを装着した俺を見て、女はぎょっとしていた。こんなんで怖じ気づくんじゃねぇよ。女の緊張を解くために仕方なく愛撫をする。女もだんだん慣れてきて、俺の性器を口に含む。
 ……そうじゃないんだよ。
 いつものことだが、俺はこの辺りから凄くムカついてくる。その怒りを発散するかのように、女の喉を勢いよく突いた。
 「うえっ!」
 女は吐きそうな顔をして俺から離れる。逃がすものか。俺は女の髪を鷲掴みにし、無理矢理尻を突き出すような格好をさせた。
 「やだ! やだ! アナルは嫌!」
 うるせえ。俺は唾を女の肛門に塗りたくり、思いっきり挿れた。女は絶叫した。しかし俺は止まらない。開通しろ。出血しろ。叫んだって誰も助けちゃくれねえよ。女の肛門の周りが赤くなる。俺の性器の皮も突っ張って出血する。くそ、凄く気持ちいいけど凄く切ない。行き場のない苛立ちを俺は刺し続けている。女の叫びがまるでサイレンのように繰り返される。終わりのない響き。俺のこの感情に終わりなんてないのか。寂しい。寂しい。

 俺は結局射精せずに肛門から脱出した。女は重力に逆らうことも出来ず、へたりこんでいる。尻の表面に爪の痕がついている。先程自分の耳にとりあえず刺した安全ピンを抜き、俺はためらいもせず女の耳にそれを刺した。あれほど絶叫し続けたのに声は枯れず、女はまた叫んだ。うるさいので、すぐに抜いた。
 ……もういいや。
 俺は服を着た。帰ろう。
 放心状態の女が何か喋っている。聞くつもりはないのに、聞こえてしまった。
 「変態……あんたが殺したんでしょ……」
 
 俺が。
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