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24 過去の夢~初体験

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 眠り続けるマリアンヌ。泡沫の様に夢の情景が浮かぶ。
 
―――こちらが私の娘です。マリアンヌ、プリメーラ男爵のご子息だ。この方がお前の婚約者だよ、ご挨拶なさい。
―――よろしくお願いしますマリアンヌです。
―――よろしくマリアンヌ。

 夫との初対面……

―――ねえ、婚約って、結婚する約束なんだよ。結婚したら、どんなことをするか知ってる?
―――知ってるよ、お家の土地を治めるお仕事をして、周りのお家の方々とおつきあいをして……
―――それもそうだけど、一番大事なのは子供を作ることよ、どうすればいいか知ってる?
―――それくらい知ってるよ、みんな楽しそうにその事を良く話すもの
―――じゃあ、本当に楽しいかどうかやってみない?
―――ええ?でも初めては初夜でしょう?血が出ないとダメなんだよ、怒られるよ!
―――鳩の血とかベリーの汁を使えばいいの、お互いに使うって決めてれば大丈夫だよ
―――じゃあ……ちょっとやってみようか
―――する?
―――うん!してみる!

―――ねえ、服を脱がなくていいの?
―――脱いだら誰か来たらすぐわかっちゃうじゃない、ちょっとまくり上げるだけにするんだよ?
―――でも、シーツに血が付いたらわかっちゃうんじゃない?
―――お尻にナプキンとか布巾を当てればいいのよ
―――わかった。ん?あれ、これどうなってるの?
―――このビラを除けて、ね、ここに入れる所があるよ
―――う~ん入るのこれ、なんかすごく小さいよ……、あ、おしっこ臭いよ~
―――そんな顔を近づけてじっくり見るからよ!臭いがするのはしょうがないでしょ!あなただってそうでしょ!
―――そうだけどさ……触ったら臭くなるよね、ばれない?
―――そこの水差しで手を洗えばいいじゃない。
―――まあそうだけど……じゃあ……コショコショコショ
―――あ、もっといじって濡らさないとだめだよ
―――そう?じゃあ、こんな感じ?
―――イタタ!力が強すぎ!もっと、こんな感じにやさしく……、……ふああ…その触り方なら、気持ちいいよ……、あう!お股のとがったとこって、そんな力強くしちゃだめ!痛いよ!……そう、そんな感じ……ん!
―――あ、マリの穴、ヌメヌメしてきた……、なんか気持ち悪いよう、鼻水みたいだし!
―――なによ!失礼ね!気持ち悪いって!ヌメヌメしてないと、気持ちよくならないんだからね!
―――え~?そうなの?じゃあ、我慢するよ……あ!棒!つかまないで!なんか変だよう!
―――変じゃないの!ほら、こすると……気持ちよくなって来ない?
―――んん!ほんと、気持ちい……
―――ほら、固くなったよ。……見て、あなたもヌメヌメしてるじゃない?
―――あ、あれ?ほんとだ……あ、それ気持ちいいよ!
―――白いのが出ちゃうと柔らかくなっちゃうんだって、ほら、固いうちに入れて?
―――うん……んんん、中々入らないよ?
―――そこ違うよう!もっと下ね、そう、ここ……、そう、一気に、ね?
―――うん!ん!あ、はいった!?
―――んん~!まだ、入り口!もっと、奥に……っ!
―――あ?なんか、ブツって?切れた?大丈夫?
―――イツツ……だ、大丈夫……、これが本当の夫婦の交わりなのよ?
―――そうなんだ……、う~ん、ちょっと気持ちいい
―――ちょっとなの?
―――うん、ちょっとかなあ。話に聞くほど気持ち良くないかも……
―――はあ……、私も痛いし、じゃあもうやめる?
―――待って!気持ち良いは良いよ!あったかいの気持ち良し、まだやめない!もちょっと入れてる!
―――じゃあ外れちゃわない程度に腰を振って、ぐりぐりって中でこするようにね……
―――あ、これ、動くと、あ!気持ちいいかも!あ、あ、はあ……
―――イタタタ……ねえ、このことは二人の秘密だからね
―――うん、二人の秘密だね……ねえ、やっぱりなんか気持ちよかったし、もう一回いい?
―――嫌!もう痛いから抜いてよ!もうそろそろだれか来るだろうし……次はまた今度会ったときにね?
―――わかったよう、次ね?絶対だよ?
―――うん、次会ったときね。


 夫との初体験……

 この時マリアンヌ9歳、夫11歳だった。早熟なマリアンヌだったのである。



 
 中世、近世の結婚年齢は教会法によると、女12歳以上 男14歳以上とされている。
平均結婚年齢は男子20~24歳・女子14~16歳(ただし数少ない早婚を過大評価している可能性がある)貴族や財産を持っている物ほど、結婚年齢が早い傾向にあり、一般的な農民などは逆に男26~28歳、女23~26歳と結婚年齢が高かった。これは貴族ほど政略結婚をし財産や権利を早々に保護する傾向にあったためである。

 当時の結婚年齢や習俗を知るには、16世紀に発表されたロミオとジュリエットが一番わかりやすいだろう。14世紀イタリアを舞台にしたロミオとジュリエットでは、ジュリエット13歳、ロミオ16~17歳で結婚問題に直面している。この話は、実はたったの5日間の物語であり、二人は出会ってすぐキスして秘密婚約、2日目に秘密結婚し初夜ドッキングまで済ませてしまう。とはいえ、16世紀当時でもこの年齢は結構早いものらしい。

 劇中でロミオと出会う前のジュリエットは乳母に子供っぽさをたしなめられ、あなたと同じくらいの年でも、もう結婚して子供を生んだ人もいるのだから、もっと大人になりなさい、と諭すセリフや、ジュリエットの母親は同じくらいの年で結婚したというセリフもあるのである。
 一般には、美しい悲恋の話と思われており、大筋ではそうだが、結構下ネタジョークがあり、喜劇の部分も多い作品だ。

 たとえば、冒頭で出てくるキュピレット側の男たちの会話

サムソン 同じことだ。俺は大暴れして、男をひどい目にあわせたあと、女にはいい目をみせてやる。乱れた棒をさしあげよう。
グレゴリー  乱れた棒?
サムソン ああ、乱暴をいう棒をぶちこむ。わかるだろ。
グレゴリー ぶちこまれれば痛いほどわかるだろうね。
サムソン わからせてやるよ、俺様がぴんと立っているあいだはな。この体は馬並みだと評判なんだぜ。
グレゴリー 魚並みじゃなくて良かったね。魚なら、たら~だ。おっと、腰のモノを抜け。モンタギュー家の奴らがやってきた。

なんてしょっぱなから言い出す。

 ジュリエットの乳母は下ネタがすきで、彼女が登場して最初の台詞で、「はい、ただいま、私の処女にかけて、まあそれは12歳の時でしたが」なんてのっけからかましてくるし、その後も下ネタを連発し、ジュリエットと母親はうんざりするのだ。
 さらにはジュリエットの父と母ですら、「おれも昔はもっとつまらぬ理由で一晩寝ないでいたが、ぴんぴんしていたぞ」と断言すると、すかさず妻が「ええ、お盛んなころは、小ネズミちゃんを狩ってましたものね。あなたが寝ないでいるなら、私も寝ずに見張ります」と言い返している。小ネズミに「かわいい娘」とか「娼婦」という意味がある、これで狩りの内容はおわかりだろう。

 ヨーロッパでは子供という概念が17世紀までなく、子供は未熟な人間という扱いを受けていた。7歳くらいになって幼児期を脱すると大人の仲間入りをしたとする見方があったのだ。よって、今日でははばかられる下ネタや性的会話なども、普通に子供を交えて話されていたのだという。
 日常的に下ネタが氾濫するような環境にいれば、おのずと早熟にもなるだろう。

 現代であっても性教育が早い国ほど、初体験が早いというデータがある。初めて性教育を受ける年齢としては世界平均で13.2歳となっており、初体験の平均年齢が低い国ほど性教育にも早く着手している。早い段階で性教育をするから興味を持って初体験の年齢も早くなるのだろう。
 世界の平均初体験年齢ランキング上位5位は以下の通り。

1位:アイスランド(15.6歳)
2位:ドイツ(15.9歳)
3位:スウェーデン(16.1歳)
3位:デンマーク(16.1歳)
5位:ニュージーランド(16.4歳)

 ちなみに、17世紀になって子供の発見をしたと言われるルソーは、教科書にも載っているのでご存知の方も多いであろう。彼の著作「エミール」は小説の体裁をとった教育論であり、その中で、「われわれは子どもというものを知らない、子どもは子どもでなければならない、子どもには特有のものの見方・考え方・感じ方がある」と指摘し、当時の子ども観を否定するとともに、子ども固有の価値を認めた。

 また、ルソーの政治思想では『社会契約論』を著した。要約は、自然状態の人間は自由で平等であり、社会や国家は自由と平等を究極の価値として組織されないといけないこと、社会や国家は人間全員の意志、契約によって形成されたものであるから、主権(最高の権力)は君主ではなくて国民全体に属すること(国民主権)、国民全員の政治参加で国民全員の総意(一般意思)を政治に反映させるべきであること(直接民主制)である。

 これをもっと簡単に言うと、「君主は民衆と契約しているだけやでぇ。民衆は自由を持ってるんや、君主が契約を破ったら(=民衆の自由を奪ったら)革命を起こしたってええじゃないか!」ってな主張なのである。

 ルソーのこの主張はフランス革命に多大な影響を与えた。
(影響は与えたが、直接要因ではない。いつの世でも大きな戦闘は金が理由で行われる)

 おまけに、マリー・アントワネットが言ったといわれる「パンが無ければお菓子(ケーキまたはクロワッサン)を食べればいいじゃない」の台詞はルソーの「告白」という作品から噂が流布されたらしい。
 告白録の第六巻に、ルソーがワインを飲もうとしたとき、パンがないとワインが飲めないので、パンを探したのだがなかった。そのとき、ルソーはふと「農民にはパンがありません」といわれて、「それならブリオッシュを食べればよい」とさる大公婦人が、答えたことを思い出したという記事が原典であるといわれている。つまり実際にはマリーアントワネットは言ってないっぽいのである。

 しかし、このルソー、教育書にのっているくらいの教育論を発表はしたが、私生活では虚言癖やら盗癖があり、裕福な夫人の愛人をしてヒモになってたり、34歳で23歳の女中テレーズ・ルヴァスール(精神障害者と健常者のボーダーでギリギリ障害者の枠に入るくらい頭が弱い方だったらしい)を長年の愛人にし、彼女との間の自分の子供については貧しさもあったが、5人産ませて5人とも孤児院に放り込んだり、性的倒錯がひどく縄で縛られたりぶたれたりするのが好きなマゾヒストであると同時に、露出や強姦未遂で逮捕されたり、のちに被害妄想一縷しくなると恩人を敵と思い込み攻撃するなどと、結構な変態かつ人格破綻者であったのも、これまた有名なのである。

 彼は生涯貧しく暮らしたが、その死後、フランス革命が勃発、かれは革命の功績者と讃えられ、栄誉の殿堂パンテオンに合祀されている。
 


 
 夫との思い出を夢に見たマリアンヌ。彼とは政略結婚だったがそれなりに楽しく付き合っていた。
かれとの初体験は好奇心といたずら心からの全く拙いもので、お互いにとても気持ち良いとはならなかったが、なんだかいけない事を共有するいたずら仲間が出来たうれしさがあった。
 この夜は彼との思い出を夢に見ながら眠り続けた。
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