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第24章 ドラゴニックエスタ トライアル

第1227話 それは黄金に等しく

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それはもう一時間ぐらい、阿鼻叫喚の…阿鼻叫喚?何これ?いや分からないけどそう言う何かみたいな感じだった。
「汚れが頑固か…考えたくないけど二人とも、どうよ。」
 柴崎は…疲れ切った顔だった。頭に謎の液体を掛けられたうえにぐしゃぐしゃにされて、それは大下も一緒だ。そして、その叫び声で集まった屋敷の人間も。
「初めて…だと思う。」
「髪の長い女性の苦労が分かったでござる。」
「やっぱり滑らか洗剤もいいけどスクラブ系の塩洗剤も使わないと汚れがとれん。」
「汚れ?」
「槍女殿?汚れが取れると体調がよくなるでござるよ。体が軽いとか、今夜一杯すっきりするでござる。」
「…分かった。」
よろよろと立ち上がる大下・・・夫人はその姿もあって、少しだらしない体でもある。でもそれがいいという人もいるんだ。私みたいな。
「でも…柴崎殿?なんか…。」
 そう言えば、大下にも柴崎の姿だけは見せていない。
「まず、乾かすわよ。それもその長さだとかかるからまずはこれ。」
 柴崎は近くのタオルを持ってくると、大下夫人の長い髪の毛を丁寧にタオルで包む。
「こうして髪の毛の水分をタオルで取ってから、魔法が無いなら乾いたタオルで。」
「でも紙が長いとか…不思議でござるな、何で貴族の奥方は髪が長いでござるか?」
「金になるからよ。」
 拭きながら語る柴崎の声は真剣だった。
「当時カツラとかの髪の毛は禿隠しのために大人気だったの。太古にはカツラ職人がいたかもという話が出る程度には一般的な売り物なのよ。そして長い髪の毛は
そう言う意味でも富の象徴なの。」
「でもカツラが欲しいとか…。」
「昔の喧嘩はそれこそ髪を掴んで力いっぱい引きちぎろうとした喧嘩とかそう言うのが多くて、髪の毛がハゲタカみたいな女性も多かったそうよ。そういう時にカツラは人気だったの。貴族の髪の毛は特に髪の毛の重さと同等の黄金と交換したって話が出る程度には高いのよ。」
「そんなにでござるか!?」
「だから当然…貴族にとって髪の毛は貴重なのよ。」
 髪の毛をタオルで吹くと生活魔法の送風で丁寧に乾かしていた。
「ほら、着替えて。思う存分フロアに戻るわよ。」
 慌てて私達が服を着て、外に出るとそこには聞き耳を立てる従業員とレイロードさんがいた。が、出て周囲の目線が固まった。そう、白く美しく、そしてシャンプーの淡い匂いは廊下一帯を包んでいた。
「綺麗…。」
 あまりの変容に…伯爵家全員が震えた。そして、それは…大きなさざ波となった。
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