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読書感想系3「イスラームのとらえ方」~そろそろイスラムでも知るかの最適入門書
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中東の紛争地域や、邦人銃撃も起こすテロリスト。
彼らが奉じるという、イスラム教とはなんぞや?日本じゃほとんどテロばっかりフォーカスされるから、さぞカルトなんだろうなあとかというのが、あんまり事情を知らない日本人の第一印象じゃないでしょうかね。
毎日3回?5回?礼拝とかめんどい。豚食うなとかなによとか。あんまメジャーじゃないけど犬も汚れた動物扱いなんですよね。犬飼ってる人あんまいません。
イスラム教は信者が多く、国や地域によって、信じられてる形態が結構あやふやです。
ネットで調べても、なんかわかりにくいんですよ。それもそうなの、世界に信者多くて、色々会派もあり、そもそも日本人には一神教自体とっつきづらい。私はネットで概略知るのは挫折でしたわ。
そのイスラム教というものの概要を、わかりやすく解説してくれてる入門書で最適なのが、以下の本。
「イスラームのとらえ方 」(世界史リブレット)山川出版社 (1996/11/1)
出版されてから20年以上もあるが、いまだに販売サイトで扱ってるってことは、これはかなりの良著だからだと思います。
絵本20年以上良著説がまさに当てはまるかと思いますね。
まあ、世界史リブレットシリーズ自体、大学とかで使う教科書みたいな世界史の様々な国や地域の歴史を小冊子でまとめてるシリーズです。
専門用語が多かったりするけど、ちゃんと解説が本文脇にあってとても親切な作り。
学びのとっかかりには色々欠かせないシリーズであります。
ホント、いつもお世話になってます、このシリーズ大好きです。ヨーロッパ貴族の形態とか傭兵の成り立ちとか、日本の武家社会も、ほんと、わかりやすい~。
最初のイスラム教の意味からして、結構違うのね。イスラームってのは神への帰依って意味で、イスラム教っていうと、帰依教となる。なんだか直訳翻訳では通じないねw
で、イスラム教でアッラーの元にってのは、アラビア語でアッラーの意味は「神」なので、メッカのキリスト教徒はアラビア語で話してるわけで、キリスト教の神もアッラーなんですばい。
土産物とかの時計には十字架と「アッラーの御許に」なんて書いてる。十字があって、「神の御許に」ってことで、キリスト教の神なので、それでいいわけなんですが、日本人からするとアッラーってイスラムじゃね?って思っちゃうw実は、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の「神」は基本同じ神であるらしいのですが。
とにかく、アラブは一神教なので、神=アッラー、神を表す名詞は他にないわけなんで、アッラーがキリストの神もユダヤの神もイスラムの神も表すのね。
多神教の神の名詞は解んないけどwたぶん、認めてないから無いよねぇ。精霊とかになるかも。アマテラス精霊?w
あと、キリスト教なんかだと、心を神に恭順させるのが大事、精神世界大事なんで懺悔とかあるけど、イスラームだと、とにかく、外の態度を整えるのが大事なんだと。
心の中までは問わないんですな。
これ、どっちかというと、法律なわけです。心で何思ってても、犯罪さえ起こさなきゃオッケー。心は自由よって感じ。
で、こっからが大事なんだけど、政教分離が難しいんですな。
そもそも、国を作るために、宗教にかぶせた道徳法みたいなもんを作ったのがイスラムだという感じ。
だから、結婚するなら他の宗教の奴はイスラムにならんといかん。入国の宣誓とか申請みたいなもんなので。
ほんで、イスラーム法学に基づく法廷の裁判官(カーディー)なんてもんがいる。そもそも国を作るための宗教であるから、宗教者が裁判を担うという事なんですな。
国家なので、戦闘も必須。だからジハード=「イスラムを広めるため、または防衛のための戦い」、「聖戦」なんてのが出てくる。
非常に合理的でフレキシブル。郷に入っては郷に従えも出来る宗教?なんだけど、扱いやすいがゆえに、悪用もまた容易であるって所かなあ。
自分らの陣に入るなら異質を許さんってところが、特に過激になりやすいんかな。自国に入ってきた観光客でも、スカーフ被ってない女は敵意の対象みたいな。
実際に過激なのは、本当に一部のテロリストなんだけどね。
どっかで、宗教成立200年説を聞いたことがあります。どんな素晴らしい宗教も、宗教自体に毒が含まれてるから、それがこなれて毒が抜けてくるのが200年だとかなんとか。
メジャーな3つの一神教の中でも最後に出来た最新のこの教え。合理的で素晴らしいとは思うけど、隙があるのか、まだ毒が抜けきってないんかなあという所なのかねぇ。
最大派閥、スンニ派とシーア派の対立の解説もある
預言者ムハンマドというのは、イスラーム教の創始者。
指導者を失ったイスラーム教徒の間で起こったのが、後継者争いであるんです。
シーア派とスンニ派を分けるポイントは、この後継者を「血統」で選ぶか、「実力」で選ぶかにある。
後継者には、ムハンマドの血筋を受け継ぐ人間がふさわしいと考えたのが、シーア派。「血統」派であると。世界で今10~15%らしいっす。
スンニ派は、「とりあえずムハンマドの教えをもとに、みんなで話し合って選べばいいんじゃね?」という人々である。血筋よりも実力主義で指導者を選ぼう、という人々であると。合理的ですね。
詳しく見ると礼拝の仕方なんかも色々違うらしいですね。
その辺は、仏教もキリスト教も会派が違えば違いますもんね。
もっと解説ありましたが、一番基本的なのはこの辺りまでなので、ここまでのご紹介で。
イスラームの基礎が分かったら、現在は色々派閥があるし国も争ってるけど、どないなってんねやってなってくる。
そこで、同リブレットシリーズ。
「現代イスラーム思想の源流」2008年出版
トルコはイスラームだけど、政教分離しようぜ!
サウジアラビアは、厳格にイスラーム法!分離とんでもない!
そういう現代のイスラムの状況が解説されてる。
この2冊さえ押さえときゃ、一般教養レベルのイスラーム知識としちゃ、大体いいんじゃないかと思います。
彼らが奉じるという、イスラム教とはなんぞや?日本じゃほとんどテロばっかりフォーカスされるから、さぞカルトなんだろうなあとかというのが、あんまり事情を知らない日本人の第一印象じゃないでしょうかね。
毎日3回?5回?礼拝とかめんどい。豚食うなとかなによとか。あんまメジャーじゃないけど犬も汚れた動物扱いなんですよね。犬飼ってる人あんまいません。
イスラム教は信者が多く、国や地域によって、信じられてる形態が結構あやふやです。
ネットで調べても、なんかわかりにくいんですよ。それもそうなの、世界に信者多くて、色々会派もあり、そもそも日本人には一神教自体とっつきづらい。私はネットで概略知るのは挫折でしたわ。
そのイスラム教というものの概要を、わかりやすく解説してくれてる入門書で最適なのが、以下の本。
「イスラームのとらえ方 」(世界史リブレット)山川出版社 (1996/11/1)
出版されてから20年以上もあるが、いまだに販売サイトで扱ってるってことは、これはかなりの良著だからだと思います。
絵本20年以上良著説がまさに当てはまるかと思いますね。
まあ、世界史リブレットシリーズ自体、大学とかで使う教科書みたいな世界史の様々な国や地域の歴史を小冊子でまとめてるシリーズです。
専門用語が多かったりするけど、ちゃんと解説が本文脇にあってとても親切な作り。
学びのとっかかりには色々欠かせないシリーズであります。
ホント、いつもお世話になってます、このシリーズ大好きです。ヨーロッパ貴族の形態とか傭兵の成り立ちとか、日本の武家社会も、ほんと、わかりやすい~。
最初のイスラム教の意味からして、結構違うのね。イスラームってのは神への帰依って意味で、イスラム教っていうと、帰依教となる。なんだか直訳翻訳では通じないねw
で、イスラム教でアッラーの元にってのは、アラビア語でアッラーの意味は「神」なので、メッカのキリスト教徒はアラビア語で話してるわけで、キリスト教の神もアッラーなんですばい。
土産物とかの時計には十字架と「アッラーの御許に」なんて書いてる。十字があって、「神の御許に」ってことで、キリスト教の神なので、それでいいわけなんですが、日本人からするとアッラーってイスラムじゃね?って思っちゃうw実は、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の「神」は基本同じ神であるらしいのですが。
とにかく、アラブは一神教なので、神=アッラー、神を表す名詞は他にないわけなんで、アッラーがキリストの神もユダヤの神もイスラムの神も表すのね。
多神教の神の名詞は解んないけどwたぶん、認めてないから無いよねぇ。精霊とかになるかも。アマテラス精霊?w
あと、キリスト教なんかだと、心を神に恭順させるのが大事、精神世界大事なんで懺悔とかあるけど、イスラームだと、とにかく、外の態度を整えるのが大事なんだと。
心の中までは問わないんですな。
これ、どっちかというと、法律なわけです。心で何思ってても、犯罪さえ起こさなきゃオッケー。心は自由よって感じ。
で、こっからが大事なんだけど、政教分離が難しいんですな。
そもそも、国を作るために、宗教にかぶせた道徳法みたいなもんを作ったのがイスラムだという感じ。
だから、結婚するなら他の宗教の奴はイスラムにならんといかん。入国の宣誓とか申請みたいなもんなので。
ほんで、イスラーム法学に基づく法廷の裁判官(カーディー)なんてもんがいる。そもそも国を作るための宗教であるから、宗教者が裁判を担うという事なんですな。
国家なので、戦闘も必須。だからジハード=「イスラムを広めるため、または防衛のための戦い」、「聖戦」なんてのが出てくる。
非常に合理的でフレキシブル。郷に入っては郷に従えも出来る宗教?なんだけど、扱いやすいがゆえに、悪用もまた容易であるって所かなあ。
自分らの陣に入るなら異質を許さんってところが、特に過激になりやすいんかな。自国に入ってきた観光客でも、スカーフ被ってない女は敵意の対象みたいな。
実際に過激なのは、本当に一部のテロリストなんだけどね。
どっかで、宗教成立200年説を聞いたことがあります。どんな素晴らしい宗教も、宗教自体に毒が含まれてるから、それがこなれて毒が抜けてくるのが200年だとかなんとか。
メジャーな3つの一神教の中でも最後に出来た最新のこの教え。合理的で素晴らしいとは思うけど、隙があるのか、まだ毒が抜けきってないんかなあという所なのかねぇ。
最大派閥、スンニ派とシーア派の対立の解説もある
預言者ムハンマドというのは、イスラーム教の創始者。
指導者を失ったイスラーム教徒の間で起こったのが、後継者争いであるんです。
シーア派とスンニ派を分けるポイントは、この後継者を「血統」で選ぶか、「実力」で選ぶかにある。
後継者には、ムハンマドの血筋を受け継ぐ人間がふさわしいと考えたのが、シーア派。「血統」派であると。世界で今10~15%らしいっす。
スンニ派は、「とりあえずムハンマドの教えをもとに、みんなで話し合って選べばいいんじゃね?」という人々である。血筋よりも実力主義で指導者を選ぼう、という人々であると。合理的ですね。
詳しく見ると礼拝の仕方なんかも色々違うらしいですね。
その辺は、仏教もキリスト教も会派が違えば違いますもんね。
もっと解説ありましたが、一番基本的なのはこの辺りまでなので、ここまでのご紹介で。
イスラームの基礎が分かったら、現在は色々派閥があるし国も争ってるけど、どないなってんねやってなってくる。
そこで、同リブレットシリーズ。
「現代イスラーム思想の源流」2008年出版
トルコはイスラームだけど、政教分離しようぜ!
サウジアラビアは、厳格にイスラーム法!分離とんでもない!
そういう現代のイスラムの状況が解説されてる。
この2冊さえ押さえときゃ、一般教養レベルのイスラーム知識としちゃ、大体いいんじゃないかと思います。
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